行方不明の街角

行方不明の街角

そぞろ歩きに見知らぬ巷を漂い。知らぬ人ばかりの土地へ逃げていきたい。他人になり、車窓をただ物憂げに眺めたい。そんな旅に出たい。日常の濁流にのまれ、流され、揉まれ。到底、出来ない事を承知なので、妄想をつらつらと書いていくつもりです。

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 浜茶屋店員1日目。駐車場と宿に振り回されていた昨日は、観光気分だった。しかし今日は違う。昨晩は、腹一杯の飯と酒を振舞ってもらった。しかし今朝は、早くから叩き起こされ、二日酔いと戦いながら店の掃除から始まった。箒とちりとりで入ってくる砂をかき集め、寄せ集め、砂浜に返してやる。次に料理の仕込みを手伝い。具を切るぐらいは出来るだろうという事で、正規雇用のアルバイトさん達とそれをやった。みんな私とは、随分と歳の離れた同僚たちだった。私がひどく年季の入った店員に見える。このまま客前に現れれば、私は見た目だけでバイトリーダーだろうと思われるに違いない。実はただ、清水の次郎長よろしく、一宿一飯の恩義を返すように言われたとっちゃん坊やなのだ。歳の離れた同僚達も私の扱い方に困っているようで、なかなか話しかけてくれなかった。仕方ない。仏頂面の上、うんともすんとも言わないのだ。扱いに苦労するのは当たり前だ。こういう時に、嘘でも威勢のいい雰囲気を出せない自分が恥ずかしい。どう相手に接すればいいのやら、考えてしまうと、もういけない。もっと押し黙ってしまった。
 そんな自分の内面のことなぞ、関係なしに、浜の太陽は登ったと同時に、砂の一粒一粒に熱を持たせていく。その熱気に誘われた海水浴客がぞろぞろとやってくる。店の支度ができた頃には、私は汗だくで、一仕事終えた気でいた。しかし、ここからが、本番なのだ。長い1日が始まる。私はビーチパラソルを槍に見立て、戦国武将にでもなったつもりか、砂浜に突き刺した。
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