最近読んだ本で一番インパクトがあった本
- つまらぬ男と結婚するより一流の男の妾におなり (中公文庫)/樋田 慶子
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タイトルの言葉は、著者の祖母の言葉で、この祖母と言うのが新橋で料亭を営み伊藤博文の愛人といわれた人らしい。
内容は、そんなおばあちゃんを反面教師に生きる著者の生きざまですが、もうこのタイトルだけで、お腹いっぱいになれます。
この本に登場するおばあちゃんの千穂さん(明治生まれ)、著者の育てのお母様の好子さん(たぶん大正生まれ)、著者の慶子さん(昭和生まれ)の3人の女性の生き様が書かれていて、女の生き方っていかに時代に反映させられるのかを感じます。
(千穂さんも慶子さんも、当時としてはかなり破天荒なタイプなのでしょうが・・・)
作者の樋田慶子さんは、役者さんだそうですが、女学生時代に先生に「未来の小説家ね」と言われただけあり、高浜虚子に俳句の教育を受けているということもあり、文章も素敵です。
若い頃の思い出話の中で、テニスコートの小屋で近所の男の子に宿題を教えてもらっていて、ふとあげた彼の顔が、ものすごく近くにあって、びっくりして夕立の中を掛け出したってシーンとか蝉の声まで聞こえてきそうです。
駆けて駆けて、家の畑の前まで来たとき、雨はもうやんでいた。私は熟したトマトにガブリと歯を立てた。わけのわからない鼓動がおさまるまで、私はトマトを食べていた。ふと目を落とすと下駄の紅結の色が落ちて、裸足に赤い跡が「人」の字になって残っていた。
いまや、生き方も職業も、成功のしかたも多様化し過ぎて、一流の男の定義も人によりけりですが、このタイトルは、思わず納得しちゃう響きがあります。
現代女性に言いかえると、「つまらない男と結婚するくらいなら、一生独身」って感じかなって思いましたが、こう言い換えると、何だか薄っぺらい言葉になってしまう気がします。
どうせなら、深くて、濃くって、けどふわふわした人生をおくりたいな。