「ご飯がだんごのように硬くて切れない、すくえない。」

リハビリ中に入居者が私に訴えた。


認知症がなく、言っておられる事は間違いないと思うが、

軟飯なので、本人の感覚なのか炊き方の問題なのか私には判断できない。


そこで、管理栄養士にも声をかけて、夕食を見に行くことにした。

ちょうどユニットリーダーも居て、まずは炊き上がった軟飯をチェックした。


「この軟飯はきれいです。完璧に近い気がします」

管理栄養士がニコニコしながら太鼓判を押した。


さあ、入居者本人はどうか。

3人で入居者の動きを見守った。


スプーンを立てて上から下へ、軟飯をゆっくりと切った。

スプーンは入っている。

そして、1口、2口ご飯を食べた。

「今日のご飯は良いです」


緊張していた空気が一瞬で緩んだ。

「よし、このご飯がいつも炊けるよう検討しましょう」


ユニットでご飯を炊いているので、毎回炊く人が変わってしまう。

軟飯は3人分で米の計量で誤差が出るらしい。

軽量カップをやめ、米をハカリで計ることで問題が解決した。


個別リハビリの場面で入居者の訴えを聞く事が多い。

解決出来る事は今回のように他部署と調整し、

難しい場合は代替案を出したりしていく。


個別リハビリをする時間が削られ、はっきり言って辛いときもある。


しかし、それにより入居者の身体だけでなく生活が支えられる。

リハビリテーションを担うということはそういうことだと思う。