26日に参加したがん患者のセミナーについて書こうと思ったが
夜、ふと気になって見たNHK-BSのドキュメンタリー
BS1スペシャル「原発事故7年目 甲状腺検査はいま」
が余りにも衝撃的だったので、そちらについて書こうと思う。
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番組の内容は、
福島原発事故後、相次いで子どもの甲状腺がんが見つかっている。
専門家は、放射線影響は考えにくく、検診の対象を広くとった
ための「過剰診断」の可能性を指摘。そのために、①不要な手術が
行われる恐れがあり、②手術を受けた子どもは体調不良と将来への
不安で苦しんでいるので「検査を縮小すべき」という意見が出ている
・・・という内容だった。
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確かに、甲状腺は、「がん」と診断された後も経過観察で足りる
場合が少なくないらしい。ただし、これは成人の話。
根拠とされた韓国の統計も明確に“adult”との表示があった。
しかし「子どもの場合は全く様相が違う」と甲状腺の専門医は指摘。
①の過剰診断→不要手術 という図式がどこまで妥当するかは
わからないそうだ。また、早期発見・治療の機会を逸することなく
不要手術を避けるには、厳重な経過観察を実施すればよい。
そして②がんの手術を受けた患者が体調不良や将来への不安で
苦しんでいるという実態、これは甲状腺がんの子どもに限らない。
がんサバイバー共通の問題だ。そして、これを解決するのは、
サポーティブ・ケアの提供である。
とすると・・・
「過剰診断→不要手術→対象者の心身の不調の流れを断つため
に検査そのものを縮小する」と言う立論は、一見ごもっともだが
実は「交通事故がこわいから車を持たない」というくらいおかしな
議論なのだ。
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私が何故こんなにアツくなるかというと、父の主治医の
一言が忘れられないから!
ドクターは
「おかしい。患者さんのがんは、こんなに早く進行するはずがない。」
そして、母や私に父の既往症やその他経験を細かくに聞き出し
「一般のケースと違うのは被爆の影響なのかなぁ・・・」
私は今更父の件について公的賠償を請求する気はない。
(そもそも時効だ)。ただ、被爆=放射線障害の実態を知って
将来に生かして欲しいと思うのだ。
父は被爆後、ずっと(強弱の違いはあれ)放射線障害に苦しんだ。
そして被爆39年後にがんを発症し、40年目にがんが原因で
亡くなった。
被爆(曝)の影響は5年や10年で評価できるものではなく、
時間経過により逓減・消滅するものでもない
というのが、父と24年間一緒に暮らした私の実感だ。
しかも、広島(父の場合)の場合は、原爆投下以降は
放射能は放出されていないのに対し、福島原発の場合は
放射能の放出が続いている。それなのに、検査・モニター
そのものをやめてしまおうというのは、政治的意図を感じざる
を得ない。
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子どもは国の未来を担っている。その大切な存在の
健康管理を「一刻も早く福島原発の事故を封印し
原発を再稼動させる」という政策目標のために
犠牲にして欲しくない。