つきみんとお友達になり人生の可能性に気づき始めたシュガーでしたが「信じる」ということに少し難しさを感じているようです。

人生は自分の思い通りにはいかない、高望みをしてはいけない、と今まで感じ、作り上げてきた常識がシュガーに「信じること」を難しくさせているのでしょう。

 

つきみん「信じる事に確信を持てないのですか」

 

シュガー「うん、今までも”こうだったらいいな”と思っても、そうはならなかったから。

      ケンカした友達とだって仲直りを期待して、でもできなかった・・・。」

 

そうです。人はいつだって「期待」をして生きてるものです。

こうだったらいいな、ああなれば嬉しいな。そういう考えを持たずに生きている人はいません。

ですが、つきみんは優しくシュガーにこう言いました。

 

つきみん「どうやら期待の仕方に問題があるようですね」

 

シュガー「えっ?」

 

つきみん「シュガー、あなたは自分を信じていませんね。”こうだったらいいな”と思う時、

      そのすぐ後にあなたが思う事は"でも私には無理だろうな"ではありませんか?」

 

シュガーは、はっ、とました。「私には無理だ」と過去に何度も思った事がありました。

つきみんはまるでシュガーの心を読んだかのように、それを言いあてたのです。

 

つきみん「その考えはあなたが、今までのあなたについての評価をした結果です。

      シュガーという先生が、シュガー自身について通信簿を出した、と言えばわかりやす

      いでしょうか。その通信簿=セルフイメージとなっているのです。人は過去の上手く

      いった事よりも失敗したことに対する記憶や感情を強烈に覚えているもの。その

      敗経験の数々があなたの自信を今まで奪い続けてきたのですね」

 

シュガー「私が私に出した通信簿かあ。成功するより失敗する方が簡単だなぁとは思うかも」

 

つきみん「少し難しい呼び方をすると、それは「理性」というものです。日常生活の中での、今       までの人生データや常識からあなたを”想定できる範囲の失敗をせずに済むように      避けてくれるもの”です」

 

シュガー「いつも助けてくれてるのね!」

 

つきみん「・・・そう。確かに理性はシュガーを助けているつもりです。しかし理性とはよくない面

      も持ち合わせてる、ともいえるのです。あなた専用に名前を付けてみます。

      理性とはあなたを不必要に怖がらせる存在「ソルト」とも言えるのです。

      シュガーは”お砂糖”ですから、甘いシュガーの反対はしょっぱい「お塩(ソルト)」と

      言えますね」

 

シュガー「私の中に、もう一人の私がいるみたい!」

 

つきみん「そうなのです、あなたの中のソルトは人生でずっと過去の失敗を絶えず思い出させ

      あなたから自信を奪い続けてきた犯人でもあります。失敗を恐れて何も大きな動き      をできないので、やはり人生で大きな変化を起こすことが難しくなるのですよ」

 

理性の存在「ソルト」を知り、シュガーは少し落ち込みます。良かれと思って生きてきた今までの時間、自分に自信がないのは実は自分自身のせいだった。そう思うと悲しくなりました。

 

シュガー「今からでも、ほんの少しでも自信をつける事はできるのかな」

 

つきみん「もちろん、できますよ。シュガー、人はいつでも変わる事が出来ます。

      これから物事を期待するときは”こうだったらいいな”と思ってはいけません。

      こうなるんだ!と言い切るようにしたらいいでしょう」

 

シュガー「えっ、でもまだそれは起こっていないのに・・・」

 

つきみん「こうだったらいいな、でも・・・」ともし思った時は、シュガー、あなたの考えではなくソ

      ルトのアドバイスだと思うようにしましょう。”シュガーの本当に望む結果”をきちんと

      自分自身に伝えなくてはいけないのですよ。それが『選ぶ』という事。そして、そのイ      メージに引っ張られて良い結果を受け取れます。そして、そういう経験が少しづつ増      えていく事で『自信』に変わるのです。

      自信とは言いかえれば『知っている』という事です

 

シュガー「知っている?」

 

つきみん「例えば絵を描く芸術家がいるとします。芸術家は自分の作る作品に自信を持ってい

      ます。なぜなら長年、作品を生み出し続けた経験から『自分は絵が描ける』ことを

      『知っている』からです。そしてそれはまず、イメージが先となります。こんな絵にしよ

      うという『すでに完成された作品』を頭の中で思い描きます。この世界に存在するも

      のは全てが、人の考えが先に在り、それが現実に形となって生まれます。イメージ

      が明確であるほど、それは自信と比例するので実際に自分の経験として人生に

      現れやすくなるでしょう」

 

シュガー「思った事が本当に起きるってこと!?ウソでしょ?」

 

つきみん「この世のものは全て人の思考が作ったもの、例外はありません。

      ですが、それを『知っている』ことが大事で、自分に自信がないと難しいのです」

 

シュガー「自信を持てるようになればいいのに・・・。」

 

つきみん「その為には自分で人生の中で選択をして、人生と言うものをきちんと意識して生き

      ること。その小さな選択の積み重ねを経験していくといいかもしれませんね。

      シュガー、あなたは人生で所々起きる選択肢を『自分にとって良い方向、悪い方向』

      のどちらを選びたいですか。その選択肢を決めなければいけない時を節目とするな

      ら、その時その時で、一番期待したい事を自分で思い描く必要があります」

 

シュガー「ごめんなさい、節目というのがイマイチわからないの」

 

つきみん「難しく考えないで。たとえば休日にお母さんとお昼ご飯を食べにお店に行くとしましょ

      う。お昼時でお客さんで賑わうので、テーブルが空いてないかもしれません。

      並んでいて食べるまで時間がかかるかもしれません。そうなったら、あなたはどうし      ますか?」

 

シュガー「えっ?・・・と、早く食べられたらいいなぁって思うかなぁ」

 

つきみん「ふふ、自信がなさそうね」

 

シュガー「だって・・・・」

 

つきみん「それが節目、というものなんですよ。人生は細かな節目が集まってできてるもの。

      人生とは選択の連続とも言えるわ。今回の話ではレストラン、行く前にテーブルに       座ってお母さんと”席に無事座れた”喜びを一緒に感じてる所をイメージするので        す。先に『望む結果』をイメージする事がイコールあなたがそれを選択したという

      事になり現実に反映されやすくなります。これは自分を信じれば信じるほど、確率が

      上がります。人生の様々な節目で、これを実践して小さな成功を重ねて行けば、そ

      れが自信となっていくはずです。イメージが難しいなら声に出すのもいいですね」

 

シュガー「うーん、無意識にしていたことを節目と意識して、行動するって難しそう」

 

つきみん「あら。ソルトさん、こんばんわ」

 

シュガー「ハッ!!い、いけないいけないっ」

 

ソルトが、シュガーの前向きな考えを邪魔しようとした時、つきみんがいつもより眩く光りはじめました。びっくりしてつきみんを見ていると、シュガーの目の前でつきみんが放ってる光がどんどん集まっていきます。その光は一点に集中し、どんどん何かを形作っているようです。大きさは片手で収まる程の小さいガラス瓶になりました。そのガラス瓶の中には何かが入っています。完全にガラス瓶に変身すると、シュガーの目の前に浮いてきたのでシュガーは自然にそのガラス瓶を両手で受け取りました。

 

シュガー「これは?」

 

つきみん「魔法のお薬、とでも呼べばいいかしら」

 

シュガー「おくすり!?」

 

ガラス瓶を開けると水色の半透明の粒がたくさん詰まっていました

 

つきみん「これから何かの節目の時に、その節目であなたが一番望む結果をイメージする

      か、声に出した後にそのおくすりを食べてみてごらんなさい。きっと、シュガーの期待

      に応える結果を経験できるでしょう。次に会う時に、感想を教えてね」

 

つきみんがくれた「まほうのおくすり」をシュガーは、早速食べてみました。それはとても甘く、お薬というよりはお菓子のようでシュガーを幸せにしました。え? 彼女は節目を無視しておくすりを使ったのかって? いいえ、彼女は「今夜も無事におうちに帰れるように」とイメージをしておくすりを使ったのです。シュガーは「まほう」を本当に使えるのでしょうか。

次のお話をおたのしみに。

それでは、またね。