冷静さを欠いたライバルとの試合 | Let's Enjoy Baseball

冷静さを欠いたライバルとの試合

 今朝は10時から、昨日の試合とは別の連盟主催の秋季トーナメント2回戦が予定されていましたが、台風に伴う雨の影響で早々に中止となり、チームの練習も同じく中止で、久しぶりに休日に家に閉じこもってノンビリ(ウダウダ)過ごせました。もちろん、昼間からワインを飲んで、午後は大の字になってグ~グ~昼寝したことは言うまでもありません。こんにちは、皆さんお元気でお過ごしでしょうか?
 
 さて、Rioの試合のご報告ですが、その前に、ちょっとした、いえいえ、とても長いイントロダクションを。(^_^;;;
 
 昨日の試合は、8月20日に行われた某新聞社後援の秋季大会の3回戦でした。相手は、春の大会の準優勝チーム。おまけに、このチームは別の連盟主催の夏の地区大会で優勝を飾り、全国につながる今春の地区大会ではベスト4。加えて、昨秋の新人戦でも準優勝している実力チームなのです。
 
 これだけでもRioにとってはかなり手強い相手なのですが・・・・・・、
 
 実はこのチームのキャプテン、4年生までRioのクラスメイトだったのです(5年生からは隣のクラス)。また、キャッチャーの子は同じ学校の1学年下の子で、昨年までウチのマンションのお隣さん。しかも、センターの子まで同じ学校の1学年下の子で、その2人の子は、Rioが3年生になって直ぐに入団した前のチームのチーム・メイトで、その2人の子のお父さんは、そのチームのコーチだったのです。ただ、諸事情でこの2人の子とお父さんがRioが入団して1ヶ月も経たないうちにこのチームを辞めてしまい、昨日対戦したチームへ移籍。それから1年ちょっとしてから、今度は我が親子がチームを離れて、現在のチームに移籍したという経緯がありました。
 
 私たちが前のチームを辞める頃、昨日の対戦相手のキャプテンの子がそのチームに入団したことを知りました。既に1学年下の親子も移籍していましたので、外野からは「Rioクンもあそこに行くんでしょう?」と聞かれたり、周囲で噂されたようです。でも、我々は彼らと一緒の道は歩みませんでした。理由はいろいろとあるのですが、決め手となったのは、このチームが練習場を確保するにあたり、誰もが使っていいはずの子供の広場(野球OK)を、親が早朝から場所取りして自分たちの都合の良いように抑えてしまう行動をとっていたからでした。いくらグラウンドを確保できないからといって公営の広場を占領してしまうなんて道徳に反していますし、そんなことを大人が率先して行って、子供に野球を通じて一体何を教えるというのか? 私には理解できなかったのです。間もなく、Rioは2駅先の今のチームにお世話になることに決め、現在に至っています。
 
 ところで、Rioと先方のキャプテンはこれまで2年ほどの間、大会の開会式や河川敷のグラウンドなどでよく顔を合わせたりしたのですが、試合で対戦したことは一度もありませんでした。また、1学年下の2人はRioのチームの1つ下の学年のチームと昨秋、この連盟のCクラス(4年生以下のチーム)の優勝決定戦で対戦しているのですが(結果は相手が優勝)、やはりRioとは試合で戦ったことはなく、今回の試合が事実上、「最初で最後の公式戦」となりました。Rioも彼らも皆、同じ学校に通っていますので、2学期が始まってから4人で「試合するのが楽しみだ」と話していたようですが、特にRioと相手のキャプテンはいろいろと思うことがあるらしく、休み時間になると何かにつけ2人で話しをしていたそうです。
 
 そんな中、1週間前くらいでしょうか、私が帰宅するとRioが「XXクン(お隣に住んでいた子)、指を怪我して今度の試合に出られないんだって」と言うのです。よく聞くと、9月第1週の新人戦の試合で指を傷めたそうで、先週の試合も欠場だったそうです(それが災いしてか、このチームは新人戦ベスト8で敗れてしまいました)。彼は新人戦で3番、キャッチャーとチームの主軸でしたので(監督はその子のお父さん)、Rioとの試合でもキー・マンの1人として要マークだったのです。確かに、ウチのチームと試合をするにあたり、この子が出られないのはウチにとって有利にはなりますが、Rioも私も彼とも戦いたかっただけに、少々ガッカリしてしまいました。すると、先方のキャプテンのが学校の休み時間に「Rio、オマエ、絶対に怪我すんなよ」と何度も声をかけるようになったそうです。
 
 彼もこの試合を特別な思いで楽しみにしてくれていることが伝わってきて嬉しくなりました。実際、試合前にセンター付近に集まっていた我々のもとへ彼が1人で歩いてきたのです。Rioは彼とガッチリ握手をして、互いに良い試合をしようと話していました(私も、彼とガッチリ握手しました)。Rioのチーム・メイトは、「何でRioとアイツがそんなことしてるの?」と言った顔つきで不思議がっていましたが、野球に情熱を注いでいる者同士でしかわからない光景でした。
 
 そして始まった試合ですが・・・・・・、
 
 いざ試合が始まると、Rioは頭の中が真っ白。というか、興奮していて冷静さを全く失っていました。打つ方では、公式戦初の4番に起用されたのですが(監督の配慮に感謝、感謝です)、初回、2アウトランナー2塁で高めの釣り球に手を出し空振り三振。また第2打席は、相手キャプテンが守るサードへ引っかけたゴロ。しかし、相手もこの日は冷静ではなかったようで、Rioの打球を捕球して1塁に矢のような送球をしようとして・・・・・・1塁ベースの角にボールを投げてしまい、1塁手が捕れずボールが高くバウンド。相手チームの選手も唖然としていました。ラッキーにもRioはランナーとして生き残り、続く5番打者の四球でランナー2塁、1塁。続く6番打者が3塁前に送りバントを転がして・・・・・・と思ったら、何とRioは3塁に走っている途中で2塁に戻ろうとしています。結局、Rioは3塁でフォース・アウトとなり、チャンスを潰してしまいました。ベンチに戻ってきたRioに何で2塁に戻ったのかを尋ねると、「ランナーが自分だけだと思った。2塁、1塁だと思わなかった」という答え。もう、完全におかしくなっていました。でも、私はRioを叱れませんでした。なぜなら、その前の相手の攻撃の際、相手走者の状況がランナー2塁だったのに、それをランナー2塁、1塁と勘違いし、次打者が打ったレフト前のヒットを3塁に「フォースアウト」させるように投げさせてしまったのです。本当はタッチ・プレーだったのに・・・・・・。結局、私も冷静さを失っていたのです。これでは、試合に勝つことはできません。試合は、ウチのチームの攻守にわたるミスが連発し、1対7で敗れました。ウチのヘッド・コーチは試合後、「勝てたかどうかは別にして、相手もミスが結構あったのだから、もっと競った試合には持ち込めたでしょうね」とコメントしてくれましたが、おっしゃるとおりだったと思います。それをこういう結果にしてしまったのは、私たち親子の責任です。監督に申し訳なく思い、謝罪しました。
 
 でも、相手のキャプテンもこの日は普通ではありませんでした。学校では「Rioの前で、チームの本塁打新記録を更新してやる」と息巻いていたそうですが、この日は3打席でノー・ヒット(彼も4番です)。2打席目はキャッチャーへのフライとなり、捕球しようとしたRioと接触。Rioはフェア・グラウンドでコケながらボールを捕球しようとしましたが、ボールはミットから弾け、相手ベンチ(1塁)側へ転がってしまい、彼は1塁に生きました。ウチの監督が守備妨害をアピールしましたが、「成り行き上、やむなし」の判定。前出のヘッド・コーチ曰く、「Rioの一歩目が遅いのが原因」とのこと。確かに、遅かったですね。でも、3打席目は、相手の監督(キャプテンのお父さん)から「フェンスを越せ!」と発破かけられていたにもかかわらず、Rioが頭を使って緩い外角球を要求し、彼を引っかけさせて内野ゴロに仕留めました。お互い4番同士、今日は全く良いところなしに終わりました。
 
 また私も家人もウチの監督も驚いたのが、彼がサードの守備に就いている時、試合に集中せずに何度もRioのことを見ていたのです。また、Rioが打席に入る時は「バッター、4番だぞ!」と大きな声をあげ、Rioが4番に入っていたことまで意識していたのです。正直、彼がここまでRioを意識するとは思いもしませんでした。試合が終わってベンチを出る間際、私はRioに相手ベンチに行って、彼と彼のお父さんである監督に挨拶して来たらと促しました。Rioはうっすら涙を浮かべていましたが、相手ベンチまで行くと、監督さんから労いの言葉をいただき、ライバル(彼にとっては失礼かもしれませんが)と再び握手をしていました。
 
 私も、グラウンドを出てから相手の集合場所に行き、相手の監督さんとキャプテン、それから1つ下の子とそのご両親に挨拶しました。その際、キャプテンと握手しながら「++ちゃん、だめじゃない、Rioを意識しちゃぁ。今日は普通じゃなかったじゃん?」というと、相手チーム内からどっと笑いが出ました。本人、かなり恥ずかしがっていましたが、やはり相手チームも、今日のキャプテンが普通じゃないことはお見通しだったのですね。
 
 Rioは試合に負けましたが、彼にとってはおそらく一生の思い出となることでしょう。そして相手キャプテンも、今日は試合に勝ったことよりも大きな大きな思い出ができたと思います。できたら、2人とももっと冷静に試合ができれば良かったのでしょうけど・・・・・・。
 
 大変長くなりましたが、最後に2つほど。
 
 1つ目は、試合終了後のミーティングで、私はRioと一緒に、このチーム・メイトと一緒に、Rioのライバル達と試合ができたことに対して心からお礼を言いました。「キミ達無くして、Rioは思い出になる試合をすることはできなかった」と。そして、「試合には敗れたけれど、キミ達と一緒にあのチームと戦えたことは、Rioにとっても私にとってもとても幸せなことだ」と。
 
 2つ目は、ゲームセットで整列し、お互いのキャプテンが握手をして「相互、礼!」の際、我がチームは監督・コーチ陣とも当然の事ながら相手に頭を下げましたが、先方さんの監督・コーチ陣は誰1人として頭を下げないどころか、誰もこちらを見ておらず、そっぽ向いているのです。で、ウチのチームの子が相手ベンチ前で礼をして初めて「お疲れさん」と視線を戻したのです。私はそれを見て、「どんなに好成績を残していようが、やはりウチはあそこに世話にならないで良かった。どんなにRioのチーム・メイトが野球に熱心でなくても、今のチームに移籍して良かった」と思ったのでした。
 
 そうそう、私がRioに激怒した話しですが、それはまた次回に・・・・・・(^_^;;;