JET STREAM・・・作家が描く世界への旅。

今週は、旅行作家・山下マヌーと、自然写真家・高砂淳二によるフォトエッセイ『色で旅するハワイ』より、一部編集してお送りしています。

今夜はその第4夜。

まるで異次元空間に迷い込んだような、ラナイ島に広がる赤褐色の聖なる大地。

赤の旅へ、あなたをお連れします。

番組WEBサイトでは、高砂淳二が撮影した写真も、ご覧いただけます。

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赤と言うと、情熱の赤いバラとか、真っ赤に燃えているなどと、通常はそんな風に使われる、どちらかと言うと、激しく熱い色。

だけど、ハワイの赤は、そういうのとはちょっと違う。

何と言うか、柔らかい赤なのだ。

レッド・ダートと呼ばれる、ハワイの赤土。

土が軟らかいのと、島の生い立ちから、地面が波打っている箇所が多いため、赤く燃える大地と言うより、優しく波打つ赤い絨毯のよう。

優しい表情をした、赤い土地の代表として推したいのが、ラナイ島にある神々の庭園だ。

「神様の庭」と呼ばれるだけあり、簡単にはその姿を拝む事はできない。

他の「隠れ家的穴場」と称される場所同様、ここへ行くにも、ちょっとばかり覚悟が必要なのだ。

と言っても、激しく揺られる4WDの車の運転さえできれば、大丈夫。

運悪く雨が降って、赤土がぬかるんでいたりしなければ、の話ではあるが。

ラナイシティを出発後、激しく揺られる事およそ30分。

到着したその場所は、荒涼としつつも、緩やかに波を打つ大地。

見事な、赤である。

［神々の庭園］

乾燥したこのエリアに照りつける、太陽の熱。

そして、強風により浸食された、灼熱の赤土の大地。

その大地の上には、岩や石がオブジェのように転がっている。

自然の力のみで演出された、不思議な空間。

なるほど、これが「神々の庭園」と呼ばれる、所以なのだろう。

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ラナイ島の灼熱の赤土が、まるで緩やかに波を打っているような大地に、神々の庭園はある。

ラナイ島の聖なる大地。

異次元的空間の赤褐色の世界から、我に帰ったその時。

自分自身の体も、赤く染まっているかもしれない。

それは、もしかしたら、今に伝わる伝説。

この島のカフナと呼ばれる神官、カウェロにより呪い殺された、モロカイのカフナ、ラニカウラの怨念？

というのは嘘で、ここまで来る途中のダート道で、細かい赤土が車の中に入り込み、それが服を覆ってしまうためだ。

そんな、体に付いた赤、もしくは垢を落とすのに最高なビーチが、この神々の庭の先にある。

元々、観光客の少ないラナイ島にあって、島の奥のこんな辺境まで来る人は、少ない。

人気の無い、白砂が広がる美しいビーチが、目の前に広がったら、裸になって海に飛び込み、耳の中まで入り込んだ赤い土埃を、海水で洗い流す。

［ビーチ］

ただし、その海域はウミガメが多く生息しているので、ビーチに産み落とした彼らの卵に注意する事を、決して怠らないよう。

【画像出典】

2024/7/18 色で旅するハワイ④