デジタル写真のモノクロ仕上げ
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このところ、デジタルカメラで撮影した絵をモノクロに仕上げてプリントすることについての質問を多く受けるようになってきました。普通に撮影すればキレイなカラー写真が得られるのですが、それを敢えてモノクロ化する表現が流行っているのかもしれません。

というか、好きな人は拘ってモノクロフィルムばかり使っている人もいます。

と、いうことなのですが今日はモノクロフィルムではなく、デジタルカメラでのモノクロ写真の仕上げについてやります。

まづは被写体。

まぁ、ぶっちゃけ写る物はなんでも撮れますが、モノクロに向いているものとカラーに向いているものがあるような気がします。

モノクロは当然にして色が白~黒の濃淡だけでの表現になるので、色味そのものに意味があるようなものはあまり向いていません。

たとえば、一面に広がった菜の花畑。

イメージ 1

↑菜の花に見えますか?

別にモノクロで撮って悪いということはないですが、鮮やかな黄色が一面に広がっていることを伝えたかったんですよね?
モノクロだと、よく見ないと菜の花かどうかわかりにくいですよ。

ぢゃあ、逆にモノクロに向いているものは?

やる気になれば何でも向いていますwが、状況そのものに意味があるものなら確実にOKだと思います。
たとえば街の様子や人々の動き、家族写真など。

しかし、あまり向き不向きにとらわれてしまうとロクな写真が撮れないので深くはキニシナイというのも手です。

カメラの設定はどうでしょうか。

フィルムカメラの時代でしたら、詰めるフィルムの種類によって予めカラーかモノクロか、基本的には撮影前に決まってしまうものでしたが、デジタルカメラの場合は後でモノクロに変換できます。

それに、あとで画像を仕上げるときに、カラーの色調を生かしたモノクロ変換を行うことができるので、最終作品がモノクロと決まっている場合でもカラー撮影しておくべきです。

ぶっちゃけ、カメラの設定でモノクロを指定しても希望通りのイメージに仕上がる可能性は意外と低いです。

ではでは、能書きはこのくらいにして、本日のメイン、モノクロの画像処理に入ります。

基本的に撮ってきたカラー写真をフォトショップに食わせて処理します。
実際にサクラがよくやっている手順を2種類紹介します。
(方式の名前はいま適当につけましたw)

■1.色相・彩度二枚掛け方
撮ってきた写真に色相・彩度の調整レイヤーを2層重ねます。
(つまり、3層になる)
第1層(表層)はレイヤーモードを標準にして彩度をマイナス100に設定。
第2層(中間層)はレイヤーモードをカラーにして色相および彩度のスライダを任意に動かして好みの雰囲気になるようにします。
最初は第2層の彩度スライダを+50くらいにして色相のスライダを左から右までゆっくり動かしてどのような変化が出てくるか試してみるとイイでしょう。
これだけで絵の仕上がりが相当違ってきます。

基本的に2本のスライダでコントロールする方法ですが、スライダを大きく動かしても絵の破綻がなく、失敗が少ない方法です。
フォトショップエレメンツでもできます。

■2.モノクロチャネルミキサー方
撮ってきた写真にチャネルミキサーの調整レイヤーを1層掛けます。
チャネルミキサーのダイアログでモノクロをチェックします。
RGBの各チャネルのスライダを調整して仕上げるのですが、基本的にダイアログに表示されている合計数が100を維持するように設定します。
つまり、Rをプラス方向に動かしたらGまたはBをマイナス方向に動かすことになります。
数値と絵の状況を見ながら3本のスライダを操る為、よくわかっていないと結果が予想できずやや高度な方法ですが、腕次第で凄いことに!
ただし、チャネルミキサーはそれ自体がプロ仕様なのでフォトショップエレメンツには実装されていません。

どうでしょうか。手順自体はどちらでも意外と簡単ですが、仕上げイメージのバリエーションはかなり広がってきます。

試しに過日掲載した100%ウールをフォトショップエレメンツに食わせ、色相・彩度二枚掛け方で調整してみます。ついでなので単純にモノクロ変換したものと比べてみることにしましょう。

イメージ 2

↑単純なモノクロ変換

イメージ 3

↑色相・彩度二枚掛け

どうでしょうか。
イメージというものは人それぞれですが、このケースでは単純なモノクロ変換も悪くはないかなって気もしますが、若干シラッちゃけて薄っぺらい感じがしないでもないです。調整したものは雄羊らしい強い印象が出ているような気もします(ということにしておきましょう)。

撮ってきた元の写真の色味によって部分的に濃淡が変わるので、露出補正や明るさ・コントラスト、トーンカーブでは出てこないような仕上がりになります。