(概ね実話に基づいていますが再構成しています)

ぶっちゃけ、本日の作例は構図的に吟味して撮っているわけではないので自慢げにダラダラ語る所もないのですが、ちょっと変わった撮影方法で撮りましたので御紹介します。

この絵は都内某所のハウススタジオで行われた撮影会でのカットです。
室内撮りでシチュエーションも限られた中で撮っていたのですが、参加者の誰かが天井が空いていて空が見えることに気が付きました。建設中のビルのクレーンも見えています。

誰かが上を指差して言いいました。

「あれをバックにして撮ろう!」

皆さん同意したので、カメラマンは寝っ転がって上を向き、モデルには上から覗き込んで貰う構図です。一人一人交代の順番撮りでやっていきます。

サクラの順番は後の方ですが、皆さんの様子を見ていると上手くいっていないようでした。
皆さんのほとんどがデジタルカメラなので、参考までに何がダメか見せてもらいましたら、顔はちゃんと写っているのに背景は全トビびな人が多いようでした。

イメージ 1


露出補正を色々変えたりストロボを焚いている人もいましたが、やはり上手く行ってないようでした。AEロックを行ったと見られる人もいますが、顔はシルエットになってしまいました。
カメラマンの意図としてそのように撮ったのならいいのですが、今回は顔と背景を両方生かすというところがポイントです。

で、いよいよサクラの番ですが作例に示します通り、ボケとか構図云々は別としてちゃんと背景は飛ばさず、顔も明るく撮れました。

イメージ 2


失敗した人の原因は輝度差です。

室内での適正露出はでISO100のF4半でSS=60を割り込んでいます。それに引き代え、窓の外はとても明るくSS=1000くらいはないと白トビする状況です。
露出段数で(控えめに見ても)5段以上の輝度差があることになります。
これではまともに写る道理がありません。

ここで上手く撮るにはハイスピードシンクロを使います。
(対応したストロボが必要になります)

ハイスピードシンクロについてカメラの説明書を見ると、晴天の逆光時でも顔を明るく、且つ絞りを開けて背景をぼかした撮影ができる云々という説明が載っています。

今回は前景・背景の輝度差を埋める為にハイスピードシンクロを応用します。

手順はこうです。

1.スポット測光・露出マニュアルに設定、ストロボはTTL自動調光に設定
2.背景のクレーンあたりを測光し、測光ゲージ読みで±0あたりに露出を決める
(ISO100のF4.5でSS=1250としました)
3.ストロボの電源が入っていることを確認し、構図とピントを直してレリーズ

2のステップでゲージの設定を上下させることで、空を明るい感じにしたりどんよりと曇った感じにしたりコントロールできます。

顔の部分の露光はストロボの自動調光に任せるので絞りやSSはほぼ関係ありません。
また、今回の作例ではストロボディフューザーを使っていますが、TTL自動調光がそのロス分も加味して発光量を決めてくれるので、調光補正も必要ありません。

背景はストロボ光が届かないのでISO・絞り・SSで決めることになります。

スポット測光で背景に露出をあわせるところが今回のポイントです。
露出モードはマニュアルですから、露出補正やAEロックなどその他のボタンと併用する必要もありません。

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1.露出=プログラムオート、ストロボ=通常発光
2.露出=マニュアル、ストロボ=高速シンクロ
(モデル 小田ひとみ 17才)