ボケ量の話F値の話露出倍数の話TTL露出計の話TTL露出計の話(実験編の前編の続きです。
概ね実話に基づいていますが再構成しています。

「うーん、TTL露出計って使えるときと全然ダメなときがあるような・・・」

まぁ、そうだな。ココまではTTL露出計を多分割測光で使った場合の実験でした。

最後は測光方式をスポット測光にした実験です。TTL露出計を使っていることは同じです。

背景はライトビューアーのまま。測光モードをスポット測光にした以外は同じ撮り方です。

イメージ 1

このときカメラが選択したSSは250でした。
背景は飛んでいますが、KFM-2100は若干アンダーながらまづまづ適当に撮れました。

同じTTL露出計を使っていても、カメラの測光モードが違うだけでかなり露出が変わりました。
スポット測光では周囲の明るさに左右されずに、撮りたいもだけを狙って測光することが出来ることがわかります。

「でも、コレで適当な露出だとしても1枚目でカメラが選択したSSよりかなり高速だよね?」

おそらくライトビューアーの光がKFM-2100の前面にも回りこんでいて、実際に明るくなっていることなどが考えられます。

「それと、やっぱり若干アンダーといわざるをえなくない?」

わはは、そうだね。実験の目論見としてはSSはいいといしても、ここで完全に適切な露出を決めたかったのだが、私の使っている機種のスポット測光サークルは若干大きめで、しかもそのキレが多少甘くて測光範囲の周辺の明るさに多少引張られた可能性はあるな。

余談ですが、このようなシチュエーションは室内ポートレートではよく出くわします。
若干暗めの室内で、窓の外は天気が良く、庭先にはたっぷりの光が降り注いでいるような場面です。

モデルは窓際に立ちました、露出はどのように決めればいいでしょうか。
窓の外は飛ばしてしまってもよければ実験と同じように決めればいいだけですね。
スポット測光のときはできれば露出モードはマニュアルにしてしまったほうが使いやすいはずです。

露出モードをマニュアルにして絞り(F値)を適当に決めます。人物の顔をスポット測光し、SSをゲージ読みで±0~+1の範囲にあわせればOKです。
念の為レリーズする前に窓の外もスポット測光してみましょう。おそらく測光ゲージは振り切れていますが、気にすることはありません。構図を戻してレリーズすれば人物は適切に撮れます。
当然ですが、露出はマニュアルですのでAEロックとかそのような作業は必要ありません。

「逆に窓の外の風景を生かしたければどうなる?」

問題ありません。この場合、外の背景を救うと人物はシルエットになるでしょう。
スポット測光で窓の外の緑の葉っぱなどを狙ってゲージ読みで±0にするだけです。
念の為人物の顔もスポット測光してみましょう。ゲージが-2か、マイナス方向に振り切れていれば完全なシルエットとなるでしょう。
ちなみにシルエット状の絵にするときは、人物には横を向いてもらうと顔の輪郭がバッチリ出ます。

「背景と人物を両方生かしたいときは?」

それは小道具が必要だからまた今度。

「ぢゃあ、今の2つの例(窓の外を飛ばす/人物シルエット)の補正量の根拠は?」

うん、それもイイ質問だ。w
今スポット測光に設定しているので、もはやファインダーに写っている絵柄全体を眺めて勘で補正量を決めるというアバウトな考えは忘れてください。

スポット測光は、ファインダーの中心の数㌫だけを使っていますので、そのごく限られた範囲の絵柄が何色になっているかだけを考えればOKなんです。補正の方向と量は色によって決まっているという説明をしたよね。

なに?忘れた?ぢゃあ、今一度前の記事を見て思い出して頂戴。
(人物の顔は0~+1、背景は緑なので補正なしの±0だよね、ソレが補正量の根拠)

構図と関係なく、自分がメインと思う被写体をファインダーの中心に位置付け、測光ゲージの針を見ながらSSとF値を決めればイイんです。測光ゲージの針は色による補正量そのものズバリです。
露出が決まったらあとは構図を戻し、ピントを合わせてレリーズしてください。

「模様がマダラでスポット測光の枠(円)内でもまだ色が混ざるときは?」

そう来ると思った。w
そのくらいなら勘も働くだろ。それにズームレンズなら一旦望遠(拡大)にしてなるべく色が混ざらないようにするか、足があるんだから2,3歩被写体に寄ってみることで拡大できるだろうね。

でも、崖ップチでファインダーのぞいたまま歩き回ると転落して死ぬから気をつけてね。
あと、スポーツとか報道でこれをやると肝心のシャッターチャンスを逃してしまいますから。

「ぢゃあ、その報道とスポーツはどうすればいい?」

あんた報道カメラマン?だったっけかぁ?
そういう人は多少の露出がどうのとかより写っていること自体が重要。
フルオートでメモリーが溢れるまで連写連写連写。

っつーか、キットレンズ付き入門機+100mmのマクロレンズで報道でもないだろ。w

「入門機で報道したっていーぢゃん!あと、スポット測光では露出をMにするほうがイイというのは?」

絞り優先AEでスポット測光にすると、カメラを動かしたときSSが頻繁に動きます。SSの数字だけで輝度差を読むのは大変です。マニュアルでしたら絞りとSSは固定されたままで測光ゲージの針が動くようになりますので輝度差を読みやすくなります。

「輝度差ってのはよくわからんが、スポット測光だと概ねヤマカンは要らなそうだな・・・」

今後説明が進んでいくと、単に被写体にピンポイントで測光してレリーズするだけでなく、輝度差チェックという技が使えるようになり、光量に起伏のある複雑な光線状態でも精密なコントロールができます。ある意味、測光ゲージを動的なヒストグラムとしてしまう使い方です。

先ほどの窓際での露出の決め方もその一例ですね。

今日の実験はほんとに只の実験。原理の理解です。
実際の撮影はもっと複雑で起伏のある光源であることが多いと思います。

慣れてきたらスポット測光・TTL露出計の特性を生かした応用的撮影方法も紹介致します。