リンダ・グラットンのワークシフトより。
フィナンシャル・タイムズ紙のマーティン
・ウルフは、先進国の消費者と政府が、過
剰な借金をして身の丈以上に金を使ってき
た状況についてイソップ童話の「アリとキ
リギリス」の物語になぞらえた。
いうまでもなく、ウルフの見立てによれば、
中国人やドイツ人、日本人がアリであり、
アメリカ人と多くのヨーロッパの国の人々
が夏の間ずっと能天気に遊びほうけ、散財
をし続けたキリギリスである。
このお話でアリとキリギリスにどういう運
命が待っているかは、説明するまでもない
だろう。
確かに、アメリカの個人の借金レベルは日
本の比ではない。
学生ですら奨学金の返済に苦しむ人達は極
めて多いそうだ。
その点、日本人は2000年までは相当に
優等生だった。
1980年ころまでは個人の貯蓄率は世界
のトップクラスで、中国の所得の20%以
上を貯蓄しているのと近似していた。
しかし、現在はアメリカをも下回っている。
国家の借金は世界一レベルだ。
従って、現在はアリといえるのかどうかは
極めて疑わしいと言わざるを得ないのでは
なかろうか。