二日酔いか?頭が痛い。
どんなに飲んだ朝でも習慣ってものがあるようで…朝の6時半には目が覚めてしまった。まだ酔っているのか…水を飲もうと台所に行くもコップのあり場所が分からなくなっている。仕方なく蛇口から直接水を飲む。
あ~しんどい。朝なのに…そして昨日のコトを思い出す……。

が、思い出せない。?!。
全く思い出せない。

アレ?確か昨日は…えーっと…昨日は…?。ん?おとといは?あれ?
アレ?最近は??何してたっけ??アレ?先月…?この夏…??ん?春は??
アレ?全く思い出せない。全部忘れているのだ。

とは言え、朝で時間も無い…とにかく支度を済ませ会社に行く。飲み過ぎでむくんでいるのか?替えたワイシャツが小さい。
会社に着き、係長に挨拶。係長はビックリした様子でこちらを見ていた。
ワイシャツが小さいのが、そんなに変なのだろうか?と、ぼくは少し気になった。
すると同期の杉本が走ってきた。「おはよう。」ぼくは二日酔いのしんどさを悟られない様、精一杯爽やかに言った。
しかし杉本は焦った顔でぼくを自販機の裏に引きずり込み、ぼくに言った。
『てめぇ、何しに来た!??』
「え?」ぼくは言った。
『え?…じゃねーよ!てめぇ5月いっぱいでクビになったじゃねーかよ!!』
「!?。クビ?ぼくが??5月に?」
何がなんだか分からなかった…。クビになったんだっけ?5月に?思い出したくても思い出せない…。忘れているのだ。

すると杉本はぼくに言った。
『おまえ、さては…今年もまた忘年会行ったろ?』と。


そうなのだ。きっと忘年会に行ったのだ…。そしてきっとまた、今年も忘年会に行ったのだ。そして今年もまた今年を忘れてしまったのだ。“忘年”してしまったのだ。
『毎年毎年忘れやがって!おまえの一年は毎年、忘年会~大晦日までの半月くらいしか記憶無ぇじゃねぇーか!!あと、毎年いってるけど、オレは吉岡だからな!!』

こっぴどく……杉山に怒られ、ぼくはとりあえず家に帰った。



~2~へ続く。