ある日…。

アレは一年前の正月辺りからだろうか…?
わたしの額に、ホントに…うっすらと…文字が浮かび上がってきた。
何回も顔を洗っても落ちないし、かといっても、痛かったり痒かったりするわけでもない。


ただ「アナログ」と書いてある。

とても気にはなっていたが、医者にいっても、特に生活に支障は無いでしょう…と言われ、なんとなくそのままにしていた。

しかし、先日会った学生時代の友人にこの額のコトを言われ、私は恐怖震えあがった。

「お前アナログだろ?このままじゃ2011年の7月に死ぬぞ!
と、言われた。

なんでも、2011年7月にアナログと書かれている人間は、使えなくなると言う理由で、奇妙な鹿によって一斉に処分されるらしい。


死にたくない!!

私は友人に、どうしたら額の「アナログ」の文字が消えるかを聞いた。

「デジタルになる為には…まずは、薄型になるべきではないか!!」
ということになり、私は96kgあった体重を65kgまで落とした。
しかし額の文字は消えない…。
私は更にに20kg落とした。
しかし額の文字は消えない…。

私は友人に、それでも額の文字が消えないコトを伝えた。
すると、
「ならば、ハイビジョンになればイイのでは?」
ということになった。

私は整形手術をした。
顔がハッキリとみんなに見えるように、
一重を二重にし…
顎を削り…
鼻を高くする注射を打った。
クリニックの先生も、
「YES!」
と言ってくれた。

しかし、それでも額の文字は消えない。

私は友人に、まだ額の文字が消えないコトを伝えた。
すると友人は
「え?どなたですか?」
と言ってきた。
顔が変わり過ぎて誰かわからなかったのである。
2時間ほどアレヤコレヤ説明をしたが、まだイマイチ誰かわかってなかったので、額の文字を見せた。

すぐに、友人は次の作戦を考えてくれた。
「ならば、きっと内面だ!生活をすべてデジタルに変えるんだ!!」
ということになった。

私はまず、テレビデオをブラビアの最新のヤツに変えてみた。
しかし、額の文字は消えなかった。

私は新聞をやめ、パソコンを買いインターネットを使うようになった。
額の文字は消えない。

私はカセットテープのウォークマンをipodに変えた。
額の文字は消えない。

私はカメラを写るんですからデジカメに切り替えた。
額の文字は消えない。

私はβのビデオをやめ、ブルーレイで映像を楽しむ様にした。
額の文字は消えない。

私はエポック社、スーパーカセットビジョンを捨て、Xboxでオンラインゲームをするようにした。
額の文字は消えない。

私は部屋のカーテンをフランフランのやつにしてみた。
額の文字は消えない。

私はポケベルから、iPhoneに機種を変えてみた。
額の文字は消えない。

私は部屋の時計をフランフランのデジタル時計に変えてみた。
額の文字は消えた。

額の文字が消えた!!


結果、原因は時計のデジタル化だった。


そして、キレイな額の前に莫大な借金が残った。
支払い期限は…
2011年7月である。