誕生日。そうは言ったって日常はなにも変わらないし、変われないし、変わってはいけない。心晴が隣にいたならば、どんな1日だろうと想像するのは、もはや無意識。呼吸のように、眠りにつくように、反射で、自然なもの、すぎる。
サプライズを考えるのが心晴は好きだった……好き、だよね。姫咲、と名前を呼んで、「想像もつかなかったでしょ?ね、びっくり、したでしょう?」と満開の笑みで無邪気に顔をのぞき込むあなたが好きだった。
……そう、大好き、だったの。世界で1番の友達で、世界で1番心があたたかくなる居場所で、世界で1番「2人だけ」、だと。
きっとこの「好き」は、恋に似ていた。限りなく恋に近い、「たいせつ」だった。焦がされ続け、同時に満たされ続けていた。きっと、世界で1番。
その唇を望んだりはしなかったけれど、それでもあなたの、心晴の全部の1番が私であればいい。
幸せな、甘くてまっしろな再放送を何度でも続けていく。2人は、そうだった。
なにもかも、2人で居続けるための手段でしかなかったのかもしれない。最終的に、それこそが私たちを最悪な形で引き剥がす訳だけれど。
あーあ、未練、だらけ。わからない。心晴があの日なにを思ったのか、その全ていっさいを、知りたいの。ねえ、私はあの日初めて拒絶されたって、そういうことなの?
もし答えが帰ってくるならば、それは1から10までの否定でしょう。絶対。優しいものね、知ってる。私が、誰よりも。
私たちは、きっと誰も悪くなかった。伝説の戦士であっても、世界を救う使命があったとしても、同時に夢を追いかけることだって望んでいいはずだった。
それでも、私は、全てを私のせいにした。きっと、投げやり。八つ当たり。時計の針を止めたのは私。そうして大人になれなくなった。
それでいい、の。私、瑚都雨姫咲は、心晴とずっとここに居る。いつまでも一番近くで、あなたの命を背負うために。
2年前のあの大雨の日、から、過去から未来に干渉するかのように、私が全ての全てを終わらせる。
4人の夢見る伝説の戦士へ、尊く煌めくその夢が、あなた達にとって輝く光のままであるように。
もう少しだけ待っていて。雨が再び降るその日、普通の女の子へ帰してあげるから。
瑚都雨姫咲
