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誰もが適切な小児がん医療を受けるために。

《結論》

小児がん拠点病院と連携病院の連携により、全ての小児がん患児に、適切な医療を提供する。

(小児がん拠点病院はこちら http://hospdb.ganjoho.jp/kyotendb.nsf/xpChildSearchTop.xsp  )

1)相談先 (下記の2,3などに関しても相談するのが良いと思います)

小児がん拠点病院の相談センター
http://hospdb.ganjoho.jp/kyotendb.nsf/xpChildConsultantResult.xsp

2)小児がん拠点病院と連携病院の役割分担

標準治療が確立されている小児がん(注1)は連携病院

再発難治例(注2)については、小児がん拠点病院

(注1) 急性リンパ性白血病初発など

(注2) 再発横紋筋肉腫、再発神経芽腫など

例)連携病院で急性リンパ性白血病の化学治療を行い、骨髄移植などの最先端医療が必要になれば、小児がん拠点病院に転院。

3)固形腫瘍について(脳腫瘍、神経芽腫、骨肉腫など)

外科医との十分な連携が必要な疾患に関しては、小児がん拠点病院だけではなく、経験豊富な外科医が勤務する病院と連携をする。

(例)

脳腫瘍 (脳外科でも脳腫瘍を専門とする脳外科医が充実している病院との連携)

骨肉腫 (整形外科でも骨軟部腫瘍を専門とする整形外科医が充実している病院との連携)

膀胱原発横紋筋肉腫 

 (泌尿器科でも腫瘍、尿路再建術の経験が豊富な泌尿器科が充実している病院との連携)

頭頚部腫瘍(横紋筋肉腫など)

 (耳鼻咽喉科でも、腫瘍や再建術の経験が豊富な耳鼻科・頭頚部外科が充実している病院との連携)

《個人的コメント》

自宅の近くに小児がん医療に精通したスタッフがたくさんいる病院があることが望ましい。しかし小児がんの症例数の少なさ・多様性から、現実的には不可能である。

諸事情を考慮せず、こどもの治療や療養環境を考えると、小児がん拠点病院が安心だろう。

しかし、

自宅からの距離が遠いなどの、患者家族の事情

すべての小児がんのこどもを、小児がん拠点病院のみで対応するのは、物理的(小児がん拠点病院のベッド数)に不可能

という、患者側、医療者側の両方の事情を考慮すると、小児がん拠点病院と連携病院が、密に連携することが、現実的な望ましい日本の小児がん医療体制というのが、大部分の医療者、患者家族・国の結論のようです。基本的には、妥当な結論と考えますが、標準治療が確立した小児がん(急性リンパ性白血病初発など)の患者さんが、小児がん拠点病院を受診した時に、連携病院に紹介するのか?という現実的な問題もあると思います。いずれにしても、患者家族にはメリット・デメリットを認識したうえで、治療する病院を選ぶ権利があると思います。

小児がん拠点病院のメリット

医療者の経験が豊富である。

小児がんの患者のみの病棟に入院する可能性が高く、こどもや家族は、他の患者・家族に相談する事が出来る。

病棟内に一般感染症の患者がいないため、骨髄抑制中でも病室内に隔離される事が比較的少ない。

入院中も教室、保育の体制が充実している(毎日数時間の授業を受ける事が出来る、保育士やボランティアが保育を担当する)ため、こどもの社会的発達が遅れない。

小児がん拠点病院のデメリット

・自宅から遠い可能性がある

・ほとんどのこどもに、病名告知がされている可能性が高く、もし自分の子どもに病名を伝えたくなくても、他の子どもから「がん」であることが、伝わる可能性がある。

連携病院のメリット

・自宅からの近い

・外泊の時に、家族や、友人と会いやすい

・小児がんの患者は、病棟内では重症患者になるため、スタッフ全員が関心を持つ傾向があり、患者家族は医療者と密なコミュニケーションをとることができる。

連携病院のデメリット(すべての連携病院にあてはまるわけではなく、拠点病院よりはその可能性が高いとご理解ください)

・拠点病院よりは、小児がん患者数が少ないため、医療者の経験も少ない(小児がん専門医はいますが、看護師や、その他のスタッフの経験が拠点病院よりは少ない)

・風邪、インフルエンザ、ノロウイルスなどの一般感染症の小児患者と同じ病棟で治療をする事もある。

・感染症対策のため、長期間の個室入院となり、社会性が損なわれる可能性がある

・大人と同じ病棟になる可能性がある

・入院中の教育、保育の体制が、十分ではない。