さて、ここからは後日事件を振り返ってみます。
~母から聞いた実際の電話の手口~
事件は実は私の帰省した土曜の前日、金曜に始まっていました。
18時頃、家に電話があったそうです。※⑦
犯人 『●●市役所××課の△△と申します。介護保険料の還付がありますが、手続きが今日までになっています。普段お使いの口座に払い戻ししますが、どちらになりますか?」
母 「A銀行です」
犯人 『それでは銀行の方からのちほど連絡がありますが、本日ATMで結構ですので手続きに行っていただくことはできますか?』
母 「わかりました!」
話を聞いていた父は怪しく思い、市役所へ電話します。しかし時間外のため、当然誰も電話には出ません。
携帯の番号も教えてしまった母、今度は携帯に電話があります。怪しんでいた父は電話を替わりますが「市の方から委託されている」という言い分を信じてしまいました。
元々信じやすいタイプの母、しかもフットワークがとても軽いため、すぐATMへ行ってしまいました。
ATMに到着。
最近ATMの近くには必ず『ATMに行くよう指示する電話は詐欺です!!』的なポスターが必ず貼ってありますが、詐欺だとは微塵も思っていない母の目には全く入っていませんでした。
犯人 『それでは〇〇のボタンを押してください』
母 「はい」
犯人 『できましたら次の番号を押してください』※⑧
母 「はい」
犯人 『それでは□□のボタンをおしてください』
母 「はい」
犯人 『できましたか?』
母 「はい」
犯人 『それでは… 』
しばらくこのようなことを繰り返していると、途中で手続きができなくなります。※⑨
母 「あれ?できません」
犯人 『できませんか?それでは△△を押してみてください』※⑩
このようなことを繰り返しますが、最終的に手続きはできなくなります。
犯人 『おかしいですね…それではこちらでお調べして再度お電話いたします。還付は必ずされるようにいたしますのでご安心ください』
母 「わかりました」
後日
犯人 『●●市役所です。普段お使いの口座で手続きができなかったようですが、他にお使いの口座はありませんか?』※⑪
母 「ゆうちょがあります」
犯人 『それではそちらで手続きを行います。連絡がいきますのでお待ちください』
その後、A銀行と同様の手続きを行います。クオカードやタオルの話はここで出てきました。
ゆうちょから電話があるまで母は全く気づいておらず、それを見越した犯人からはしつこく電話が掛かってきていました。
以上が実際の電話の手口です。(私が母から聞いた話を再構築していますので、詳細は違うところがあるかもしれません)
【ここで注意すべきポイントについて振り返ってみたいと思います。※①~⑩】
①、⑦ :電話があったのは10月中旬、金曜の17時以降です。なぜなら偶数月の月半ばには年金が振り込まれるからです!!
実際年金をもらう年代でないとこれは知らないと思います。
この時期の電話には特に注意が必要だと思います。そして17時以降、実際の役所は閉まっている時間で、こちらから確認は取れません。
②:父はしっかりしている人です。しかし年を重ね、以前と同じではないということを肝に銘じておかなければ、と思いました。
③:犯人は当然振り込まれたお金をできるだけ早くおろしたいので、いつ振り込めるかをしつこく聞いてきます。
お金のことをしつこく聞いてくる電話は怪しい!!
④:当然クオカードもタオルも全くの嘘です。
しかし、このような話を挟むことで話のリアリティーを出しているのだと思います。
また、こちらが悪い、という態度を醸し出すことで疑われることを避けているのだと思います。
⑤、⑪:犯人はとにかくお金を取れるだけ取ろうとしてきます。そこで、口座がいくつあるのか聞き出そうとしてきます。
ここで再び…お金のことをしつこく聞いてくる電話は怪しい!!
⑥:最近はどの銀行にも特殊詐欺の対応部門があるようです。だいたいフリーダイヤルで、ここに電話すると話が早いです。
⑦:電話は終始礼儀正しく、丁寧だったそうです。
⑧:実際母がやらされているのは「振込」の手続きです。
なので「口座番号」や「金額」を入力しているはずなのですが、「番号」と表現することでそれをわかりにくくしています。
確認画面で知らない人に振り込みをしようとしているのに気づいてもおかしくないのですが、電話しながらで注意力が散漫に
なっており、気づくことができませんでした。
⑨、⑩:なぜ操作を繰り返すのか、手続きができなくなるのか、というと、犯人はまず1回の振込の限度額近くの「番号」を押させて振り込ませます。成功すれば口座にまだお金があるということなので、1日の振込上限まで、もしくは口座の残高がなくなるまで繰り返させるのです。手続きができなくなったら金額を下げていって少しでも残っているお金を取ろうとします。例えば1回の振込上限が50万円であれば、はじめは50万に限りなく近い「49××××」という番号を押させ、これでできなくなると残高が50
万以下ということになるので40万、30万と下げていって少しでも搾り取ろうとするのです。
う~ん、まったく腹立たしい!!
次回は、残念ながら被害に遭ってしまった場合の手続きについて説明したいと思います。