<犯人>

  • 桐江想子 (18)

メイド。
純情な田舎者丸出しのいかにもメイドの小娘、と思ったら大間違い。
その中身は相当な修羅場をくぐってきた「鉄の18歳」。
父を亡くし天涯孤独の最低の生活の最中、2年前に父の友人山之内に再開。
父のアイディアを盗用し有名作家になっていた彼の家にメイドとして入り、元の家であり彼の別荘である露西亜館で父のトリックノートを見つける。
彼の死後ノートから遺産相続の暗号ゲームの答えを知り、遺書の内容を確認。
候補者全滅による遺産相続の権利を知り、3人の候補者を殺害することに。
真相解明後、自殺を試みるも高遠に止められ、逮捕。
豹変具合・あがき方・引き際・告白と、どれをとっても印象的な名犯人。

<被害者>

  • 神明忠治 (50)

ミステリー評論家。
ちょび髭を生やしたセクハラオヤジ。
最近酒の量が増え、単なる悪口のような評論を量産していた。
山之内恒聖の作品が文学賞候補になった時ひとり異を唱え作品は落選、
山之内の怒りを買っていた。
撲殺され、暗号の一文をなぞるように首を狩られて、
浴槽にその体と頭を浮かべていた。
その死体描写には気合が入っており、またキャラも立っていて、
早期退場するわりには影は薄くない。

  • 宝田光二 (35)

文芸雑誌 編集者。
株で作った借金のため、事件中も気が気でない様子を見せていた。
原稿の取り立てが厳しくしつこいので有名であり、この件で山之内の怒りを買っていた。
刺殺。睡眠中に滅多刺しされ、神明同様首を切られる。
応接間に座らされ、金田一到着時に胴に乗せていた首が転げ落ちた。

  • 幽月来夢 (32)

挿絵画家。
高遠遙一の友人で、彼の逃亡生活の手助けもしていた。
か細い感じの美人だが顔の右側にヤケドの痕があり、長い髪で覆い隠している。
上記のような生い立ちでも、少なくとも暗い顔は見せておらず、殺されそうなタイプではなかった。
以前山之内の作品の挿絵にトリックの答えのようなものを描き込んでしまい、山之内の怒りを買っていた。
絞殺され、神明同様首と胴を離される。

梅園の死体の胴体部分と思われていたのは彼女の死体である。これは高遠が真犯人を確実に騙すために敢えて実行している。
良識を持った人間ならまずやらないため、真犯人も死体の再利用には全く気付かなかった。
植物状態の弟がどうなったのかについては触れられていないが、恩のある高遠が何らかのフォローを行っている可能性もある。

<容疑者>

  • 田代富士夫 (62)

執事。
普通に執事の仕事をしてあまり目立っていなかったが、普通に気が利きそうな執事ではある。

彼自身は山之内の遺産後継者候補に選ばれなかった事を不満に思っていたが、事件の真相や仕掛けのない部屋を当てがわれていた事実を考えると、彼は「山之内にとって憎しみや猜疑心の対象ではなかった数少ない存在」だったのではないか、と読者に思わせる。

  • 犬飼高志 (16)

高校生。
育ちがよさそうな青年。
近所で殺人事件を解決したこともあり、金田一には挑戦的な態度を取りイヤミタイプに見られたが、事件後には芯の強さと思いやりのある一面を見せていた。
山之内と隣人だったことがあり、自宅で飼っていたたくさんの猟犬がうるさく、山之内の怒りを買っていた。
上手な「死に演技」を見せる。

  • 梅園薫 (28)

ミステリー作家。
露出度の高い服を着たビジュアル系作家。
盗作の一発屋でその後は鳴かず飛ばず。
一時、山之内の愛人でその時に盗んだアイディアで彼も取れなかった大きな賞を手にし、山之内の怒りを買っていた。
「死体演技」は上手かった。

  • 有頭大介 (27)

弁護士。
細身、メガネ、細目で気の弱そうな顔をしているが、
簡単な検死ができ、また異常事態の中でも淡々と任務をこなし、
解答編では偽の遺書を介して犯人告発までさせられた。


<事件関係者>

  • 山之内恒聖

長者番付の常連だった売れっ子ミステリー作家。
その作品は桐江想子の父のアイディアを盗用したものだった。60歳の誕生日を前に急死。
事件の「真の真犯人」とでも言うべき存在で、桐江想子を巧みに操り、遺産相続の暗号ゲームで呼び寄せたターゲット達を自分の書いた小説をなぞる様に殺人を起こさせるよう企んでいた。

この小説、最初から事件発生後に存在が明らかになる事を計算した上で書いた物であるらしく、山之内は暗号解読レースが行われている間に、代理人を通して文芸常談編集部に届くよう仕向けていた。
その結果、事件が伝わった編集部では、その話題性抜群の遺作を「速攻で掲載を決定した」といつきは語っている。
ターゲット2人の殺害には失敗したものの、陰湿で強欲で残忍な素顔を隠し「人格者」のままこの世を去ると同時に恨みを持つものを葬り去った究極の犯罪者。

  • 桐江純一郎

想子の父。主にロシアの美術品を扱う貿易商で、露西亜館の前の持ち主。
元・作家志望で学生時代からトリックノートを書き溜めており、いつか自分の推理小説を世に出すのが夢だった。
山之内とは大学時代のミステリー研究会での友人同士であったが、親の仕事を引き継ぐ形で何不自由無い裕福な生活を送っていた上に、
ミステリー作家としても優れた発想力まで持っていた為か、身寄りの無い貧しい人生を送っていた彼から内心嫉妬されていた模様。
想子がまだ10歳にも満たない頃に、仕事先のヨーロッパでの事故により急死。
死後、会社は色々な人の裏切りにより傾き、娘にもろくに財産は渡らなかった。
その上自分の作った暗号で娘が殺人を犯してしまったとても可哀想な人。

  • 高遠遙一

仮面をつけ、奇術師・スカーレット・ローゼスを名乗る。
友人である幽月来夢を殺され、静かな怒りを燃やしていたが、
犯人の生い立ちに昔の自分を重ね、約束を守って犯人を「助けた」。


<レギュラー>

  • いつき陽介

遺産相続の手助けを依頼。
めずらしく本人は来なかった。

宝田が殺されて悲しむそぶりは見せなかった。

  • 七瀬美雪

金田一視点でのドキドキイベントあり。

  • 佐木竜二

ビデオ大活躍。

 

<その他>

  • 村上草太