~28歳で起業。新業態に挑戦し、がけっぷちから這い上がった“あきらめない姿勢とは~
日本国内の市場は、多くの業界で閉塞感が高まっていますが、新しい業態で業績を伸ばしている店舗がございますのでご紹介いたします。その名も『勉強カフェ』(http://benkyo-cafe.net
株式会社ブックマークス 代表取締役 山村 宙史)。『勉強カフェ』は、“前向きな勉強仲間ができるカフェ空間”をコンセプトとして誕生しました。目標達成に向けて仲間と一緒に前進できるこれまでありそうで無かった、まったく新しい会員制(月会費)のコンセプトカフェです。
今では、テレビ・新聞など多くのメディアに取り上げられる注目の業態となりましたが、山村社長のスタートは、決して順調な滑り出しではありませんでした。開業は、2008年11月。28才ではじめての起業。経営経験無し。資金的余裕無し。スポンサー企業無し。顧客無し。当初はスタッフも0名の状態でのスタートでした。まさに、「想い」だけが山村社長を支えていました。
きっとお客様の流れがやってくると信じ5ヶ月ほど経過しました。店舗ビジネスのため、売上が立たないと毎月の固定費が重くのしかかり、資金も底が見えて焦りがピークに達した頃です。それまでリスティング広告に依存していた宣伝費を見直し、残りのわずかな資金の使い道をマーケティングノウハウの習得にあてようと考えたのです。山村社長は、ブログ集客のコンサルタントに残された資金を預けました。そして、その結果少しずつブログを通じた集客に手ごたえを感じるようになったのです。
そしてこの時期、同時によい連鎖が生まれます。かねてから地道に行っていたPRが開花します。
読売新聞社から取材の依頼が入ったのです。それを機にNHK「経済ワイドvision e」そして、日本テレビ「ズームインsuper」などのメジャー番組や新聞・雑誌など多くのマスメディアに取り上げられるようになったのです。(これまでのメディア掲載実績 http://benkyo-cafe.net/cn13/m2009.html )
マスメディアの追い風とインターネットの集客基盤が相乗効果を生み、会員がみるみる増え上昇気流を創出することができました。このようにブレイクしたのは、開業からわずか半年のことです。現在は、1年10ヶ月が経ちますが1号店は順調に推移しており、今年の10月には2号店を出店する計画を進めています。しかも驚くのは、その2号店は、高額な店舗契約料、内装費などの出店費用が0円という常識では考えられないプランを考案し実現しました。
なぜ、『勉強カフェ』は、たった半年でブレイクすることができたのでしょうか。
マーケティングの視点で分析していきたいと思います。
マーケティングの世界では色々な理論がありますが、私どもはマーケティングをシンプルに理解するために、マーケティングの役割を商品の「差別化」×表現の「魅力化」×集客の「効率化」と、3つの機能として捉えています。これを「3ステップマーケティング」と呼んでいます。
今回の『勉強カフェ』の事例をこの「3ステップマーケティング」の視点で検証したいと思います。
●商品の「差別化」
商品の「差別化」×表現の「魅力化」×集客の「効率化」。この中でもっとも重要なことは、「差別化」です。差別化されている状態とは、「顧客に受け入れられ、かつ競合より優れた違い」が明確にあることです。つまり、顧客ターゲットが明確で、かつニーズにマッチしたサービスであり、かつ競合よりも十分に「差別化」されている場合、そのインパクトは強く、とても大きなパワーを生み出します。今回の事例は、この「差別化」が非常にしっかりできています。勝間和代氏や茂木健一郎氏に代表されるような自己啓発系の勉強本がブームですが、不景気でいつまでも会社に依存できない状況から個人能力を高めたいというニーズが高まっています。そのような消費者ニーズを的確にとらえ、本などによるノウハウ提供ではなく、勉強するそのものの場を提供したことがポイントとなります。従来、勉強できる場所としては、図書館やカフェなどがありますが、こちらでは勉強するという目標を持った方々が集まり、コミュニティーを形成することによって目標達成をより加速させることができる、というベネフィットを提供した点が顧客からの支持のポイントといえるでしょう。
●表現の「魅力化」
次に「差別化」された商品やサービスをターゲットにしっかり伝えるためには、表現の「魅力化」が重要になります。表現の「魅力化」は、簡単に言うと『言葉』と『ビジュアル』をブラッシュアップさせる作業です。このレベルが高ければ高いほどターゲットにしっかりと魅力を伝えられるブランドとして存在感を発揮します。
『ビジュアル』は、目でみて理解する際にとても効果的ですが、言葉で伝えることが難しいという欠点があります。よって、口コミを発生させたい場合においては、『言葉』がとても重要になります。『言葉』は、自分の口から他人の耳へ伝染させることができます。この事例の場合『勉強カフェ』という『言葉』=ネーミングが大きなポイントになります。実は、立ち上げた直後は、「会員制書斎空間」というネーミングで運営していました。しかし、少し固いイメージがよくないと思い横文字で「プログレスカフェ(Progress caffe)」というネーミングに変更しました。さらに、その後もっとよいネーミングはないかと検証に検証を重ね『勉強カフェ』というネーミングにたどり着きました。実に短期間に2回もサービス名を変更しています。その頃から、マスコミ各社に地道に配信していたプレスリリースの反応が得られるようになったのです。
●集客の「効率化」
最後に集客の「効率化」。限られた予算を最大限効果的に使うためにインターネットに特化した集客を行っています。ブログや検索系のサービスから顧客を誘導するにあたって、一番基本的なことは、自社サイトが訪問した見込客の「興味喚起→理解→納得→行動」を誘発するつくりになっている必要があるということです。先のサービスブランドの「魅力化」に加えて、説得型の導線設計を考えたコンテンツを用意する必要があります。このしっかりとした受け皿があってはじめて、ブログや検索系サービスなどもろもろの集客が効果を発揮します。サイトhttp://benkyo-cafe.net
を見ていただくとお分かりになると思いますが、『勉強カフェ』のサイトはとてもよくできています。
インターネットの集客基盤が整いつつあるベストなタイミングでPRが開花していくわけですが、それまでは、どのようにしたらメディアに取り上げられるかを徹底的に研究したそうです。山村社長は、「資金は限られているけれど知恵を出すことはできると前向きに取り組んだ」といいます。何度もリリース原稿を書き直し、あきらめずに各メディアにプレスリリースを配信したそうです。
このように「3ステップマーケティング」の視点で分析すると、結果的にとてもよい流れで進行していることが分かりますが、山村様は起業前に特別にマーケティングを勉強したわけでなく、起業してから走りながら学んだといいます。限られた資金で、顧客ゼロの状態が何ヶ月も続きますので、がけっぷちの危機感と戦っていく精神状態は半端ではなかったそうです。とにかくお客様がいないわけですから、空いた時間は様々なノウハウを学び、お金がかからない方法で諦めずに実践していこうと考え試行錯誤を繰り返したそうです。
山村社長は、この危機的状況で、会員獲得のためにセールスに走り回っていたのではありません。集客ノウハウの短期習得と実践を繰り返したのです。私は、ここがとても重要だと思うのです。
マーケティングの成功要因は、様々な変数がかけあって成果を発揮します。その変数を自分のビジネスにあてはめて成立させるためには、相応の努力が必要です。特に私が日頃感じることは、マーケティングに関しては、あまり努力されていない企業が多いと痛感しています。たとえば、ひとつの集客に関しても、チラシをやってみたが効果がなかった、DMを出したがまったく反応がなかった、などという話はよく耳にします。しかし、そのような集客も何度もテストを繰り返し、試行錯誤を繰り返していると反応がでてくるものです。
広告などマーケティングに関連する様々な手法は、結果がでにくい、無駄になるという認識が広く浸透しており比較的ネガティブに考えられがちですが、はたしてその認識は正しいのでしょうか。
よく、うちは、口コミだけで繁盛しているとか、紹介率90%以上、というフレコミをしている企業が見受けられますが、私はそれを聞くと、口コミ以外のマーケティング活動をさぼっているように聞こえてしまいます。口コミだけで成功しているのであれば、それ以外の施策を投じてもっと加速させることができるのにそれを企業としてさぼっている、という理解です。『勉強カフェ』が、口コミの自然発生だけを信じて活動していたら半年でブレイクしたでしょうか。どんな商売も最初の顧客獲得は、なんらかの手法でサービスを伝えていかなければならない宿命にあるのです。マーケティングに対する時間・コストの投資は、決してネガティブにならないで欲しいのです。
セールスで考えていただくとわかりやすいかもしれません。新卒の人間を雇用して一人前に稼げるようになるには、一般的には2年、3年とかかります。つまり、一人前に稼げるようになるために500万円~1,000万円ほどの投資が必要になります。辛抱強く育てていく必要があります。しかし、その新人が辞めてしまったらそれまでです。投資回収はできません。では、みなさんは、広告が見込客を連れてきてくれるようになるとしたらいくら投資できますか?広告は会社を辞めたりしません。そして、稼げる広告に成長したら、事業を格段にスピードアップできるのです。この事実に目を向けて真剣に取り組んでいる企業はとても少ないでのす。(余談ですが、皆さんは広告会社の広告はあまり見たことがないと思います。何故なら多くの広告会社が自分のクライアントを広告で獲得することは効率が悪いと思っているのです。そのこと自体に問題があるかもしれません。)私はみなさんに真剣にマーケティングを学んでトライして欲しいと願っています。ポイントは、しっかり学びつつ、費用対効果を考えながら、できるだけ小さくテストを繰り返して成功をつかんでいくことです。
山村社長もコストがかからない集客方法として、PRを徹底的に勉強し成果がでるまであきらめずに実践してきました。また、ブログ集客を成功させるためになけなしのお金を払いノウハウを徹底的に勉強しました。(まさに、『勉強カフェ』というネーミングにふさわしい事業主の行動といえます。)しかし、ここで考えていただきたいことは、コストがかからない集客といっても、山村社長の人件費がかかっています。仮に人件費を50万円とした場合、お客様が集まらなかった期間の5ヶ月間で250万円を投資していることになります。このお金は、セールスに走り回らない代わりに、マーケティング手法を学び、実践するために投じたお金です。250万円を投じてこれだけのテレビをはじめとする主要メディアに露出したわけですから、相当なコストパフォーマンスを発揮しています。広告換算するとおそらく1億円以上になると思います。山村社長は、はじめての経営で未経験ながら直感的に行動した点はとても素晴らしいと思います。そして、ここで学ばれたノウハウは、この先もずっと使えます。従業員ではありませんから退社してしまう心配もありません。他のビジネスを展開するときに応用できるノウハウとなります。
「一度であきらめない。」それは、セールスもマーケティングも同じだと思うのです。そして、それを突破する気持ちがあるかないか。それは、その事業をはじめた『想い』がベースになっていると思います。山村社長の『勉強カフェ』については、素晴らしいサービスや施設などもっとお伝えしたいことがたくさんあるのですが、紙面の関係上今回はお伝えできませんが、興味がある方は、是非一度お店を見学にいかれることをお勧めします。時代のニーズに応える色々な気づきがあるはずです。
今回のお話は以上です。いかがでしたでしょうか。あきらめないで追及する姿勢、そしてノウハウの習得と実践の繰り返しが事業を加速させていくという事実をご理解いただければ幸いです。
ポイント: マーケティングは、集客を加速させる重要なツールです。諦めない姿勢で「学び」と「実践」を繰り返し、マーケティングを体得していきましょう。