こんにちは。

この論文はエラ削り手術や
両顎手術など
顔骨の手術時に発生しうる
合併症の中の一つである
炎症反応に関して
SCOPUSに掲載されている
ジャーナルのWound Medicineに
載せられた論文です。
出血や炎症は
どんな手術でも副作用として
起こりうると認識されています。
この副作用は手術する現場の
無菌状態の程度と
手術者の経験及び能力によって
発生頻度が異なります。
特に顔骨手術の際
骨から発生する出血は
止血しにくいのですが
このような骨からの出血を
防ぐ物質が
ボーンワックス(Bone Wax)という
物質です。
ところがこの物質は
吸収されないので
たまに炎症を起こす
可能性があるとい
う報告があったのですが
このボーンワックス(Bone Wax)を
使用する場合
実際の一般手術時に発生する
炎症の頻度より
高いのかどうかを調べ
原因及び予防のための方法を
提示した論文です
結果を比較すると実際に
ボーンワックス(Bone Wax)を
使用した場合
炎症発生は増加しましたが
適切な処置により
完璧に解決することができ
このような炎症を予防するためには
最大限の無菌処理をするとともに
抗生剤などを混ぜた
管(チューブ)を使用し
洗浄をしなければならない
という内容です。
ボーンワックス(Bone Wax)
をお見せします。
まるでロウソク?
あるいはパラフィンを
切っているかのようです。
Bone Waxという物質です。
このBone Waxは
実際のパラフィンが
主成分になっていて
上記の動画と同じように
少しずつ切って使います。
Bone Waxという名前からも
分かるように
骨に使われる物質です。
顔面輪郭手術をしながら
骨切りをする際に
断面が露出したり
あるいは骨に入っている
血管が切れると
出血します。
だいたいはある程度出血すると
血が止まるのですが
病的に血がたくさん出る
骨の疾患を患っているとか...
(例えば骨異形成症)
あるいは正常な骨組織でも
太い血管が破れるとか...
あるいは神経が切れているとか···
(実は神経が切れると
血管も同時に切れます。
一般的にNeuro Vascular bundle
といいます。
Neuroは神経、Vascularは血管
bundleは多発です。
つまり、神経や血管は
一緒に束になってので
神経が切断されると
血管も切断され
たくさん出血します。
このような場合は
止血できないことが
あります。
こういう時に
血を止めるために使う物質が
Bone Waxです。
Bone Waxを詳しくお見せします。
上のような包装紙に
包まれています。
包装紙を取り除きます。
蝋(ろう)の塊のような
平べったいパラフィンです。
ですから、使う時は
上の写真のように切って
次のような形にします。
このBone Waxは
血が止まらない時
止血作用をすると言いましたが
化学的反応を起こして
止血をするのではなく
物理的につまりパラフィンで
血が出る場所を防ぐものです。
溶けることもなく
消えることもありません。
これが問題ですねㅠㅠㅠㅠ
Bone waxは吸収されないので
薄く伸ばして最小限の量を
使用しなければならず
使用した場合は必ず
後処理しなければなりません。
このようなBone wax使用と
炎症の関係および
予防方法については
私が第1著者として
国際学術誌
(SCOPUS登録ジャーナル)
であるWOUND MEDICINEに
論文を掲載しています。
Bone waxは異物であるために
吸収されることはありません。
どんな手術でも、やはり
自家組織がいいでしょう。
だからといってこのような
Bone waxを絶対使っては
いけないでしょうか?
いいえ、どうしても
使わなければならない場合が
あります。
その使い方については
私が国際学術誌に
予防方法を提示していますので
安心して手術を受けてください。

