2002年（平成14年）3月3日午後3時30分ごろ、東京都荒川区のフリーター・宮本直樹さん（当時24歳）が自宅を出たまま行方不明になった。家族に「今日は夕飯はいらない」と伝えて外出し、いつもと変わった様子はなかった。翌4日に直樹さんの兄が携帯に電話をかけたところ、留守番電話になった。

行方不明から2日後の3日5日朝、福岡の新門司港の海上保安庁より電話で「3月3日午後7時10分発のフェリー船室に荷物だけ残し、本人が見あたらない」と家族に連絡があった。直樹さんが残したかばんには、免許証、眼鏡、コンタクトレンズ、健康食品に関する本3冊、デジカメ、セーター風の上着、下着、洗面用具などが入っていた。財布はフェリー2階の貴重品入れに保管されており、現金21,000円とクレジットカード3枚、ビデオカード、メモが入っていた。なお、このメモに書かれた筆跡は直樹さんのものではなく、フェリー会社からメモを渡すこともないという。

その後の調べで、行方不明前の2月28日午後6時までに東九フェリー（東京〜徳島〜九州間を結ぶフェリー）に予約が入っていたことが分かったが、直樹さんの携帯や、自宅の電話からの予約ではなかった。フェリー会社によると、本人が予約したかどうかは不明とのこと。

この夜、直樹さんは交際相手の女性とインド料理を食べに行っている。この時の会話では旅行の話は出ておらず、悩んでいる様子などもなく普段と変わりなかったという。

直樹さんが乗船したと思われるフェリーは3月3日午後7時10分、東京港から出港。4日午前に徳島港を経由し、5日午前5時ごろに新門司港に到着している。下船時、直樹さんの目撃情報はなかった。早朝の到着で交通機関がないため、タクシーなどを利用する客は申し込むよう前日に船内アナウンスもしていたが、直樹さんが申し込んだ形跡はなかった。

直樹さんは1977年（昭和52年）11月9日生まれ。身長178センチ、体重66〜8キロ。血液型B型。日ごろからトレーニングをしていたため筋肉質でがっしりした体格。髪はパーマをかけており、鼻の下から唇にかけて傷がある。性格は活発で明るい。当日は黒の皮ジャンパーに黒のロングブーツを履いていたと思われる。直樹さんは乗船の数日前にバイトを辞めていたが、理由は不明。3月9日には友人と約束をしており、送別会やドライブなども予定していた。時々1人旅に出かけることがあったが、心配をかけるようなことはなかったという。

直樹さんには同行者がいた。その人物(A氏)から、一緒に出掛けようと提案され、直樹さんはそれに乗った。

A氏はお金持ちの権力者。実際にそうでなくても、そう見えていたし信頼していた。

フェリー乗り場の付近で待ち合わせ、ともに乗り込むはずだった。

しかし待ち合わせ場所に現れたのは別人だった。

「予定が変更になり、A氏は違う場所で待っている。車で送っていくから乗ってください」

直樹さんはA氏の知人だと知り安心すると、車に乗った。

そしてそのまま拉致されてしまう。

偽装工作のため、フェリーには協力者が乗り、適当なところで降りている。

生存の可能性はあるが、あまりいい環境にはいない。

協力者が多く、解決も難しくなっている。

宮本直樹さん行方不明事件