1991年9月11日午後2時ごろ、大阪府吹田市に住む森山千郷ちゃん(当時4歳)が、自宅前から近くの公園へ歩いて遊びに出掛けるのを同居の叔父が目撃した後、行方が分からなくなった。公園で千郷ちゃんらしい女の子が1人で遊んでいるのを小学生が見かけたのが最後の目撃情報だった。

4日後の9月15日、千郷ちゃんは自宅から約4キロ離れた大阪市東淀川区の淀川河川敷で水死体で発見された。府警は当初から何者かが連れ去り生きたまま川に放り込んだとみていたが、目撃証言が少なく捜査は難航した。

事件2か月前の7月、千郷ちゃんの父親(当時30歳)はある事をきっかけに自ら命を絶っている。当時大阪の証券会社で主任を務めていた父親は、顧客数人に「儲かる会社があるから投資しないか」などと持ち掛け、株取引を装って約30億円を集めていた。

その後父親は会社に「夏休みを取らせてほしい」と連絡を取ったのを最後に失踪し、東大阪市内のラブホテルで、拳銃で頭部を撃ち抜き自殺していた。

この事で父親の会社には「被害者」を装った暴力団関係者から脅しの電話がかかってきており、当時千郷ちゃんは母親の実家で暮らしていた。母親の実家にも暴力団風の男たちが訪れていたことから、父親の詐欺事件に恨みを持った人間による犯行の可能性も考えられた。

犯人に関する有力な手掛かりをつかめないまま、2006年09月11日、殺人事件の公訴時効を迎えた。



犯人は千郷ちゃんの父親に恨みを持った人物。株取引に巻き込まれた中の一人。


お金を失い、やけっぱちになった犯人はどうにか憂さ晴らしをしたいと思っていた。


母親の実家を調べあげ被害を訴えたが、厳しく突っぱねられてしまう。


犯人は矛先を変え、千郷ちゃんをターゲットにすることにした。


母親や千郷ちゃんは、父親が亡くなってもなお裕福そうな暮らしをしていた。


苦労していそうな、自分と同じような暮らしをしていたらなまだ情も湧いたものだが…。


夫の悪行に対して反省も謝罪もしない母親も同罪だと思った。その娘である千郷ちゃんも同じだ。


勝手な被害妄想で、犯人はそう思い込んでしまった。


そして1人で遊んでいる千郷ちゃんに声をかけ、連れ去りさつがい。


父親の無念さ、母親の絶望、千郷ちゃんの恐怖を思うと笑えるほどに憂さが晴れた。


なんだ、こんな簡単なことだったんだ。


犯人は人生を立て直し、今は真面目に生きている。


千郷ちゃんに対して何も思っていないし、相応の報いを下してやったとすら感じている。