犯人は裕福な家に住む青年。以前から史子さんに思いを寄せていた。


新聞配達のバイトをしていると聞き付け、偶然を装って近づき話しかけてみたりしていた。


史子さんにとって犯人は好青年に見えていて、会うと笑顔で対応した。


仕事中のためそんなに話せなかったが、2人にとってつかの間の楽しい時間だった。


2人の関係が変わったのは、犯人があからさまなアプローチをしてきてから。


犯人が想いを示せば示すほど、史子さんの気持ちは退いて行ってしまった。


叶わぬ恋に苦しむ犯人。だんだんそっけなくなる彼女に対し、悲しみよりも不安の方が大きくなっていた。


このまま終わってしまうのか?そんなの嫌だ。もう一度会って話してみよう。それでもダメならいっそのこと…。


思い詰めた犯人は罪を犯してしまう。


慌てた犯人は家に帰り、両親に全てを打ち明けた。


犯人の母親が現場へ駆けつけると息子の言う通り、血を流し倒れている彼女がいた。呼吸は止まっている。


犯人の父親は息子の罪を庇うことにした。


疑われた時のためにアリバイを作り、持てる権力全てを使い隠蔽に成功する。


犯人は犯した罪に押しつぶされそうになりながらも、今はその地を離れ遠い場所で生きている。