ずっと楽しみにしていたイベント。




●●TRIBELATE 18●●
This is a combination of martial arts, music and films!!





とても良い席。かなり迫力がある距離で、キック&総合格闘技の試合を観覧できました。新鮮だったのは、試合中もDJが音楽をガンガン流しているところ。コレ面白いですね。



映像やダンスの演出も有効に効いていました。





西口プロレスのパフォーマンスも面白かったなぁ。



そして後半、今回の目当てであるヨリモトの試合をじっくりと観戦。



ダンスを取り入れたカッコ良い登場。音楽にも本人のこだわりが。この時点で、すでにテンションは最高潮。



ゴングと同時に激しい打ち合い。会場はかなりの盛り上がり。





お互いに終始、キックとパンチを打ち合っていて、目が離せない試合。

しかし両者譲らず、勝敗のゆくえは判定へ・・・





判定の結果、惜しくも彼は敗れた。

とても悔しそうな表情。



ナイスファイトだった。本人は勝ちたかったみたいだけど、じつのところ、僕には勝敗はどうでもよかった。彼がリングに立って、闘いぬくところを観れたら充分だと思っていたから。


会場にいたオーディエンスの中で、いったいどのくらいの人が、彼が抱えている障害について知っていただろう。きっと知らない人も多くいただろうし、この試合を見てその事実を知ったら、絶対に驚くに違いない。



数年前の話。僕と彼は、あるCafeで出会った。

彼は、飲食店ではなかなか見かけないガタイをしていて、最初はちょっと浮きつつも、Cafeのホール係として働き始めた。僕の少し後に入ってきた後輩だったが、年齢が同じだったこともあって(当時24歳ぐらい)すぐに仲良くなった。キックボクシングをやっている大きな男が、ぎこちなくコーヒーを運んでいる姿が、とてもほほえましかった。

そしてよく一緒に、渋谷『AIR』で朝まで遊んだり、新小岩で飲んだりした。彼のナチュラルな立ち振る舞いや、考えかた、生きかたが、僕はとても好きだった。



いつものようにCafeに出勤したある日、彼が姿を見せなかった。突然の欠勤。

そして彼の実家から電話があった。

彼が、バイクに乗っていて交通事故に遭ったという連絡だった。

頭蓋骨、顎、肩などの骨折。死んでもおかしくはないほどの重傷だった。



奇跡的に一命をとりとめ、長い入院を終えて久しぶりにCafeに顔をだした彼の姿は、今でも忘れる事ができない。

変わり果てた姿だった・・・

大きな傷跡がとても痛々しく、顔は別人のように歪んでいた。僕は、掛ける言葉が見つからず、しばらく絶句してしまった。



それから月日は流れ、彼は驚くべき回復力と医療の成果で、元の姿に戻った。傷跡は消え、出会った頃と変わらない笑顔を僕にみせた。

しかし彼には重い後遺症が。片側の完全失聴と三半規管の障害。

音楽を愛する彼にとって、失聴は絶望的な現実だったと思う。そのうえ一日じゅう視界はグルグルと回っていると言っていた。


事故の後、彼の精神は大きく変化したように感じた。死の淵をさまよった人間にしかない強さというか何というか。それをポジティブな方向へ持っていけるのが、彼の凄さだと思う。


彼は言った。

「俺は生きてる。生きている実感をひしひしと感じる!」

そして今回の試合復帰は、彼がいろいろと考えて導きだした、ある一つの答えなのだと思う。

僕は、それをこの目で目撃できて嬉しい。


彼は復活を遂げた。死の淵から這い上がった。


これは奇跡ではない。

想像を超えるほどの努力があってこその成果だ。彼ほど強い男を、僕は他に知らない。