☆黄緑色のはさみ☆
テストが終わる1週間前まで話はさかのぼります。
学校の帰り、駅に降りて自転車小屋へ向かう途中、
ふと、スポーツバックを負ってるだけで手に何も持ってないことに気づきました。
すぐに駅員さんに、「電車に忘れ物をしたんですけど、~」。無線で連絡とってもらって。
家へ帰ってしばらくすると、電話が鳴って、「車内にはありませんでした」。
そのとき僕は、乗った駅のホームのベンチに置いてきたのか、と思いました。
その駅に電話を入れることができなかったので、翌朝車で送ってもらうことになりました。
僕は、親切な人が届けていてくれるだろうと思っていました。
今考えると、あの時引き返してさえいれば、こんなことには…。
僕の、他人を信じちゃう癖がいけないのかなぁ…。
翌朝、7時ごろ車で駅へ向かったのですが、予想と反した結果に。
確かに乗る駅までは持ってたんです。それは覚えてるんです。
でも一応、土曜日の学校へ。こちらは予想通りの結果に。
ケーサツにも一応行ったけど。
なくなったのは、ちゃっちぃトートバックなのですが、中には筆入れと財布が。
財布の主な中身はというと、野口さんが6人、ピーターラビットが2匹、僕が1人。
うさぎってのは図書カード500円分のことで、
僕ってのは…… 学生証。
あとはCDレンタル屋のカードとか、地味に貯めてたドラッグストアのポイントカードとか、
カラオケ屋の会員証とか、ぜーんぶパーだよ。。。
もう一つ亡くなった、筆入れ。 実は、僕にとってはこっちが亡くなったって事のほうがイタイ。
現金なんて、また手に入るものだから、
しょーがないと思おうと思えば、まぁ仕方ないかと思えなくもない。
でも、筆入れはちょっと違う。 僕にとっての、僕の筆入れは。
筆記用具って、亡くなって始めて気づいた部分もあるけれど、いつのまにか愛着が湧いてる。
中三のとき、自分たちだけで高校見学行ったとき配られた、学校の名前入りのシャーペン。
ボールペンにもなるし使い勝手がいいので、二年も使ってた。
そして、僕の名前がひらがなで書かれたシールが貼ってあった、黄緑色のはさみ。
たぶん保育園か小学校のときから、僕のはさみは、あれだった。
10年以上も使ってるものって、なかなかないと思うんですよ。まして文房具で。
今まで何個もの筆入れの中に居て、無数の傷がついている。
ひそかに、一生僕の宝物的なものにしようとも思ってた。
ずっと僕のそばにいてくれる存在だと思ってた。
正直、1万円近くなくしたことよりも、彼が亡くなった方がつらい。