前半の続き
人間究極に疲れていると体の痛みやら、その日起こった事を思い返すもので意外と眠れない物だ。
私は絵馬を描き終え、家に帰るという目的を果たす為に早々に寝床に着いていた。なんと9時である。
しかし、寝れない。
疲れ過ぎてるが故に寝れないのだ。
このままでは寝不足で帰るという最悪のコンディションで再び地獄を味わう事になる。
私は寝床につきながら焦りを感じていた。
そういえば私は絵を描く時はテレビを見ながら描く。絵馬を描いてる時もテレビを見ていた。
その番組は「しくじり先生」
失敗を経験したタレントがその内容を暴露する番組だ。
人の失敗を聴きながら笑いながら見ていたテレビ。
しかし!今、まさに!大洗で自転車で来ている自分こそが、しくじり中だった!!
そんな事を寝床につきながら無理矢理寝た。
三度くらい夜中に起きながらも最終的には朝5時に起床した。
流石に早過ぎたが、どーせ寝れないし朝風呂も入りたかったからだ。
5時半から風呂が空くので、それまでの時間は「くまみこ」を見ていた。
疲れた体にくまみこが沁み渡る。
ゴロゴロしながらくまみこを見ていたこの瞬間が一番幸せだったのかもしれない。
風呂に向かうと早朝なので、また貸切。
海から昇る朝日に向かって仁王立ちを決めながら今日の決戦に備えた。
風呂から上がってまだ朝食まで時間がある。早々に出発しないといけないから大磯神社に昨日の絵馬を奉納しにいった。
そんな朝からガルパンファンもチラホラいた。
絵馬を見渡すと大分劇場版キャラが増えていた。劇場版を観たガルパンおじさんが押し寄せたのだろう。
流行り言葉になったが、個人的には劇場版を観て「ガルパンはいいぞ」と言い出すのは好きじゃない。
なぜならガルパンは最初から良かったからだ。
当たり前の事を何を今更言うことがあるだろうか。
神社帰りにせっかくだから海を散歩した。
気付いた事だが、海沿いのホテルは基本的に風呂場がガラス張りだ。
したがって海辺を歩いていると風呂場が見えてしまう。(男湯)
良いのだろうか?こんな状態で。
海を歩いているカップルがウツボに遭遇するのでは・・・
一人旅のホテルの食事は寂しい物で、朝一に入ったが故に従業員さんが朝食会場に並んでいるし、それに一斉に挨拶される気恥ずかしさ。
後から来る他の客は団体で楽しそうに会場に来るのに、こちらは一人離れた窓辺で食事である。何となく学生時代を思い出す様な惨めさを感じる朝食だった。
イカだ!
イカ好きの私にはありがたい。
貴重な物を食べた気分だ。
イカは疲労回復に良い成分が入っていたような気がする。多分。
考えて見れば昨日はセブンイレブンの100円キャンペーンおにぎりを朝昼晩と食しまともな飯を食べてなかった。
ここで出来る限り食い貯める必要がある。
噛み締めて食事した。
チェックアウトは最大10時だが、私にはそんな時間無い!朝8時には宿泊部屋に別れを告げ早々にチェックアウト!
ホテルの人にこれから観光ですか?
何て聞かれたが、そんな暇はない!!
私には重要な用事があったのだ!!
焼肉っ・・・・!!
そう、その日の夕方は兼ねてから予定していた用事があったのだ。
GWなのに何処も旅行に行かないのは味気ない。そんな暇な(はずだった)男達の計画。
都心部に出て、
焼肉食べ放題!!
そしてその後カプセルホテル宿泊。
という超小規模、旅行した雰囲気だけ浸ろうツアーである。
思いがけず私は旅行してしまった訳だが、既に予約を済ませてあるプラン。
遅れる訳にはいかない!!
こうして約束時間までに、
大洗~自宅~都心部
というタイムアタックレース!
いや・・・
焼肉を食べる為の戦い、
栄光のヤキニクロードが始まったのだ!!
そんな訳でその日、大洗でガルパンオンリー同人即売会が開かれるらしかったが、涙を飲んで出発したのだ。
こうした愛馬が大洗にあるという写真を残しとかないと証拠にならないので写真を撮ったのだ。断じて合成ではない。
そして大洗に壮大な名残を残し出発。
グーグル先生にルートを聞きながら出発すると、
あれ?ルートが行きと違うぞ?
どういう訳かルートが違うのだ。何故?
とりあえず先生の言う通りに出発。
最初は田んぼのど真ん中を通り不安になったが、次第に国道へ。そして後は国道沿いをず~っとだ。
分かりやすいっ!?
そしてスムーズだ!!
行きの変な道ばかり案内する先生とはうってかわり非常に分かりやすい道が続く。
地図を見る回数も減り、次第とスピードが上がりスイスイ帰れる!!
これは早々に家に帰りかつ、一服して焼肉に向かえるぞ!!
まちちゃん!自転車でも田舎から脱出出来るぞ!!(くまみこ)
そんなノリで2時間走り続けた時・・・
パーンッッ!!!!
今回のロードバイクの旅で最も恐ろしい、懸念していた事が起こったのだ・・・
異変には直ぐ気付いた。
明らかにふらつくのだ。
パンクだ・・・
パンクだ!
パンクだ!?
パンクだ!??
パンクだ!???
アカーーーーン!!!!!!!!
驚きのあまり叫んでいた。
場所は全体走行距離のまだ2割。
そう、まだ残り8割の距離が残っていた。
絶望っ・・・!!
焼肉が食べられない!
それだけでは無い!!
家まで歩いて帰るのかっ!?
まだ8割も残った距離をっ・・・!?
次の瞬間私がやった事は家への電話だった。
「アカン!!パンクしてもうた!!」
電話に出たのはオカンである。
もうこの時点で私は歩いて帰る事を諦めていた。何と世間に罵られようと構わない
!親のスネをかじり生き延びる!!手段は選ばない!!車で迎えに来てもらおう!!
「今は車を出せない!!」
・・・え?
え?
ええ??
えええ???
まさか、何故?
どうやらウチで唯一運転が出来るオトンが事情があって運転出来ない状態だったのだ。
終わった・・・
俺は残り距離を歩いて帰るのか・・・
「近くにホームセンターとか無いの?」
ハッ!?その言葉に目を覚ます。
そういえば来る途中にホームセンターは何度も見た。その手があったか!?
甘え!!
私は両親に甘えていたのだ。
ホームセンターさえあればパンクを修理し自らの力で家に帰れる。
良い歳したおじさんが恥ずかしい!
そうして近くのホームセンターを探した。
その時!!
なんと歩いて30分の所にイオンがあったのである。
なんという幸運!
磯前神社に帰りの無事を願ったかいがあった!!
そしてパンクしたロードバイクを引きずり通りすがりのロードバイク乗りに抜かれながらもイオンへ。
イオンへ行き修理を頼むと、修理終了時間は14時半との事。その時時刻は10時半。
かなりのタイムロス。
4時間の待機時間は相当な痛手。
例え直ったとしても焼肉は絶望的。
遂に諦めた。
焼肉を。
絶望に打ちひしがれながらフードコートでファンタオレンジを飲んでいると、ふと思いつく。
自転車は後日輸送してもらい、私は電車で帰れば良いのでは?金はかかるが、財布には金がある。
焼肉には帰る事は出来ない!!
再び自転車屋に行き、要件を伝えるとソレは無理との事。やはり世の中は甘くない。
再び諦めたその時!?
自転車屋!!
「今、特別に急ぎで修理してます。大したパンクじゃないので直ぐ直しますよ」
感謝!!
感謝しかない!!
なんと自転車屋。
あまりにも焦っていた私を見かねて特別対応してくれていたのだ!!
ありがとうございます!!
久々にこんなに感謝した。
そんな中で何処から来たんですか?等で世間話。私の走行距離を驚かせつつ、どうやら私の地元のイオンにも来た事があるらしく、イオントークで盛り上がるという貴重な体験をした。
そして修理完了。
なんと1時間内に終わらせてくれた。
店員様に最大限の感謝をし再出発。
一度パンクするとパンクが恐怖になってスピードが出せない。店員様によるとどうやら原因は穴では無く、段差を越えた時の衝撃がダメージになりパンクしたらしい。
思い当たるのは車道から歩道に入る時にある小さな段差。その時の段差の衝撃。行きにギッタンバッコンしたあの道。
あれが原因に違いない。
そうと分かれば慎重にならざるを得ない。自然とタイヤを気遣うスピードになる。
全体的なタイムロスに繋がった。
また、グーグル先生に異変が!
ルートが国道からズレている!!
これでは道に迷った行きの二の舞。
しかし、国道沿いのままだと30分のロス。道も分からなくなるかもしれない。
そう考えたらグーグル先生に従うしかない。
そうして案の定道に迷う。
そしてケータイを見ながら走るのでさらなるタイムロス。
更に漕ぎ続け遂にやっと全体距離の半分地点。前日のタイムより約30分のロス。
途中までのアドバンテージは全て失われていた。
そして加えて私の体力は限界に来ていたのである。
体は5月の紫外線にやられ、常に同じ姿勢なので腕と腰は悲鳴をあげ、足はガクガクと震え関節は痛んでいた。
体が自転車を漕ぐ事を拒否していた。
しかし道は容赦の無い坂道ばかり。
おかしい。
行きもほぼ登りっぱなしだったのに、帰りも登りっぱなしだと!?
登り過ぎて天国行ってしまうのではなかろうか?
しかし、私は頑張った。
全ては焼肉の為。食べ放題の時間に間に合わせる為。
昼も食べる事無く水分のみで体を動かし、その後に食べる焼肉を想像した。
全てのその先にある焼肉を食べるかっこいいオラ・・・(想像でイケメンになる私)
完全に劇場版のしんちゃんのヤキニクロード状態である。
そんな事を考えながらまた走る。
帰り道、辛かったのは風が異常に強い。
しかも完全に向かい風だ。
坂道+向かい風+疲労で心と体は折れていた。しかも焼肉という時間制限もあり、休憩する時間もない。
思うのは、すみませんでした!こんなアホな事は二度としません!神様助けてください!!でした。
しかし神は助けてくれなかった。
更に風は吹き続け道中二度と渡る橋等では更に強くなる。
スピードは更に落ち、もはやママチャリにすら抜かされるスピードになっていた。
更には自転車のタイヤを見ると後輪にはゴム部分に抉れた後。なんと!パンクしかかっている!?次パンクしたら精神的に終わりだ。恐怖した。
最初にパンクした時は国道沿いだからイオンがあった。しかし、今は脇道!イオンやホームセンターは無い。
パンクは今度こそ死を意味していた。
フラフラしながらも走り続けて更に数時間。遂に見慣れた地元の地名が看板に出る様になってきた。地元の地名が見える事がこんなに嬉しいとは。
しかしその頃には完全に体力の限界。
道に歩く人に走行の妨害をされないように祈りながら走る。少しでも妨害されればもう走れない。
そして遂に帰宅!!
気付いたらタイムは行きよりも1時間多くかかってました。
時計を見ればギリギリ焼肉に間に合う時間!!
高速で風呂に入り、折角家に帰ってきたにもかかわらず出動!
駅に行く為にママチャリに乗り換える。
ママチャリ遅っ!?ロードバイクと比べるとママチャリは空回っている様に感じる。
そしてママチャリ漕ぐの大変。
そして都心部へ到着!!
時間にも奇跡的に間にあった。
よく間にあったな!俺。
私のヤキニクロードは無事に終わったのだ。
しこたま焼肉を食べている内に疲れも癒されてきた。焼肉は偉大だ。
そしてカプセルホテルに一泊し次の日に帰ってきた。
全ての用事か終わって初めて自分が帰ってきた事を実感した。
よく帰れたな自分。
この旅で得られた事。それは後悔だ。
完全に無茶だった。もう二度としない。
大冒険過ぎた。
そして日焼けだ。
5月は特に紫外線が強い。
最初は長袖で出発したものの暑さで脱いでしまった。今は腕が真っ赤に焼けている。
志々雄真実が体に熱をもっていた様に、日焼けも火傷だ。今だに腕に熱がある。
大冒険だったが、もう無茶はしない。
何か教訓めいた物を感じたヤキニクロードだった。
最後に
完




