皆様、いつもありがとうございます。
夜遅く、すみません。
今回、まったく明るい話題でもないので、
精神衛生上問題があれば、流していただいたほうがよいような気もします~
(そんな内容を書いて、すみません)。
また、最近、遅い時間に過去の記事を書き直していることがあるので
メールが行ったら、差支えなければお知らせいただけませんでしょうか。
ご迷惑かけてたら、本当に失礼します。
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NHK「ただイマ」を見ていたら、主婦の一人旅が流行っている、とやってました。
「一人旅」、という言葉を聞いて思い出したことがあります。
もうウン十年近く前。元気だったころの話です。イタリアに行ったとき。
ある町の駅について、バスに乗り換えようとしていたときのことでした。
「日本人の方?荷物をホテルまで持っていってもらえませんか」
かけられた声にふと振り向くと、
右手で杖をつきながら、重いカートを左手にタオルで縛り付けてひっぱって
よっこらよっこら、なんとか歩いている女性がいました。
私より少し年上の感じがしました。
「私、もうすぐ体が動かなくなる病気なんです。
動けるうちに、行きたいところに旅行したいと思って
イタリアに来て、1か月です。その前はフランスに行ってました」
とのこと。
一瞬、迷ったものの、
荷物を持ち、近くのホテルを一緒に探し、道すがら、話を聞きました。
彼女が治る見込みのない「神経系の難病」と診断されたのは、
半年前だそうです。体がだんだん弱っていき、最後には指1本自分の意思で
動かせなくなる病気だそうです。
診断を受けた当時、自覚症状はほとんどなかったそうですが、
そう遠くない未来に、ベッドの上でしか暮らせなくなる病気(病名は聞きました)と
宣告されたそうです。
事実を受け止めるまで、1か月ほどかかったそうですが、
すぐに仕事をやめて、身の回りを整理し、旅を始めたとのこと。
「動けなくなるなら今、動いて、あとはその思い出で生きる、と決めたから」。
フランスの前は、ドイツに行っていたとのこと。
イタリアのあとは
南米を回る、ということでした。
彼女は左手の握力がすでになく、カートの取っ手を握れないので、
タオルで縛りつけて
腕の力だけで引っ張っていたのでした。
フランスでは、そのようなことは不要だったとのこと。
ただ、明るい。
「旅先で、いろいろな人が助けてくれるし、私も頼むし」
そして、よくしゃべる。
「でも、『その荷物を持ってあげるから』といわれて
預けてしまったら、走って逃げられてしまってね。パスポートの上に、
お金も結構入ってたけど」
と、苦笑いしながら話してくれました。
翌日、一人でパスポート再発行のために大使館に行ったそうです。
結局、私は日本に帰るまでの二日間、彼女と時間を共にしました。
荷物をもち、バスを探し、階段を上るときには後ろから彼女のおしりを押しました。
お別れの時間がきたとき、お互いに連絡先は聞きませんでした。
私は彼女から聞かれれば教えただろうし、
そして、
教えたかった気持ちはありましたが、なぜか伝えることができませんでした。
今でも時々、彼女のことを思い出します。
今は、新しい薬もできています。
あのとき予測していたこととは違う状況になっていることを
切に、切に希望します。