今年のサンディエゴは例年になく雨が多かった。

そのせいか、種類によっては今年は果物がとても甘くて美味しい気がする。

普段は砂漠のような乾いた気候なので、その気候に慣れ親しんだフルーツは実りがイマイチだそう。

友人宅のいちじくは今年は、実が熟す前にぽとぽとと落ちてしまったらしい。

レモンやオレンジ、アボカド、ザクロなどはここの気候に合っているのだけれど、それらは今年はどうだろう。

今日、友人宅の庭で採れたというスイカをいただいた。

甘くてみずみずしくて、びっくりするくらい美味しかった！サンディエゴでこんなに美味しいスイカが作れるならば来年の夏はぜひトライしてみたい。

スーパーの桃も、今年はクリーミーな甘さで香りも高い。

我が家の庭には洋梨の木があって、今まで季節に二つか三つ食べるくらいで、あとは小鳥達が食べて終わっていたのだけれど、今年はまるでクリスマスツリーのオーナメントみたいに実がたくさんついた。

立派なサイズの実がいくつもついて、まだ青い実をもいで部屋に数日置いておくと、かすかに黄色味を帯びてきて

実が少し柔らかくなる。

とっても甘くて、果実はとろんとして、最高に美味しい。

これは、生ハムにも合いそう。

問題は、美味しい生ハムがここでは手に入らないことだ。

それにしても洋梨は私の一番好きな果物なので、それを庭の木からもいできて食べられるなんて、とても幸せ。

果物の思い出といえば、去年の今頃のポルトガルの葡萄を思い出す。

ちょうど収穫の時期を迎えた葡萄は、とても甘くてジューシーで安くて、私は飽きることなく毎日葡萄とパンとチーズ（羊のチーズ）を食べた。私は2週間かけてポルトからスペインのサンティアゴまで歩いて旅をしていた。

一度なんて、川べりの野生の葡萄を摘んだら、びっくりするくらい甘くて美味しくて、歩きながらひと房の葡萄を食べた。何時間も人に会わず、川幅の広いミーニョ川の対岸はスペインでオレンジ色の屋根とベージュの壁の家々が丘に並んで太陽の光を浴びていた。

その土地でその季節にとれる一番美味しいものを食べられるのって最高だ。

昨日海の中にいた、あのシマシマの魚も旬な感じだったなあ（昨日はシュノーケルをしたのだ）。

ポルトガルやスペインでは、朝、そこらで鶏の元気な声が響き、羊や山羊がいて、海辺では魚を焼く匂いがしていた。焼きたてのパンの香ばしい香りは早朝の空気に漂っていた。

土地や海の恵みを実感する毎日だった。

そこには家族が集い、友達や近所の人々はお互いに助け合い、食べること、飲むことを、生きることを楽しむのが当たり前の生活があった。

植物も動物も地面も天気も全部が当たり前につながっていて、そこに異空間のような豪華かつ繊細な教会と夢のような要塞に囲まれた街などが現れるのだった。

実りの秋がやってくる。

今年の作物はどうだろうか？

少しひんやりしてきたら、秋の美味しいものが出回るようになるだろう。

もう二度と来ない今年の夏、今年の秋、当たり前だと思っている周りにいる人々、環境、それは来年も同じだとは限らない。

だからこそ、今年のこの実りを、今受けている恩恵を、心から楽しみたいと思う。

豊作の洋梨