やっとジャカランダの花が咲いた。

いつもなら5月の始め、端午の節句のあたりに満開になるから、今年は一月も開花が遅れたことになる。

例年になく、寒くて曇りの日が続いていたサンディエゴも、やっとここ数日からりと晴れて気持ちのいい天気。

紫色の花の咲く、ジャカランダはサンディエゴにはいろいろなところにあって、日本の桜のように街路樹になっているところもある。ちょうどジャカランダが咲く頃にはアガパンサスやシーラベンダーなどの同じような色の紫の花も盛りを迎えるので、上も下も青紫色の花が咲いて、少し幻想的な感じがする。

さて、そんなジャカランダの咲くバルボアパークで友達と待ち合わせをした。

美大出身で、デザインの仕事をしていた彼女が、バルボアパークの中にあるMINGEI MUSEUMに行ってみたいというので一緒に行くことにしたのだ。

このMINGEIとは、そう。日本の民藝のこと。

柳宗悦が始めた民藝運動がもちろん関連している。だから、日本の藍染だとか、器、ジョージナカシマの椅子などがここにはある。今は、アフリカのアート（テキスタイルや道具）と、ティータオルの大きさの布に人々が思い思いにステッチしたり、刺繍をしたものを沢山集めて天井からカーテンのように吊り下げた展示をしていた。

友達が学生時代に織物をしていて絣を織っていたという話を聞きながら、織物のことを教えてもらいつつテキスタイルを見たり、原始的な力強いデザインのスツールや道具が実は近代に作られているものだということを二人で面白がりながら、展示を楽しんだ。

ここのミュージアムショップには、和食器が置いてあって、とてもいい雰囲気のものがある。

そして、意外と高くない値段なので、私はここで前回ボウルを二つ買った。水玉のお茶碗よりも少し大きめのカフェオレボウルのような形のものと、それより小さめの小鉢。

使ってみると、これがとてもいい。手のひらにおさまる感じも、置いてある時の佇まいも、食べものを入れた時の雰囲気も。それで、今回、同じものを買い足そうと思っていた。でもなかった。残念。

友達は、沖縄のやちむん（焼き物）のような素朴な感じの大きな器と同じデザインのお茶碗を二つ購入し、私は、ある友達への誕生日プレゼントに芋の煮っ転がしを入れたらちょうど良いような大きめのお皿を一つ買った。そのひとはしみじみとするような美味しい煮物やお惣菜を作るので、彼女のそんな料理に似合うかなと思った。

ミュージアムの近くに駐車した車のトランクに買ったものを下ろしに行くと、友達は大きめのトートバッグを取り出した。なんと、お弁当を二人分、作って持ってきてくれたのだった。

土曜日の昼、空は快晴。風は心地よく、人々は笑顔で公園でくつろいでいる。

私たちは少し歩いて、スパニッシュビレッジのパラソルの下のテーブルでお弁当を広げた。

三段の重箱。一つは私に、一つは彼女におかずが詰めてあって、もう一つには俵形のおにぎりが並んでいた。

ケーキみたいな匂いがする甘い玉子焼き。酢の物。いんげんの胡麻和え。焼売。一口サイズのおにぎりは胡麻の効いたおかかのふりかけのものと、もう一つはなんだったかな。

人が作ってくれたお弁当をいただくのって、なんだか嬉しい。

絶対に自分の作ったものとは違う玉子焼きの味や、酢の物の爽やかさは新鮮で驚きで、とても美味しかった。

デザートのフルーツ。カットされた苺に桃。小さなフォークが刺さってる。

旬のさくらんぼをコンポートにして、それで作ったチェリータルトとオートミールクッキーのデザート。

大好きな友達と時間を過ごすことだけでも楽しいのに、一緒にご飯を食べるのが加わるとさらに楽しい。ましてや、こんな手作りのお弁当でピクニックなんて、とびきりの時間になった。

この後、二人でもう少し散歩をしながら、もっとおしゃべりをした。

私も、心をこめたお返しがしたいな。それに、こんな優しい気持ちになれるのならば、他の人にも機会があれば私もそういうことがしたいなあと思いながら、帰途に着いた。

民藝ミュージアムとお弁当