6月というと、紫陽花がすぐに思い浮かぶ。水色の紫陽花に葉っぱにカタツムリがのっているみたいな、まるで小学生が折紙で作るようなやつ。

花はラムネのシャーベットのような水色。ピンク色の紫陽花もある。土がアルカリ性か酸性かで色が変わると聞いた。どちらにしても、なんだか儚いような色。

去年の9月に私はポルトガルを歩いて旅していたのだけれど、紫陽花がそこここに咲いていた。

雨が多くて、石でできた建物も道も暗い灰色に濡れて、紫陽花がそんな景色に色を添えていた。

ポルトから北にかけての紫陽花はピンクとか水色と、はっきり分かれていなくて同じ花の中に水色もピンクも混じっていて、いろんな色の金平糖を一緒にしたみたいだった。

土がアルカリ性なのか酸性なのか、どっちにも決めかねているんだなと思った。

新緑が雨にしっとりの濡れ、そして濡れるごとに色を濃くしてゆく。

苔が育ち、ジメジメしたところにドクダミが育ち花を咲かせる。傘にあたる雨音。

湿気た玄関。日本の6月。

この季節、何を食べたいのかよくわからなくなる。

寒ければ、シチューだとか鍋だとかが食べたくなるし、暑ければさっぱりした蕎麦やスタミナのつくものを料理しようという気になる。さっぱりと晴れたら行楽弁当。

それで、葛餅だとかゼリーだとか、そんなあやふやなものをしょっちゅう食べる。ちょっと甘くてつるんとしたもの。

こんばんは何を料理していいのかわからなくなった。調べてみたら、今はそら豆とさくらんぼが旬だそう。

でも、そら豆とさくらんぼでは１８歳の食べ盛りの息子には物足りないだろうから、たまたま見つけた、高山なおみさんのパリパリチキンというのを夕飯に作ることにした。

鶏のもも肉を蒸し鶏にして、そこに片栗粉をまぶして表面をパリパリに焼く。キャベツとセロリ、にんじんの千切りの上にそのパリパリチキンをのせて、酢、醤油、酒、豆板醤、ネギで作った調味料を上からじゃっとかけるという料理。

最初から揚げた鶏肉と違い、蒸し鶏は中がつるんとした食感なのが面白い。

こんな、表面がカリッとして、中はつるん。そしてシャキシャキの野菜と辛味と酸味のあるソースという食感や味覚が楽しい料理が、ちょうどよかった。

紫陽花から、食べ物の話に脱線したけれど、この季節はどんなふうにして過ごすのがいいのかな？どんなものを食べたらいいのかな？と、考えています。

あ。6月に合う食べ物、わかったかもしれない。ひんやり冷えた助六寿司が食べたい。

あじさいと雨