6月の京都滞在中のこと。

四条堀川からバスに乗って、東福寺に出かけた。

途中、八坂神社や清水寺の近くを通るので、バスは観光客でぎゅうぎゅうの混雑。

レースの半襟や帯をつけた着物姿の女の子は、きっと暑いに違いない。歩くのだって草履でのしのしとは歩けないだろうけれど、着物を着て京都を歩くとか写真を撮るということにきっとときめいているのだろう。だから、動きづらいとか暑いとか苦にならないに違いない。

 

案の定、清水寺の近くでほとんどの観光客がバスから降りていった。

それまでは混雑を避けるために、南禅寺や嵐山には早朝に出掛けていたけれど、東福寺はきっと昼間でも大丈夫なのじゃないかと思った通り、お寺に向かう道を歩く人はほとんどいなかった。

 

この辺りは、他にもたくさんのお寺があって、通りに端正で落ち着いた雰囲気がある。

東福寺の本堂は大きな建物で堂々としており、屋根瓦がとても高いところで、悠々と広がっている。

 

 

門をくぐると、花菖蒲、紫陽花、ツツジなどの花々が目を楽しませてくれる。

緑も清々しく、梅雨前のこの時期はまだそれほど暑すぎもせず、蚊もいなくていい。

 

高低差のある庭園をのんびりと階段を上ったり下りたりして歩くのも気持ちがよく、数種類の紫陽花のシャーベットのような色が綺麗だった。

 

 

でもなんと言っても、ここで一番美しいのは、渓谷にかかる通天橋から眺める青もみじ。

2000本のもみじの木が植っているのだそうで、紅葉のシーズンは特に人気のある場所だそうだ。

橋の上から見下ろす渓谷には水が流れ、木々の緑に清涼感があって、青空も風も本当に気持ちがいい。

 

 

本坊庭園は、建物を囲って東西南北と四方に別々の庭がある変わった作りだ。

 

北斗七星を模した石や、苔で市松模様を作った庭など、斬新。

 

 

庭を眺めながら歩く床の角のとれたスルッとした木の感触が足に心地いい。気に入ったところにしばし座って木々の香りを吸い込み、庭を眺める。

 

廊下にある建具が、とても素敵に見える。自然素材で軽くてシンプルで、とても使い勝手が良さそうだ。どうやって出来ているのだろうとじっくりと眺めた。日本にずっといたら、ありふれたものとして目に留まらないかもしれないけれど、海外での暮らしが長いので、すごく新鮮に見えるのかもしれない。

竹という素材で作られるものにとても興味を惹かれる。

 

京都市内や有名な神社、お寺はどこも大混雑だけれど、東福寺は静かでのんびりと散策することが出来て良かった。

京都に来たら、また東福寺を訪れようと思う。