8月になってから、ポツポツと大きめのアンティークフェアが開催されるようになったので、地元から離れた街に出かけるようになってきた。
ここリンカーンという土地も、フェアの帰りに昼食でもと思って立ち寄った場所。
狭い石の舗道の坂道。クネクネと曲がっているヨーロッパの古い街並みを恐る恐る運転して、やっと車を停めた。
坂道の上に向かって人々が歩いていくので、何かあるのかなあと期待しながら歩き始めた。そう。私たちは、この街のことを何も知らないのだった。
まるで時間が昔のままで止まっているみたい。
坂道をあがると、左側にはキャッスルが、右側にはそびえ立つ巨大な大聖堂が建っていた。
ここは、ローマ時代からある都市だったらしく、このLincoln 大聖堂は1092年に出来上がったとか。そのあと、火災にあり、再建されたのは1185年。
巨大ゴシック建築。
一時期は国の修道院の半分以上がここに集まっていたという、司教のパワーが絶大だった時代もあるらしい。
ヨーロッパのゴシックの大聖堂は、大迫力で中から見上げるステンドグラスも美しいのだけれど、正直何処も似ているので、あえて中に入らなかった。
キャッスルの方は、ビクトリアンプリズン(牢獄)や、いくつかの建物と城郭を歩くコースのセットか城郭を歩くだけの入場料に分かれていたので、お城の周りをぐるりと囲む塀の上を歩くのみの入場料を払って散歩してみた。
高台にあるだけあって、景色がよく見えて、塀沿いの緑がのどかで気持ちがいい。
向かいにある大聖堂も良く見える。
お城と大聖堂の間にぎっしりと並ぶ街並みは、一体どれくらい古いのだろうか。
そして、今、どんな人がどんな生活をして暮らしているのだろうか。
全く、想像がつかない。
結局、ちょうどいいレストランが見つからず、アイスクリームを食べながら裏道などを散策して車へ戻った。
最近、旅らしい旅はしていないけれど、ガイドブックには載っていないような街にはちょこちょこ立ち寄っている。そんな街では、本当に、角を曲がったら、そこに中世の人々が歩き回っているような、現実とお伽話の合間のような空間があって、それは上手く説明が出来ない空気感がある。
出来るだけ、そんな街のことを記しておこうと思った。