~前回のあらすじ~

黄泉の国へとイザナミを連れ戻しに行くイザナギ。

しかし、そこで見たイザナミの変わり様に離婚を決意。

別れは決まったものの、最後まで言い合いし、

その言い合いは現在にまで飛び火する始末。




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黄泉の国から戻ったイザナギは、

冥界の穢れ(けがれ)を水で禊祓(みそぎはらい)をした。


手で掬った水を顔に押し当てると、

左目から滴った水からは日を司る天照大御神(あまてらすおおみかみ)、

右目からは夜を司る月読命(つくよみのみこと)、

鼻からは海を司る須佐之男命(すさのおのみこと)が誕生した。


この時イザナギはアマテラスに、高天原(たかあまはら)、

すなわち神々の住む天界を統べるよう命じた。



イザナギ自身が生んだ神の中で最も貴いとしたところから、

「三貴子(みはしらのうずのみこ)」「三貴神(さんきしん)」とも呼ばれている。




さてさてこの3姉弟。


まずはアマテラスとツクヨミ。

大変仲が悪く、口も聞かない。一緒にも居たくない。


ということで、

それぞれ日と闇であることから相容れず、

現在になってもいまだに昼と夜が一緒になることは無いのであった。


一方スサノオは、

海の統治を命ぜられるも飽き飽きしていて、

母イザナミのいる黄泉の国に行きたいと駄々をこね、

天地に甚大なる被害を与えた。


それに怒ったイザナギは、

「もうここには住むな!」とスサノオを追放する。


追放されたスサノオは黄泉の国に向かうが、

「あ、そうだ姉に挨拶してからにしよう」とアマテラスが治める高天原へと昇った。


粗暴な昇り方で、辺りは振動し国土を揺るがした。


アマテラスはスサノオが高天原を奪いに来たと勘違いし、

弓矢を携え、彼を出迎えた。


「何の用ですの、お父様に追放されたんじゃなくって?」

「ち、違うよ姉さん!」


スサノオは潔白であると説明し、ではそれならばと、

アマテラスと誓約(うけい)を行うこととなった。


誓約とは占いの一種で、

あらかじめ出した答えに対し、吉凶や成否を問うものである。


この時「スサノオは潔白である」との誓約をし、

二人の勝負は始まった。



まずアマテラス。

スサノオが持っている十拳剣(とかのつるぎ)を受け取り噛み砕き、

吹き出した息の霧から、

三柱の女神「宗像三女神」を生みだした。


次にスサノオ。

アマテラスの持っている八坂瓊之五百箇御統(やさかにのいほつみすまる)を受け取り、

それを噛み砕いて吹き出した息の霧から五柱の男神が生まれた。



5vs3



「我が心清く明し。故れ、我が生める子は、手弱女を得つ。」

とスサノオは勝利宣言をした。


身の潔白が証明されたスサノオは、

しばらくの間、姉の治める天高原に滞在することになった。



しかし、この滞在がとんでもないことに!





-つづく-