生産革命のすべて
― 用土という概念を壊すところから始まった ―
生産革命とは、
新しい用土の商品名ではない。
優れた配合比率でもない。
流行りの栽培理論でもない。
『生産革命とは、
用土とは何か、という前提そのものを作り直す思想』
である。
────────────────────
■ 従来の用土という考え方
────────────────────
これまでの園芸において、
用土とは常に『粒』だった。
赤玉土、軽石、日向土、鹿沼土。
粒径を選び、混ぜ、比率を考え、
排水と保水のバランスを取る。
この考え方の前提は一つ。
『根圏は粒間で成立する』
水は粒間に存在し、
空気も粒間に存在し、
根はその隙間を縫うように伸びる。
この方式は多くの植物を育ててきたが、
同時に明確な限界も持っていた。
────────────────────
■ 粒状用土の限界
────────────────────
粒状用土では、
水と空気は常に入れ替わる関係にある。
水が多ければ空気が減り、
空気を確保すれば水が減る。
また、
・粒は必ず劣化する
・微塵化し、詰まる
・環境は時間とともに均一化する
結果として、
根圏は
『安定するが、固定される』
方向に向かう。
これは多くの植物にとっては問題ない。
しかし aglaonema pictum にとっては致命的だった。
────────────────────
■ aglaonema pictum という植物
────────────────────
aglaonema pictum は、
枯れにくい。
しかし、止まりやすい。
環境が均一になると、
成長も、柄も、反応も収束する。
pictum に必要なのは、
『過酷さ』ではない。
『揺らぎ』である。
だが粒状用土では、
その揺らぎを
長期にわたって維持することが難しかった。
────────────────────
■ 生産革命の出発点
────────────────────
ここで生まれた疑問が、すべての始まりだった。
『なぜ、根圏は粒で作らなければならないのか』
もし、
・水が水として存在せず
・空気が常に確保され
・構造が劣化せず
・根が止まる理由を失う
そんな根圏を作れたらどうなるか。
その答えが、
『布製用土』だった。
────────────────────
■ 布製用土とは何か
────────────────────
布製用土とは、
粒を使わない用土である。
正確には、
『粒間』ではなく
『繊維間』を根圏として使う構造。
布製用土では、
・水は繊維に保持される
・水が水として存在しない
・空気は常に繊維間に存在する
・水と空気が排他的にならない
これは、
粒状用土では原理的に不可能だった構造である。
────────────────────
■ 布製用土で起きていること
────────────────────
布製用土の中では、
根は常に空気と接触している。
しかし同時に、
必要な水分も常に得られる。
水を求めて移動する必要がなく、
空気を求めて逃げる必要もない。
根は、
『判断』をしなくてよくなる。
結果として、
根は止まらない。
────────────────────
■ なぜ「生産革命」なのか
────────────────────
これは改良ではない。
延長でもない。
・粒を選ぶ → 構造を設計する
・混ぜる → 作る
・崩れを管理する → 崩れを前提にしない
考え方の次元が違う。
だからこれは、
進化ではなく
『革命』である。
────────────────────
■ 生産革命がもたらしたもの
────────────────────
生産革命によって得られたのは、
成長速度だけではない。
・長期維持
・根圏の再現性
・環境反応の持続
・柄の固定化を防ぐ構造
そして何より、
『用土に悩まなくていい状態』
である。
────────────────────
■ まとめ
────────────────────
生産革命とは、
特別な素材の話ではない。
『根圏を、
粒ではなく構造で作る』
という思想である。
aglaonema pictum は、
育てる植物ではない。
『現象として観察する植物』である。
生産革命とは、
その現象を
止めずに続けるための、
根圏設計そのものだ。
生産革命・補足編
― 布製用土を正しく理解するために ―
ここからは、
生産革命=布製用土について、
よく聞かれる三つの疑問を整理します。
・なぜ鉢底穴がなくても成立するのか
・布製用土で失敗する唯一のパターン
・従来用土との決定的な違い
いずれも、
「便利だから」「楽だから」
という話ではありません。
すべて
『構造として成立しているか』
という一点に集約されます。
────────────────────
■ なぜ鉢底穴がなくても成立するのか
────────────────────
結論から言います。
**布製用土は、
「排水」という概念を前提にしていない。**
従来の用土では、
・水は粒間に溜まる
・溜まった水を捨てるために
鉢底穴が必要
という構造でした。
つまり、
鉢底穴は
「溜まってしまう水を逃がす装置」
です。
一方、布製用土では、
・水は繊維に吸着される
・水が「水」として存在しない
・重力で下に溜まる水が発生しない
このため、
**そもそも捨てる水が存在しない。**
水分は
繊維全体に分散され、
保持される。
空気は
常に繊維間に存在する。
結果として、
鉢底穴がなくても
根が窒息する条件が成立しません。
これは
「排水性が高い」のではなく、
**「排水という概念が不要」**
という構造の違いです。
────────────────────
■ 布製用土で失敗する唯一のパターン
────────────────────
布製用土は万能ではありません。
失敗は起きます。
ただし、
失敗パターンはほぼ一つに集約されます。
それは、
**「布を、粒状用土と同じ感覚で扱った時」**
です。
具体的には、
・水を大量に与え続ける
・常に濡れている状態を作る
・乾かすことを極端に恐れる
こうなると、
・繊維が常に水で満たされる
・空気の流れが鈍る
・結果として根が酸欠状態になる
布製用土は、
「水を溜めない構造」であって、
「水を無制限に受け止める構造」
ではありません。
布は、
・湿る
・乾く
このサイクルが前提です。
**布を「スポンジ」ではなく、
「環境そのもの」として扱う。**
これができないと、
唯一の失敗パターンに入ります。
────────────────────
■ 従来用土との決定的な比較
────────────────────
ここで、
従来用土と布製用土を
思想レベルで比較します。
【従来の粒状用土】
・粒と粒の隙間が環境
・水と空気は排他的
・時間とともに崩れる
・排水でトラブルを回避
・管理は「調整」の連続
根は常に、
「水を探す」
「空気から逃げる」
という判断を迫られます。
【布製用土】
・繊維そのものが環境
・水と空気が同時に存在
・構造が劣化しにくい
・排水の概念が不要
・管理は「維持」
根は、
生存判断を迫られず、
役割に応じて
動き、止まり、更新されます。
つまり、
従来用土は
「問題が起きないように管理する土」
布製用土は
「問題が起きない構造そのもの」
ここが、
決定的な違いです。
────────────────────
■ 補足まとめ
────────────────────
・鉢底穴がなくても成立するのは
排水を前提にしていない構造だから
・布製用土での失敗は
粒状用土と同じ水感覚で扱った時
・従来用土との違いは
素材ではなく、思想と構造
生産革命とは、
「便利な新素材」の話ではありません。
**根圏を、
後から調整するのではなく、
最初から成立させる設計思想。**
それが、
布製用土という形で
具現化しただけです。
肥料は5000倍以上に希釈。
それで最強になれます。