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1/12(木) 17:53配信
1月11日夜、LINE NEWS編集部から発信された1本の記事が注目を集めました。福岡県飯塚市の賭けマージャン問題。見出しで飯塚市長とすべきところを、福岡市長が関わったように読める見出しで配信し、お詫びをする一幕がありました。登録アカウント数は2300万。ところが「当事者」となった福岡市の高島宗一郎市長はFBで、「ドンマイっ!」と投稿。LINEにエールを送る心遣いも見せました。「一つのミスが許されないギスギスした社会の雰囲気をほぐしたかった」と語る高島市長。投稿に込めた思いを聞きました。(withnews編集部・丹治翔)
誤った見出しが載ったのは、アカウントを登録している友達数が約2300万の「LINE NEWS DIGEST」。11日の夕刊で、「賭け麻雀の福岡・飯塚市長、辞職へ」という見出しにするべきところを、「賭け麻雀の福岡市長、辞職へ」という見出しで配信しました。
「LINE NEWS DIGEST」は、編集部が朝刊・昼刊・夕刊の1日3回、載せるべきニュースを決め、全国紙やTV局、WEBメディアなど、契約している媒体社から記事を選んで編成しています。今回の記事はその一つでした。
LINEによると、記事の本文についていた見出しは「賭けマージャンの福岡・飯塚市長、辞職へ 発言にも批判」でした。記事8本を一覧で紹介する「ダイジェスト」で、見出しを縮めた際に「福岡市長」と誤ったそうです。
配信後は、ツイッターでも「見出しだけ見ると勘違いする」などと反応が。社内の指摘で気がつき、配信の約1時間半後にお詫びと訂正をしました。
高島市長は、FBにこのお詫び文の画像を投稿。そこに顔文字入りで、「わ、わたし?笑っちゃいました(笑)」と付け加えました。ハッシュタグでは、「#これからもいいニュース配信頑張って下さい」とLINEにエールを送ったり、「#ちなみに麻雀自体したことがないです」というユーモアも見せたり。
投稿後、ユーザーからは「笑いで返すなんてさすが」などといったコメントがついています。
高島市長は、JR博多駅前で起きた陥没事故で復旧状況をFBで自ら発信するなど、積極的にSNSを活用しています。今回の投稿について、高島市長に電話で話を聞きました。
――2300万人への誤情報。怒ってもいい事態です。
まず、LINE NEWSが届いて見出しを見た時に、「炎上するかもな」と直感的に思ったんです。ただ、1時間半後にはLINEもお詫びと訂正をして、「チェック体制を見直す」と言った。私の中では、もうそこで終わった話なんです。
もちろん、ミスがいいということではありません。見出しで印象が大きく変わってしまうので、しっかりとチェックすることは大事です。ただ、「人間だもの、誰だってミスはあるよ」とも思うんです。LINEも開き直っているわけではなく、再発防止に努めると書いている。だから、私から早く「怒ってないですよ」と言いたかったんです。
――本当に怒ってないんですか?
はい、怒ってませんよ(笑)。2つ理由があって、1つはもっと「寛容性がある社会」にしたいからです。今は、社会全体がギスギスしていて、ミス1つも許さない雰囲気ですが、そういう時に「そんなに肩ひじ張らなくていいんじゃないの?」とそうした空気をほぐしたい気持ちがあります。
もう1つは、本質ではない部分で炎上になりそうな時に、当事者がしっかりと意思表示をすることで、無用な炎上を防げると思うんです。ネット時代では、当事者以外の人たちが代わりに発信して、話が大きくなってしまう。そうした時に、当事者がきちんと発信することで解決できれば、他の人たちへの参考にもなると思いました。
――絵文字も使って、友だち同士の会話のようです。
SNSを使う時は、出来るだけ「等身大の目線」で発信することをこころがけています。なので、今回も絵文字や「っ」などを入れました。市のホームページや、広報紙ではどうしても行政目線になってしまうので。
――市のトップとして「等身大の目線」にこだわる理由は??
SNSは災害などの有事に情報を発信する時に有効ですが、普段からフォローをしてもらっていないと、いざというときに存在に気づいてもらえない。なので、積極的に発信をしています。その際に、普段の自分を見せることで、人間のぬくもりというか、フォロワーに信頼してもらえたらと思っていて、そうした思いは投稿に込めていますね。
取材の最後に「有事の時に自分の発信が信頼してもらえるように、普段からSNSは大切にしている」と話した高島市長。今回も、そうした一面が垣間見える投稿でした。