女性のオス化って本当? 66%が「自覚あり」、一方で男子は…
産経新聞 5月23日(土)10時6分配信
働き過ぎの女はヒゲが生える!? 言動がガサツになったのは女性ホルモンが減ったから!? 荒唐無稽に聞こえる「女性のオス化」現象がネットなどで取り沙汰されている。産経新聞女子特区の調査でも、30、40代の働き盛りを中心に「オス化」を自覚する女性が6割を超えた。男女雇用機会均等法施行から約30年。勝ち取った社会進出とともに男性並みの激務やストレス解消の深酒も当たり前となり、生物として女であり続けることへの不安感が女心に影を落とす。平成の新語「オス化」の真相を探ってみると…。
◆66%が「自覚あり」
アンケートに協力してくれた職業や勤務形態の異なる20~60代の女性65人のうち66%が「オス化している」と回答している。
「バリバリ働いているとき、あごにヒゲが生えてきた」と答えるのは福島県郡山市のスポーツジムインストラクター(38)だ。
同じく「ヒゲが生えてきた」と答えるのは新聞社勤務独身女性(32)。深夜勤務、休みも不定期。「もともと性格は男っぽかったが25を過ぎてからオス化が進んだ」と言う。
「掃除が雑になった。最近は半年に1回化粧すればいいほう」と、ズボラになったことを自身のオス化現象とするのは神奈川県小田原市の会社役員(31)。
大阪市の独身会社役員(49)は「家事を担ってくれる人がほしい」と言い、東京都葛飾区の会社員(33)も「デートより仕事を優先させてしまう」と回答した。
「女性が荷物を持っていると、私力持ちだから持ちますと言ってしまう」=東京都港区の秘書(36)。「プライベートで男性からおごるよと言われても、私も稼いでるし!対等だし!と割り勘に。逆におごることも多くなった」という会社員(29)も。
男女平等教育の成果なのか自立心なのか、「女性=弱い、守るべきもの」という図式はあてはまらない。
一方、子供を持つ主婦は「オス化していない」という回答が多かった。妊娠出産子育ては「女」の最たるもの。「オス化」を意識しない傾向にあるようだ。
「子育てに適した洋服を選んでいるだけ」と話すのは、結婚を機に仕事を辞め2歳の息子の子育てに没頭する静岡市の主婦(34)だ。出産前はおしゃれが大好きだったが今はデニムパンツにTシャツで過ごすことがほとんどという。
オス化していると言う主婦もいる。夫、子1人の東京都墨田区の会計事務所勤務(32)は「子育てより稼ぎたいという母性本能を欠く考えが生まれた」と答えた。女性の起業を支援する「起業準備セミナー」に参加した横浜市の主婦(38)は「低成長時代、夫に頼っていられない。自分が稼ぎ手になって家族を支えていこうと思うところは男性的だ」と話す。
◆増えるメス化男子
オス化の背景として多かったのが「女性の社会進出」「男性の草食化」だ。
周囲のメス化男子を挙げてもらうと、「女性よりも飲まない、食べない」から「化粧水を洗顔後3分以内につけ、携帯を鏡にして自分の顔をチェックしている」「二日酔いで(隠すために)ファンデーションをしている」といった“女子力男子”が散見。「1人で飲み会の集合場所にも行けない」「すぐに群れ、“女の子”のようにじゃれる」「リスクをとらない」「でも、だってを連発する」…。観察眼が光る。
◆裏返しのおしゃれ
誰もが認める「きれいなお姉さん」の東京都町田市の会社員(28)は仕事に忙殺されているときほど女性らしい洋服を着て、美容に気をつける。
「ホルモンバランスの乱れが身体の不調につながると思うから。自分のための女性らしい言動、行動です」
オス化していると自覚しているからこそ、それを避けるために女子力を高める。
既婚子持ちの相模原市のパート職員(46)は、服や赤いリップグロスなどおしゃれに気を使う。こちらも表面的には女性だが、「夫以外の男性に恋愛対象を求めるアグレッシブ(積極的)さはオス化かもしれない」と過激なコメントが飛び出した。
「収入があればどちらが家計の大黒柱でも問題ない」という京都市の大学職員(42)のように、「オス化」を自認し収入がある場合は大黒柱になるのはいとわないだろうと思いきや、約6割のオス化女性が「大黒柱はやはり男であってほしい」と答えた。妊娠・出産が理由の一つだが従来の固定観念から割り切れない思いも見える。
佐賀市の団体職員(63)は性別上の役割の垣根が無くなりつつあるとしたうえで「オス化もメス化も、個人がありのままの姿でいられるようになったからでは」と話した。
■用語解説 女性のオス化
男性と肩を並べて働くようになったことで言動や考え方、嗜好(しこう)も旧来の“女らしさ”にとらわれない女性が増えていることを指す。ヒゲが生えた、体毛が濃くなったなどの身体的変化を挙げる場合も。平成25年にはフジテレビのドラマ「ラスト・シンデレラ」で主演の篠原涼子さんがなりふり構わず仕事に没頭する“オス化女性”を演じ、社会認知度が高まった。