あけましておめでとうございます🎍
日付が変わり発表されておりました🎉
という訳で、じゃじゃん❣️
今年も21名の一人として選盤させて頂きました🇧🇷
全体の投票結果はこちらをご参照ください♪
https://e-magazine.latina.co.jp/n/n8373b8c4d362
📝こちらはカンタスが寄稿したページです📝
https://e-magazine.latina.co.jp/n/n7d1a3f514246#24f683dd-62b8-4d8d-8b34-675d48861225
今年は久しぶりにブラジルに長期滞在をしたりして、自分の立ち位置というか、自分の音楽のあり方や、自分とブラジル音楽の距離感、そしてなぜ自分はここまでブラジル音楽に魅了されるのか、とか、色んなことがわかった渡伯でもあったりしたので、今までは『①リズム②メロディー③ボーカルが基準で、、、、云々』とか書いてたけど、俺が好きだと思えて、ブラジリダーヂ(ブラジルらしさ)を感じるものをズバッと選んでみた。
それではさっそく書いていきます。
①Maria Luiza Jobim/Azul(関係者7位/一般4位)
この作品は割と個人的にダントツ感があった。
前作は2019年、エレクトリックな要素も強い作品だったが、今作は今の感触もありながら、アコースティックな要素も入って来ていて、音の奥行きがすごい。アナログな感覚が入ってくるとあったかさも出てきて、ずーっと聴けるんだな。
で、ようやくこの彼女の正体を明かすと、あのアントニオ・カルロス・ジョビンの娘!(えー!!)DNAが凄まじい。お父さんがジョビンってどういう気持ちなんだろう。お父さんの名前が空港の名前になってるとか、どういう気持ち?とか考えたりしたけど、2世だけど良く頑張ってるよ、みたいな気持ちが微塵もなく、ジョビンのDNA、こうなったか!という感動すら覚えた。
曲と声とサウンドプロダクションが最高。(いや、それって自分にとってのブラジル音楽の全てなんだけど)あまりにも各曲が神々しくて、聴くのがもったいないという感覚にもなったのは久しぶりだ。メロディーもそれぞれ美しくて、なんだかずっと聴けちゃう作品で出会えて本当に嬉しい気持ちになった。今回選んだ他の作品に比べるとサブスクでの再生回数としてはだいぶ少ない作品かもしれないが、魅了されてしまったもんはしょうがない。
②Rubel/AS PALAVRAS, VOL. 1&2(関係者2位/一般3位)
この作品はそもそもボリューム感が奇跡の2枚組という、、、クリエイティビティー爆発といった様相で、しかも相変わらずの圧倒的な世界観は変わらずにあった。今年金髪にした仲間としては「これはまだブリーチ1回目かな」とか思いながら顔を見せたジャケットを眺めていた。
今作の特徴はサンバが入って来ていることかなぁと思ってて、今までは弾き語りから派生したある種の「自室感」みたいなサウンドだったが(あ、前作のタイトルの『CASAS』ってそゆこと?)、今回は人との交流を通して作られてる感じがして「あ、友達いたんだ」みたいな失礼な感覚がありつつも、部屋の屋根がなくなったサウンドが好き。そして2枚通して、テーマをブレさせずに作っちゃったのはすごすぎる。
上記の世界観統一という部分にもう少し突っ込むと、それはそれはブラジル全方位見渡しちゃってる感じのサウンドが展開されていて、2枚目とかには4ビートの曲が登場したり、多分まだまだやりたい音楽があるんだろうなぁという感じもして楽しい。
③Elza Soares/No Tempo da Intolerância(関係者10位)
このエウザの作品と、以下に登場するWilson Das Nevesは、死後完成した作品という点では同じだが、今作は作品を通して本人のエネルギーが存分に落とし込まれてる。生前にリリースした作品たちとの遜色もなく、すごい迫力を感じる。
何しろ彼女は今作ではリオに目を向けて制作をしたとのことで、作品全体を通してジャラジャラと鳴っているパーカッションなのかシンバルなのか、説明出来ない「神」感があり、これは凄いぞ。『エウザ!もしやまだまだ録音残ってるんじゃない?』と思わせる何ががある。
演奏も肉感的で、ファンクネスをかなり感じたりするのもシビれてしまった。ホーンセクションがいたりするんだけど、それがカッコつけた感じではなく、良い意味で暑苦しい。そうそう、この熱量が出るのが生バンドの良いトコなんだよ。
ガブリエル・モウラのバンドにもいたThiaguinho Silvaというドラマーがいて、彼のSNSの投稿で「彼女の作品に参加するのが夢だった」みたいなこと書いてあって、そういう気持ちって熱くて良いよな、と思った。
④Ana Frango Elétrico/Me Chama de Gato que Eu Sou Sua(関係者1位/一般1位)
最初はもうちょいこの作品が上だったが、作品の持つブラジリダーヂ指数が高い作品を上に置きたくなってしまいここまで落ちてきた。2020年の前作は少し内省的な雰囲気があったりしたが、Tim BernardesやRubelの流れを感じつつ10位くらいに自分でも入れた記憶がある。ただ、今回の作品はぐっと大衆的なコーティングがされており、色んな人の耳に触れそう。
ちなみに、ブラジルで彼女の実演を見れた。Orquestra Imperialにゲストボーカルとして出てきてたのだが、最初出てきた時は「なんか変わった声だな」と思っていたが、2日連続で見た結果好きになっていた。特にRita Leeの「Chega Mais」のカバーで自分はヤラれてしまった。そういえば、Orquestra Imperialがその後、Rita Leeのトリビュートライブをやってたりしたんだけど、いっそ音源化してくれないかなぁと思ったり。
⑤Russo Passapusso, Antonio Carlos & Jocafi /Alto da Maravilha(関係者5位)
さすが縦に文化が繋がっていくブラジル、という大胆コラボである。アントニオ・カルロス&ジョカフィと言えば、70年代に活躍したバイーア発のユニットで、一方でフッソ・パッサプッソはバイアーナ・システムというバンドのフロントマンで、最近のアーティストである。
で、さらに素敵なのがフッソが<昔流行ってたおじさんを引っ張り出して来ました>みたいな構図じゃなくて、しっかり共作してるトコ。いや、本当にこれはすごい。プロデュースがクルミンというトコもナイスプロデュースだな。メロディーに比重が大きかった世代とのコラボレーション、聴きやすいんだな、これが。
⑥Julia Mestre/ARREPIADA(関係者9位)
今年の夏頃に各所で話題となっていたBala Desejoのメンバーの一人の彼女。実は来日の直前に彼女のコンサートをリオで見れて直接話も出来た。来日時には会うことは出来なかったが、そのリオでのライブはインパクト大であった。
この作品は渡伯前にリリース済で、結構好きではあったけど、全体のニュアンスとしてはオルタナロックを綺麗にまとめたんだねって感じだったけど、実演で受けたのは圧倒的なロック少女の印象だった。ギターなどのディレイとかコーラスがかかったサウンド演出はやはり想像通りであったが、佇まいがロックだったな。ギターで弾き語りをしたりしながらのショーは、なんだか初々しさもあったりしてリオ到着から3時間後に見た最初のショーがこれだったのは良かった。お客さんが歌う雰囲気もあったり、泣いてしまったよ。ちなみに客層は若い人ばっかりと思ったら全然そんなことなかったのも新鮮だった。ブラジル人、耳も若いな。
ちなみに、前述のBala DesejoのメンバーであるZé Ibarra(ゼー・イバーハ)も新作『Marquês, 256.』(関係者5位/一般7位)をリリースしていて、こちらもかなり好きで最後まで入れるか悩んだ。これはギターもしくはピアノのみの完全弾き語りスタイルな作品で、映像が本当だとすると全編同録なのかな。
1曲目の歌い出しからどことなくカエターノを感じたりした上、楽曲群もアレンジでマッチョにしてない分メロディーの綺麗さも際立って素敵。
ただ、自分自身が複数人による化学反応を音楽を求めたりするため完全なる弾き語り作品を入れるのには抵抗があったこと、Julia Mestreの実演をリオで見てしまったこともあって、10枚の中には入れなかった。でも、作品としては相当に良質なのでおすすめしたいです。
そんなBala Desejoの解散が12月に発表された。彼らの作品を聴いた時になんとなく『レコーディングとかライブをするためのフェザータッチな作品だなぁ』という感覚があったのでやたら腑に落ちたり。いや、すごく好きなんだけどね。バンドってもっとドロドロしてる。
⑦Marcelo D2/IBORU
D2は初期の頃が好きだった。サンバとヒップホップの融合が実に新鮮だったし、それが本当にクールであった。それがその後、サンバに全振りしたり、ヒップホップに全振りしたりして、そのミクスチャーのそれぞれの原点へのリスペクトは十分に感じられたが、「そこじゃないんだよなー」とか思いながら聴いていた記憶がある。
で、今作だが、どちらかと言うとサンバ寄りなのだが、このサンバの扱い方が面白くて、本来スルドというサンバの大きな太鼓でアプローチする部分を電子楽器の低音で捌いたり、ベースをシンセベースでアプローチしたり、、、Tom Zé「Estudando o samba」(1976)とは違うまでも、サンバ再解釈みたいな、、、そいえば、今回はRodrigo Campos「Pagode Novo」みたいな作品もあった。サウンドとしてはこっちの方が斬新だったけど、そういう意味ではMarcelo D2の千両役者っぷりに全然軍配があがっちゃったな。
彼もサンパウロで実演を見た。悪ガキ小僧という感じで出て来て、なんか自由でかっこよかったな。プラネット・ヘンプとしての新譜も悩んだけど(D2はそこのメンバーとして世の中に登場した)、D2ソロ名義の方が好きなので、今回はこっちにしちゃいます。
⑧Luedji Luna/Bom Mesmo é Estar Debaixo D'Água Deluxe
今作も最高だったな。。。圧倒的に素晴らしかったし、なんならベスト3に入れることも考慮したが、パーカッション要素がもうちょっと欲しかったぜ、というのが正直なトコ。ただ、非常に矛盾しているが、打ち込みや演奏楽器や歌い回しによってパーカッションの要素も存分に感じられたりするのも面白いトコ。
ちなみにこの作品は2020年の大名盤「Bom Mesmo é Estar Debaixo D’Água」(関係者1位だった記憶)のデラックスバージョンという位置付け。本人曰くB面的な感覚らしい。
この音像系で言うと、Mahmundi「Amor Fati」も本当はラインナップさせたかったし、なんなら彼女はカリオカなので、なんとなく贔屓したい気持ちもあったが、このルエジのスケール感が破格すぎて、今回はこちらを選ぶことにした。
それにしても、R&Bというか、ネオソウルというか、、、この辺りのアーティストがすごい。世界にどんどん広がって欲しい。ルエジもサンパウロで活動してるのかな、、、
それこそ最近ラテン・グラミーを受賞したXênia França(バイーア出身)とかはサンパウロで活動してて、行ったライブもそれはそれは最高なライブだった。
ちなみに、ラジオでも永遠に言ってるんだけど、そのシェニアはマジでキュートな子で、ジャケット写真やSNSではクールな感じでやってるのかと思ってたけど、MCもかわいかったし、かなりファンになってしまった。
⑨Adriana Calcanhotto/Errante
アドリアーナの今作のようなスタイルは「O Micróbio do Samba」(2011)の頃とかなり近い気がしてて、しかも、多分それよりも楽曲としては良い曲が揃っている気がする。ただ、上位に入れられないのは、12年前よりも衝撃指数が低いからなんだろうな。すごく勉強になるな。
ただ、それでもランク外にしないでここに置いておきたいと思うのは、やっぱりすごく良いからなんだな。曲も良いし、声も全然変わってない。昔と同じように聴けば聴くほど味わいが出てくる作品だなぁと思う。
話は逸れるが『聴けば聴くほど』って感覚は、サブスクのこの時代、聴き手にそこまで委ねられないなぁって思うことがある。それこそ、当時はなけなしのお金でCDを買って『元取るぞ』って気持ちで聴き込んだものだったが、そこまでリスナーは待ってくれない、というような感覚があったりする。ずっと追いかけるので、アドリアーナはずっとこんな感じで良い作品を作り続けて欲しいなぁって心から思う。
⑩Ana Gabriela /Degradê
このアルバムはすごく良い。聴いた回数で言うとベスト3には入ると思う。とにかくさらっと聴くにはとても聴きやすい作品で、ラジオとかでもかけやすかったな。
彼女はサンパウロ出身のアーティストで、いわゆるSNSから登場した歌手だ。本作の楽曲を中心に歌う「Acústico Ana Gabriela」というライブ作品がつい11月に出たばかりで、YouTubeでもその実演が見れる。まぁ驚くべきはその力の抜けっぷりである。なんならスタジオ音源よりも軽く歌ってて驚いた。これも今っぽいスタイルなのかしら?!それにしても良曲揃いなのは間違いないし、サウンドのスタイルもかなり好きだ。
ちなみにかなりの余談だが、前述のライブ最新作でも叩いてる女性ドラマーのAlana Ananiasは、Julia Mestreのコンサートでも叩いてた。スネアのチューニングがなかなか低めで最高である。
さらにちなみになんだが、このアコースティックでちょっとソウルな感じの作品で、これも良いな、と思ったのが、Martins『Interessante e Obsceno』である。彼も相当に良い感じであるので、ちょっと聴いてみて欲しい。
ベスト10外だけど、、、ギリギリまで迷った。
Wilson Das Neves/Senzala e Favela
上記のエウザ・ソアレスの部分でも本作に少し触れたが、この作品は実はWilson Das Neves本人にはほとんど登場することがない。プロダクションに入る前に亡くなってしまったのだ。
それももう6年前か。しかし、彼の意思を継いで作品を完成させ、全体に流れるムードはとても愛に溢れてて、好きだ。新しいことはほとんどないように思うが、リオデジャネイロだなぁって雰囲気がそこには確かにあるので、大切に聴いていきたいと思える作品だった。
少し似たコンセプトの作品で今回はMarcelo Costa「Vol. 2」という作品もあった。
マルセロも大ベテランのドラマーで、客演歌手たちも尋常じゃないラインナップだった。知らない歌手がいないような面々。ただ、なぜ選べなかったのかと言うと、自分でもわからないが、Wilson Das Nevesという巨人と比べてしまったから、としか言いようがない。なんとなく素晴らしいコンピレーション・アルバムのような印象を受けてしまったからなんだろうな。
ちなみに、マルセロもリオのカシンのスタジオで初めて会えた。超親日の陽気なおじさんで、それこそ中原仁さんの話とかで盛り上がった。
しかし今年も悩んだな。こんなに悩んでる人いるのかなぁってくらい悩んだ。このディスク大賞の選盤に関わり始めて10回目のようだけど、昔よりも悩んでる気がする。
今だから言えるけど、やり始めの頃は『あれ?俺スベッた?!』とか気にしたりしてたもんだ。でも何年か前に関係者投票のベスト3と自分のベスト3が一致した年とかがあって、ようやく自分もベテランの皆さんの背中が見え、、、って思ったら、去年はなんか全然ズレてて。
別に順位予想をする訳じゃなくて、自分の好きなのはこれだっていうのを披露する場所ではあるんだけど、自分はリスナーでありながら、プレイヤーでもあるので、その辺の感性はなんとなく敏感でいたいと思ったりする。
あ、それと!今年も私のブラジル音楽の師である中原仁さんのブログ記事出たら、ここでシェアします🇧🇷
(1/7更新)
という訳で、出ましたので、勝手にシェアさせて頂きます⤵️
仁さんとは今年は5枚かぶりでした😊いつも勉強させてもらってます❣️
すごくなんとなくだけど、Elza SoaresとRusso PassapussoとAntonio Carlos & Jocafi の作品がかぶってたのが嬉しい笑
【2023年のカルナバケーション】
そんなこんなで昨年は国内にいることが少なかったが、バンド的に嬉しかったのは
NHK『おかあさんといっしょ』にて
「にんじんエンジンロケット」の演奏と編曲
をカルナバで出来たことは大きな出来事だった。
このレコーディングのストーリーについてはSNSで投稿した通りだが、とにかくカルナバで全力で投げ込んだ。詳しくは以下の投稿のリプライをご参照ください⤵️
🥕お知らせ🥕
— 村田匠/カンタス村田🥕 (@takumic21) September 3, 2023
NHK『#おかあさんといっしょ』今月の歌「にんじんエンジンロケット」作詞/作曲させて頂きました😊編曲/演奏は #カルナバケーション🚀
9月4日(月)〜9月30日(土) ※毎日オンエア🎉
午前7:45~午前8:09
再放送/午後6:00~午後6:24#にんじんエンジンロケット で是感想教えてくださいね🐇 pic.twitter.com/LVQ6I1AaBJ
おそらく長い番組史上でも一番パーカッションが入った曲になっていると思うし、自分たちがこれまで作り上げてきた大好きなサウンドを披露することが出来て嬉しかった。これをレコーディングしたのは、ブラジルから帰国してまだ10日くらいしか経っていない頃か。腕ブンブンまわしてる時期である。
そして、もうひとつはライブを11月に出来たことか。
「カルナバ爆誕15周年~ドカンと一発オブリガード!~」と題して(またしょうもない名前をつけおって)結成15周年のライブを開催した。変化球なしので、自分たちがたくさん演奏してきた曲たちをひたすらに演奏した。相変わらず直前でセットリストが全然違うものになったり、最後の最後まで調整をして臨んだライブだったので、自分たちの中でもすごく大好きなライブになったように思う。
実はこれもフランスから帰国して1ヶ月未満で開催したりして、2つの旅は共に長期の旅ではあったけど、その現地で感じたことや、浴びたエネルギーを形に残せたのは自分にとってすごく幸せなことだったと思う。また性格的にも「旅に浸る」みたいな時間は不要で、それよりもアウトプットをしたいと思っていたので帰国後も刺激的な日々だった。それにしても、メンバーにはいつも感謝しっぱなしだ。家だな、完全に。
2024年はカルナバは制作に入るため、しばらくライブもお休みする予定だが、何か新しいチャレンジが出来るのではないかと、ワクワクしている。家を大きくしたいというか、、、ただ、帰る場所ってだけじゃない力強いエネルギーを発信するような場所にしていきたいと思っている。
どうか今年もよろしくお願いします❣️
村田匠/カンタス