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娘は海苔が好きだ。


おにぎりに巻いてあるものも剥ぎ取って先に食べるし、

何ならそのまま海苔だけムシャムシャと食べる。


今夜の晩ご飯にも、海苔を登場させた。

塩分は気になるので塩分無しの素っ気ない海苔だか、彼女は喜んでほうばっていた。


しかしながら次の瞬間、

何故か私の味噌汁の中に、

海苔を1枚放り込んだのだ。


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私は昔から、

挑戦心を刺激するためだけに無駄に辛くしたものや、

食べられるかどうかわからない特盛が嫌いだ。


食べたく無い量のご飯を無理やり食べさせられることにもかなりのストレスを感じる。


恐らく食に対して、少し神経質なのだ。



そんなわけで今夜も、

味噌汁に放り込まれた海苔には、心底腹が立ってしまった。






日頃も、お腹いっぱいの時などにご飯を弄ぶ時は厳しくしてしまうが、

今回も例に漏れず厳しく叱った。




もうその海苔はパリパリすることも無ければ、

美味しく食べられることもない。

厳密に言うと食べられるし、

食べてみれば普通に美味しいのかもしれないが、

今回、私にとっての論点はそこではない。


食材を遊び心で無駄にしたことが許せなかったのだ。



なんでそんなことをするんだ、

味噌汁に入れて海苔が無駄になったじゃないかと、

味噌汁の中の其れを指差しながら伝えた。





すると彼女は、物凄く悲しそうな顔をしたのだ。


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腹が立っていた私は、

そんな顔したって駄目なもんは駄目だと言わんばかりに、

もう一度、海苔は味噌汁に入れたら無駄になるというくだりを説明した。





しかしながら冷静になった今思い返せば、

彼女はもしかしたら、

私に大好きな海苔を分けてくれただけだったのかもしれないのだ。



あの物凄く悲しそうな顔は、

大好きな海苔をあげたのに、

怒られてしまったからだったのかもしれない。



味噌汁に海苔を入れたらダメになってしまうことなんて、きっと彼女は知らない。


食材を無駄にするつもりなんて、

なかったのではないだろうか。



彼女は普段から、

自分の大好きなものでも人に分け与えようとする、

とても心の広い優しい子なのだ。


私は、とっさの感情で正しい現実を認識できず、自分の物差しで相手を図ってしまっていた。




それに気が付いた後、

あの泣きそうな顔を思い出したら、

どうしようもなくやりきれない感情が押し寄せてきた。



残念ながら彼女は、

まだほとんど話せない。

意思を伝える手段は、

表情と行動しかない。




私には永遠に、

この感情を整理するチャンスは訪れないのだ。




こんな風に、

すれ違いながら、誤解しながら、

情けなくも取り返しのつかない、

答え合わせのない日々が続いていく。




想像力を養わねば。

そんなことを毎日、感じている。


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