実務経験ゼロからの第一歩 ― 「週1日」から始めるキャリアコンサルタントの現実
キャリアコンサルタント(キャリコン)の資格を取ったものの、いざ仕事を始めようとすると「どうやって実務経験を積めばいいんだろう?」と悩む方はとても多いです。特に、企業を退職してこれから独立しようと考えている方にとっては、まったくのゼロからのスタートになることもあり、不安に感じるのは当然のことですよね。
たとえば、ある資格取得者の方は、退職後すぐにフルタイムでキャリコンとして働きたいと考えていたそうですが、未経験だったため、なかなか採用が決まりませんでした。そこで、まずは週1日のパートタイムから始めてみることにしたのだとか。このように、最初からフルタイムを狙うより、「週1日から少しずつ始める」というのも、現実的で無理のないアプローチです。
ただし、気をつけたいのは、その仕事が「実務経験」として認められる内容かどうかです。厚生労働省が定める実務経験証明書に記載できる業務、たとえばキャリアコンサルティングの面談や相談などでないと、経験として扱われないこともあります。ですから、「週1日働く」といっても、どんな業務に携わるかがとても大事なんです。あらかじめ仕事内容を確認しておきたいですね。
ちなみに、週1日でも1年間続ければ、52回もの実務の機会を得られることになります。地道な積み重ねでも、継続していけばしっかりとした経験になりますし、将来的にフルタイムや独立を目指すときの大きな土台になりますよ。
実務経験を積むための具体的な方法 ― ネットワークと人脈の活用
キャリコンとして経験を積んでいくには、やはり「人とのつながり」がとても大切です。ここでは、具体的にどんな方法があるのかをご紹介します。
■ 企業・団体への登録
キャリコンを必要としている企業や団体に登録しておくと、相談業務などの案件を紹介してもらえることがあります。いわゆる「登録型キャリコン」としての働き方ですね。
■ 知人や友人からの紹介
経験が浅いうちは、まずは身近な人に「キャリアのことで悩んでいる人はいない?」と声をかけてみるのも一つの手です。ただし、注意が必要なのが多重関係。たとえば、家族や親しい友人など利害関係のある相手へのコンサルティングは、日本キャリア開発協会(JCDA)やキャリアコンサルティング協議会の倫理規定で原則として避けるよう定められています。どうしても対応する必要がある場合は、第三者に相談しながら慎重に進めると安心です。
■ キャリコン仲間のネットワークに参加する
実務者向けのセミナーや勉強会に積極的に参加するのもおすすめです。こうした場では、現場のリアルな話が聞けたり、仕事につながる情報を得られたりすることもあります。資格取得後も人とのつながりを大切にしておくと、思いがけないチャンスにつながることがありますよ。
こうした方法を上手に取り入れながら、少しずつ実務経験を積んでいきましょう。
実務経験を積むための職場選び ― 多様な選択肢とその特徴
キャリコンとしてキャリアを積んでいくうえでは、「どこで働くか」も大きなポイントです。選択肢はいろいろありますので、自分のライフスタイルや将来の目標に合った職場を見つけていきたいですね。ここでは、主な職場の特徴をご紹介します。
■ 大学のキャリアセンター
正職員の募集は少なめで、派遣や契約、パートといった雇用形態が中心です。求人が出たとしても応募が殺到し、経験者が優遇される傾向があります。
■ ハローワークの相談員
多くの場合、会計年度任用職員として1年単位で契約する形になります。自治体によっては勤務年数の上限(例:3年)を設けているところもあれば、例外的に長く働けるケースもあります。正職員登用はあまり多くありませんが、自治体によってはその道が開かれていることもあります。
■ 人材業界や企業の採用担当
比較的求人が多く、正社員として採用される可能性もあります。特に医療・介護などの人手不足分野を扱う人材系の会社では、キャリコンの需要が高くなっています。
こうしたさまざまな職場で実務を重ねることで、キャリコンとしての実力が養われていきます。まずは自分に合いそうなフィールドを見つけて、できることから一歩ずつ踏み出してみてください。