江國香織・著「落下する夕方」読了。


私的江國香織フェアは静かに続行中。


高校生くらいの頃?江國さんの作品の何かを読んで、自分にはあわないなと思ってずっと読まない時間が流れ続けていたけど、人は変化するので、いまが自分にしっくりくるタイミングだったんだなぁとしみじみ実感するこの頃。殊に読書に関しては、苦手だった作家が、時を経てしっくりくるということがときどきあるのでおもしろい。今はすっかり江國さんモード。


そんなわけでこの作品も読み始めたら止まらず、するすると一冊読み通してしまったのだった。


序盤、いや中盤、むしろラストの直前まで、かなり華子に対して腹を立てていたけど(勝手に人の家に住もうとする、人の航空券を勝手に使うなどなど)結局物語の中の華子を取り囲む人たちが、華子に振り回されながらもずっと華子を意識せずにはいられなくなっているのと同様に、自分も華子のことがどうしても気になってしまう一人になっていてまるで同じ穴の狢なのだった…。


多くは語られないものの、華子の抱える寂しさのようなもの、けれどそれを理由に人に依存しないまるで透明な孤独感のようなものを感じて、華子のことがわかるようでわからない、けれど少しだけ近いものを感じるような気がした。


異性は放っておけない、はまると抜け出せないタイプなんだろうなぁと想像する。(華子のことですよ)


華子がいない世界に突然放り出されてしまった梨果と健吾のこれからもいろいろと想像してしまい、余韻の残る一冊だった。