哲学フィールドワークとしての尾行。わかる。
例えば物凄くニコニコしてひとりで歩いてる人が
今しがた人と別れたばかりなのか、いいことが
あったのか、それとも頭の輪あるいい人なのか…
気になっちゃうこと、なくはないでしょう?
それの少し踏み込んだやつ。尾ける人、門脇麦。
尾けられる人、長谷川博己。けして接触しては…
いけません。だめなのに…
興味本位ですらなかった対象が劣情に置き換わる。
一触即発って
こういう以外どういう時に使う慣用句だったっけ?
尾けられる長谷川の妻は大好きな河井青葉で、浮気相手は
結構好きな篠原ゆき子だったし、麦マンの偏執気味な
管理人は仰げば尊い烏丸せつこだ。女優キャスティング
異様に高い。麦をフィールドワークへとそそのかす大学教授は
リリー・フランキーで、いつものやな感じとはまたちがった
やな感じで、その嫁が西田尚美。西田尚美は大好物だけど
末期の義母(初対面)を見舞う膝上スカート。

不穏な違和感がものすげえんですけど、なんだ
結局回収されないまんま終わんのかよ…と思ったら
ラストで胸の此処をまんまと潰されちまった。
この表情、致死量だ。

西田尚美は大して主演作があるわけでもないが
時々こうして置き石のように刷り込みと置き換えを
やるだけやって去って行く。まるで工作員じゃん。
なんてテリブルなテロル。ひさびさの痛恨だ。
期せずして他人の秘密を呑み込んじまった時の背徳感と
万能感。うん映画とはそれだぜ。いい映画とはそれだぜ。