「明けない夜はない」
「明日は必ずくる」
昔から使われてきた
前向きになれるおまじない
じゃあもし、
前に進むことを望んでいないとしたら?
これ以上残酷な言葉はないんじゃなかろうか。
高齢者の中にはうつ病を患っている人も多い。
それも頭がしっかりしている人ならなおさら。
85歳ハリーじいちゃん
もとは元気で明るかったけど
うつ病を患ってからは生きる気力を失くし、
緩和ケア中の今はもう
毎日ベッドに横になったまま出てこようとしない。
そこへ追い打ちをかける様に訃報が入った。
26歳の孫が自殺で亡くなったそうだ。
実は半年も前の出来事らしいけど
家族で悩んだ挙句、このタイミングで伝える事にしたらしい。
当然ショックを受けたじいちゃんは
「なぜ年寄りの自分ではなく、まだ若い孫が死なねばならんのか」
そんな自責を繰り返し、
代われるものなら自分が死にたいと
食事も水分補給も一切拒絶している
ある日じいちゃんが言った
「毎晩眠りにつく時に、翌朝このまま目が覚めなければいいと思って眠るんだ。でもね、まだ目を覚ますんだよ」
泣きそうになった。
何も言えなかった。
何か言葉を探したけど、
ハリーじいちゃんは正直もう長くない。
そんな人に
「元気出して」とか
「お孫さんの分まで生きて」
なんて言ったって届くわけない。
時間が経てば落ち着くだろうって事はなく
多分じいちゃんはこのまま
明けることのない深い悲しみを
毎日毎日繰り返すのだろう。
人の死を願うなんてあってはいけないことだけど、
それが本人の望む唯一楽になれる方法なのだとしたら
神様、
その日が早く訪れんことを。
じいちゃんを悲しみから解放してあげて下さい。
朝が来ないことを願いながら毎晩眠りにつく
そんなじいちゃんの眠りが
せめて安らかでありますように。