長らく続けてきたこのカナダMBAすたこら日記ですが、そろそろ終わりのときが近づいてきました。
この2年は良い事も辛いこともたくさんあったけど、とにかく私の人生において大きな2年間であったことは間違いありません。死ぬまで覚えている思い出です。その2年間の歩みをこうして記録に残せたのは本当に良かったと思っています。ブログというテクノロジーが世の中に出てきてくれたおかげですね。
日記なんて続いた例のない私が、どこまで続くかと思っていたのですが、色々な方から反応もあり、書いていくうちにまるで自分の子供のように愛情が湧いてきました。正直忙しさに負けて、書くのを止めようかと思ったこともありましたが、たまに過去書いた文章を見直したりすると、本当に懐かしかったり、たまにですが、成長を感じたりするんですね。これを感じると、しんどくても今感じていることを記録しておかねば、という気になって何とか続けることができました。
ただ、このブログは、開始当初からMBA留学の2年間だけと決めていました。なので、留学が終了した今、終わりにしたいと思います。

初めの方で書いていたと思いますが、このブログの目的は、1.留学中日本にいる家族や友人への報告、2.MBA留学を考えている日本のアプリカントに向けた情報発信、3.自分のためのメモ、の3つでした。
目的のうちの1.はもう必要ないし、子供の写真とか使っちゃっているので、ここに関する部分は読み直して削除しておきたいと思います。それ以外の部分はなるべく長く残しておきたいと思いますが、赤裸々に書きすぎた部分もあるので私の都合で予告無く削除させてもらうかもしれません。あしからず。
幸いYahoo Blogでは書いた内容を画像も含めて無料でPDF化出来ます。お金を払えばそれを本にすることも出来ます。ここまで書いた内容は私の留学時代のかけがえのない思い出として本にして家に飾っておきたいと思っています。

最後に、留学に際して本当に多くの方にお世話になりました。改めてお礼を言いたいと思います。
留学を応援してくれた会社の上司と先輩たち、親身になって相談に乗ってくれた予備校の先生たち、役立つカナダの情報を提供してくれたカナダMBA留学の先輩たち、文字通り苦楽を共にしたPre-MBAとRotmanの仲間たち、志を同じくしたカナダの他校MBAに通う日本人留学生たち、様々な機会を与えてくれたインターン先の人たち、努力することの大切さを教えてくれたソフトボールのチームメイトたち、家族ぐるみの付き合いで癒しを与えてくれたトロント在住の日本人たちと家族寮の住民たち、悩みを共有し、自信を与えてくれた英語の先生たち、そこで出会った生徒たち、そしてランゲージエクスチェンジのパートナーたち、旅先で会い再会を約束してくれた友人たち、実際にはお会いしたことはないけれどこのブログを通じて暖かいメッセージをくれた人たち、様々な形で応援、支援してくれた両親、そして最後に留学を思い立ったときから渡航、留学中の苦労まで全てを共にし、物理的、精神的に多大なるサポートをしてもらった妻と娘。
皆さま、本当にどうもありがとうございました。今後ともよろしくお付き合いのほどお願いします。

それでは皆さま See You Soon!!
MBAのまとめは、少し長くなりすぎました。
その間、生活も少し落ち着いてきましたので近況報告します。

家は家具もすっかり揃い快適です。書斎空間はちょっと贅沢に作りました。家具はすべて新品で揃えたので、今が一番家の中がきれいなときかもしれません。
仕事も復帰しました。心配していた2年ぶりの通勤ですが、いい通勤ルートを見つけて快適に通勤しています。その通勤時間を使って本をむさぼるように読んでいます。

仕事をやってみて気づいたのが、例えば何か部門レベルの課題を聞いても、知らず知らずのうちにその課題を経営の視点から捉えようとする意識が働くようになったことです。そのビジネスの日本における意義、みたいな大きな視点も常に考えるようになりました。留学中、そのことを考え続けた成果かもしれません。あと、まるで新人のときみたいに、何でも他人のアドバイスを受け入れようというとても素直な気持ちになっています。思えば留学前は少し自分のスタイルにこだわり過ぎていたのかもしれません。

草野球のチームに入りました。帰国したら仕事以外にも色々な活動をしたいと思っていたので、これが第一弾です。その他にも時間があるときは、留学前に応援してくれた人に再会したり、これから留学を志す人に会って体験を話したりしてます。帰国してからでも新しい出会いは色々ありました。

日本の生活は楽しんでいます。
家族も元気に過ごしています。サチキチは週2日ほど幼稚園に通っています。先日父親参観があり、参加してきました。

Rotman関連で残った最後のタスクは、卒業証書の受け取りでしたが、これも先日無事に受け取りました。振り返ってみて、もう留学は随分前のことのような気がします。

トロントにいる間に色々人生のプランを考えましたが、その実現に向けて、そろそろ動き始めようかなと思っています。留学のときと一緒で、考えているだけのステージから、実際に手や体を動かすステージへのジャンプがプランを実現するキーだと思います。頑張ります。
MBA界においてははっきり言ってマイナーなカナダのMBAだが、そこにはメリットもあればデメリットもある。何度も書いたように要はどこを重視するかの問題だと思う。

アメリカのMBAとの比較で言うと、いくつかのメリットがある。日本からの志望者が少ないためランキングの割に入りやすいこと、現地で働いたり、永住するための制度は充実していること、安全であることなど。ただ大学の知名度を生かしての就職という部分では不利だ。もし単にMBAの称号が欲しくて、卒業後は日本に戻る予定で、アメリカのトップ校に充分入れる実力があるのであれば、アメリカトップ校に行くのが素直な選択だ。しかし、敢えてアメリカ以外の国で、多様な文化に囲まれながら2年間を過ごしてみたい人、そのまま海外で生活することを狙っている人にはいい選択だと思う。もちろん、これまで述べたとおり、現地の就職も簡単ではないので、その部分は自分の実力を磨くしかない。

ヨーロッパとの比較で言うなら、メリットは期間が長いことが挙げられる。ヨーロッパの学校は多くが1年制なので、1年間突っ走ることになる。長ければいいというものでもないが、私の場合、留学中で本当に価値があったと感じたのが4ヶ月の夏休みだったことから、夏休みがあるのと無いとでは、留学生活もだいぶ違うのではないかと思いがある。生徒の多様性はヨーロッパの方が上だろうし、知名度もカナダの学校は劣る。でもそれ以外で、じっくり時間をかけて考えることに価値観を見出せるのであれば、カナダのMBAは悪くない選択肢だ。
学校のある場所も学校選択の中で重要だと思う。

その点トロントは暮らす場所としては申し分なかった。規模的にはとても住みやすい大きさであり、東京やニューヨークほど大きくなく、でも生活には不便を感じないという大きさだった。特徴的なのは、都市の中心機能が狭い範囲に集約していて、ダウンタウンに住んでいればほとんどのものが徒歩圏内で揃うこと。住む場所によっては地下鉄すら乗る必要は少ない。かといって品揃えが少ないわけではない。車無しで、これほど便利に生活できる街は北米ではそうそうないのではないかと思う。

カナダは移民の国だけあって、食事も、多国籍の店が揃っており、飽きることがない。町は清潔で、緑も多く、治安も非常に良い。夜中一人で出歩いても特に危険を感じたことはなかった。税金が高いことと、チップの習慣から、感覚としては東京と同等かそれ以上の生活費はかかった実感があるが、何と言ってもトロントはカナダの経済の中心地であり、他の都市に比べれば仕事がある。美術館や、博物館も多く、野球、バスケットボール、アイスホッケーなどのプロスポーツチームも揃っていて、娯楽にも事欠かない。周辺にナイアガラ、アルゴンキンやオタワなどそれなりに見所もあり、ニューヨークなどへのアクセスも良い。

ただし、街そのものの魅力は他の街に劣るとよく言われる。暮らすには便利だが、目に飛び込んでくる自然があるわけでなく、スピードと刺激に溢れた大都会というわけでもなく、歴史の重厚さを感じるというわけでもなく、少し中途半端なのかもしれない。
よくバンクーバーとの比較を聞かれるが、確かに、夏に行ったバンクーバーは海と山に囲まれて、自然豊かな素晴らしい環境だった。アジア系の移民が多く、日本の食材や本なども手に入りやすい。そういう意味では個人的には町としての魅力自体はバンクーバーの方が上かなという気もする。モントリオールなどもヨーロッパ調で美しい街でやはり魅力的だと聞く。

冬の気候もよく比較の対象になる。バンクーバーの冬は暖かいが、長雨が続き、日光が恋しくなるようだ。一方のトロントの冬は、寒く雪も降るが、カラっと晴れ上がることもあり、そういう意味では、長雨がいいか、雪ときどき晴れがいいか、という判断になるだろう。

最後に、地域の選択に関しては、既婚者の人はパートナーの意見も重要だ。
MBA学生の配偶者というのは恐らくかなり孤独になる。私もそうだったが、MBA学生は一旦学期が始まると、何も家のことはできない。子供も配偶者も放ったらかしにならざるを得ない。なので、取り残される配偶者にとって、留学の間が楽しい思い出になるかどうかは、学生以上に、その土地が与える影響が大きい。
妻は振り返ってみて、トロントで良かったと思うようだ。例えば、妻は運転免許を持っていないので、歩ける範囲に、子供同士を遊ばせるような施設が多く点在していたためにとても助かったと。また、妻はこの2年で多くの友人をトロントで作った。短期間でこれだけの友人を、しかも日本人、カナダ人とバランス良く作ることができたのは、トロントのダウンタウンという地の利によるところが大きかったらしい。その子供を遊ばせる施設の行き帰りに歩きながら話をすることが多く、場合によってはそのままその人の家に遊びに行ったりして、随分友達の輪が広がったということだ。例えば車で移動しなければならない場所だったら、なかなかうまくは行かなかっただろうとのことだった。
生徒の構成も学校選択の際に考慮に入れておいていい要素だ。

生徒のダイバーシティ(多様性)は、カナダのビジネススクールの特徴の1つであろう。ダイバーシティは、議論にバランスを持たせるのに役立つし、単純に彼らの国の話や、彼らから見た日本という話を聞くだけでも面白い。

Rotmanの場合、感覚的には、北米・ヨーロッパ系40%、東アジア系カナディアンおよびアジア人20%、インド系カナディアンおよびインド人20%、南米・ヒスパニック15%、中東・アフリカ系5%というのが出身地的な構成だったと思う。そういったバラバラなバックグランドを持つ生徒達とチームを組んだりするのは、大変な面もあったが、違った見方や、世の中にはこういう考え方をするやつもいる、ということを学んだという点では大いに役立った。

ダイバーシティがあると2ヶ国語以上話せる人も多くなる。Rotmanでは多分、英語1言語しか話せない人は20%くらいではないだろうか。3ヶ国語、4ヶ国語しゃべれる人も結構いる。こういう人たちは英語が下手な人間にも寛容な傾向があるので、そういう意味では助かった。もっとも彼ら自身の英語のレベルは低いわけでは決してなく、ほとんどの人は英語が流暢にしゃべる。(流暢の定義が難しいが、例えば言いたい内容さえあれば2分間くらいは一度もつまずかずにしゃべれる人)そうでない人は学年250名中、多分5人くらいだった。(もちろん私を含め)正直、入学時は、もう少し英語が出来ない人もいると思っていたので、これはちょっと驚きだった。と同時に、その後の2年間が厳しいものになると予感したものだ。

平均年齢は27歳くらい。これはちょっと低めだが、実はこれには裏があって、額面通りには受け取れない。Rotmanは新卒者(学部から直接入学してくる生徒)の割合が20%と非常に高いためである。なので、それ以外の人たちの平均はもう少し上がる。なぜMBAで新卒者?という疑問もあるのだが、しかし、彼らは、はっきり言ってめちゃくちゃ優秀だ。まず日本と違って、こちらの大学生は非常によく勉強する。学部を卒業した時点で、基本的なリサーチ、チームプレイ、プレゼンなどのスキルは習得しており、またインターンシップで2ヶ月ほどの業務経験を積んでいることが多いので、日本で言えば入社2,3年目くらいの実力は充分にもっている。その上、ビジネススクールに入るには、厳しい選考を潜り抜けてきている。一例を挙げると、先日のRBCコンテストのプレゼン本番前に、2人のクラスメイトを招いて聞き役になってもらって、プレゼンの練習をしたのだが、そのときの一人が、新卒者だった。事情があって、彼には事前にプレゼン資料を共有していなかったにも関わらず、その場で的確かつ鋭い質問をたくさんしてきた。多分、日本で10年働いている人でも、その場であんな質問はなかなか出てこない。これは1つの驚きだった。

ということで、生徒の構成に関して言うと、ダイバーシティのある学校が1つのお勧めであり、また平均年齢にはあまりこだわらなくてもいいのでは、という感覚を持っている。
最後にMBAの課程を一通り経験した者として、これから学校選択をする人向けに、参考になる情報と私の所感をまとめておきたい。

・学校の得意分野
ビジネススクールには、いわゆるファイナンスに強い学校とか、マーケティングに強い学校とかいう評判があるが、こういった評判はあながち間違っていないと思う。
学校もビジネスなので、多くの生徒を集めるために、どの分野も均等に強いという説明をするかもしれないが、Rotmanの場合、まさに、ファイナンスに強いという評判どおり、ファイナンス色が非常に強いと感じた。これは思っていた以上に、というレベルだった。生徒の半分以上はファイナンス業界の経験があるか、ファイナンス業界へのキャリアチェンジを志望しているし、選択科目においても、ファイナンスの授業は、他の領域(マーケティング、オペレーション、HRなど)に比べると充実している。
ファイナンスを志す人にはとてもいい環境だと思うが、他の分野を志している人の目には、少し不公平に見えることも確かだ。もっとも量の問題と質の問題は別だから、それだけに惑わされる必要はない。例えば、マーケティングの選択科目は、確かにファイナンスに比べると数は少ないけれども、結構いいクオリティの授業が揃っていたと思う。だが、もし何を学びたいという分野がはっきりしていて、同じような志望度の学校が2つあったならば、その分野に強い学校を選ぶのが無難であろうと思う。

・ランキングについて
ランキングは、それを重視すべし、という論と、それよりは自分に合った学校を選択すべし、という両論があるが、なるほどそのどちらも正しい。要は、何を目的に学校に行くか、だと思う。
いい職を得たい、という目的が第一にあるのであれば、ランキングは重要だろう。ただ、カナダのMBAの場合は、カナダ国内で就職したいか、そうでないかによって更に話が分かれる。例えばカナダ国外で就職しようとする場合は、いかにカナダトップスクールと言えども、その知名度はなかなか活かせないと考えた方がいいだろう。カナダ以外での就職ならば、カナダトップ校よりランキングの低いUSの学校の方がむしろ評価されることがあることは理解しておく必要がある。一方で、カナダ国内で就職する場合は、ランキングが効いてくる。例えば、採用担当者は、書類審査の段階で、Rotmanを含む上位の学校の書類だけに目を通す、という話を聞いたことがある。もっとも、それが留学生の場合は、先日述べた通り、かなり敷居が高く、上位の学校に行けば就職できる、という具合には行かないのが現状だ。
一方で、いい職を得ることよりも、その2年間の勉強の内容や、ネットワーク作り、生活の充実などに重きを置く場合は、やはりランキングだけで決めるのはちょっとリスクが高い。例えばカナダに留学して日本に戻る予定にしているのならば、どっちみちその学校の知名度は生かせないのだから、中身を重視するという考えが成り立つ。とんでもない金額と労力を使う留学だからこそ、自分の肌と合わない学校を選択してしまったときの後悔の度合いは大きいだろう。
内容が合っている学校がそのまま高いランキングであれば申し分ないことなのだが、そうでない場合は、よくよく自分の中の優先度を考えてみることが大事だと思う。
MBAを取得して現地で就職する、というのは留学に際して目的の1つとなるケースが多い。だが、これはなかなかハードルが高いことを理解しておく必要がある。

カナダの場合、ビジネススクールを卒業すると、大きな特典がついてくる。それは3年間のワークパーミット。つまりはその後3年は仕事がなくても滞在できる。また永住権を得て、3年以上滞在することも可能である。通常申請から承認まで3,4年かかると言われる永住権だが、カナダの大学で学んでいる学生の場合は1年ほどで承認が降りる場合が多いようだ。この制度はアメリカにはない利点と言える。
ただ、カナダに滞在できることと、就職をすることとは別物である。私自身就職活動をしていないので、カナダの就職事情に関して、直接知っているわけではないが、多くのクラスメイトや知り合いからの情報を総合してまとめると以下のような状況だ。

まず、カナダではMBAの投資に見合った高いサラリーの職を見つけることは非常に高い壁のようだ。そもそも高いサラリーの職自体が、限られており、その限られた席をカナダ人と争うことになる。この選考プロセスが結構厳しい。特に人気のコンサルティングやファイナンスなどの場合は、本当に厳しいそうだ。以下、実際にRotmanの留学生仲間から聞いた話である。

(ケース1 コンサルティング会社)
履歴書を送った3日後、突然電話がかかってくる。
「今から電話インタビューをしたいと思いますが、1時間くらいいいですか?」
もちろん、その場でOKすると、
「では今からケースを読み上げて、質問をしますので、それに答えてください」
と言われて、ケースの朗読が始まる。
何とかメモしながら聞き終えると質問が始まる。質問は数値計算が必要なものも含まれており、電卓が手元になかったその友人は、相手を電話口で無言で待たせるというプレッシャーの中、手計算で頑張り、何とか回答。
1時間後、「では結果は1週間以内に」と言われるが、それっきり何も無し。

(ケース2 電力系会社)
カルガリーで1日を使っての選考ということで、前日に飛行機でカルガリー入りをする。
朝7時半、採用希望者が全員集まって朝食を取っていると、その場で、8時から面接があることを告げられる。もう精神的に朝食を楽しむ余裕はない。
8時から1時間の面接を2回。
10時、疲れて戻ってきたところで、ケースを配られ、
「12時までにこの会社に対する提案書を書いて提出してください」
と言われる。
12時、何とか出し終えて昼食を取っていると、13時から、その提案書のプレゼンをするように告げられる。
14時、プレゼンを終えると、今度は採用希望者同士チームを組まされる。
再びケースを配られ、2時間後にプレゼンをするように求められる。
その友人は夕方、精も根も尽き果てて飛行機で戻るも、その後、結局その会社からの連絡は無し。

どうだろうか。私は話を聞いただけで、こりゃ自分には無理だ、と思ってしまった(笑)。というか、ノンネイティブにとっては、ほとんどイジメじゃないだろうかと思ってしまうほどだ。もちろん、これは昨年来の不景気が大いに影響していることとは思うが、それにしても私の周りの留学生でカナダで就職活動をした人は本当に苦労しており、かつ無事オファーをもらえたという人は皆無に近い。

日本人としては、日本語が出来ることを武器に、日系企業での就職も選択肢としては有りだと思う。が、アメリカに比べて、カナダに拠点を置いている日系企業そのものの数が少ないのが実情だ。
更に、MBAを契機にキャリアチェンジ(例えばエンジニアからファイナンスへ)を考えているというのもビジネススクールではよく聞く話だが、これは留学生のみならず、カナディアンにとっても難しいことのようだ。カナディアンでもRotman卒業後、職が得られていない人が何人もいるわけだが、希望する職の経験がない、というのが大きな理由の1つのようだ。

要するにカナダでMBAを生かしての就職というのはなかなか厳しいわけであるが、1つ可能性があるのは起業という選択肢だ。カナダは従業員50人以下というスモールビジネスが全企業の94%を占めると言われているほど、スモールビジネスだらけだ。私もカナダ滞在中に、日本人もしくは日系人でカナダでスモールビジネスをやっている人に4人ほど出会った。もちろん成功するには並々ならぬ努力が必要であろうが、環境としては日本のように起業が大それたものと捉える感じでもなく、パッと立ち上げてみてとりあえず、という感じでやっている感じがした。これは調べたわけではないのでよく分からないが、弱者に手厚いカナダのこと、調べてみれば色々とスモールビジネスに対するサポートがあるのかも知れない。
日本人から見ればカナダはサービスのレベルが低いことが多いし、そもそも日本だったらあるような便利なサービスもないことが多い。考えようによってはビジネスチャンスはあるはず。私も是非ともカナダに残りたい、と思っていたならこの選択肢を考えたと思う。
英語力もネットワークも必要であろうが、MBAの知識も生かせるし、とりあえずリスクの少ないビジネスをやってみる、というのを、1つの選択肢として考えてもいいのではないだろうか。
MBA=ケーススタディ、というイメージは確かにあるが、だからといって、何でもケースがいい、と結論づけるのは少し慎重になった方がいいと思う。私は、日本でケーススタディの授業を受けた経験があり、その経験から、ケーススタディにはあまりいい印象を持っておらず、ケースの比重が重すぎる学校はむしろ避けた。海外の学校の授業は違うかと思っていたが、結果としては、やっぱりあまり好きになれなかった。

その理由の1つはTakeawayの少なさにある。一部の本当に良く出来たケースを除けば、ケースから学ぶことは、私は多くはなかった。Rotmanの場合、授業はだいたい1時間半から2時間。その中では、大抵の場合、取るべき戦略を意思決定するための分析だけで、終わってしまう。分析をして、それでどうなの?というところや、一般的な教訓といったところまではなかなか煮詰められない。そしてこれは私の英語力の無さのせいでもあるのだが、授業中はとにかく問われた質問に答えること、クラスメイトの発言、そして不意にあるコールドコールに集中しなければならない。疑問をさしはさむとか、将来あり得る事象に当てはめて考えてみるとか、そういったことまで頭が回らない。なんだか一生懸命、英語の洪水について行ったというだけで、何を学んだんだろう、と思いが残った。

ケースはディスカッションベースだから、どこにころぶか分からない、それがケースの面白さだ、という感覚もあったのだが、そうでもないみたいだ。シラバスには、各ケースごとに事前に考えてくるように質問が載せられることも多いが、あるケースについてインターネットで検索したら、全く同じ質問が並んだ他のビジネススクールのシラバスが出てきた。考えてみれば当たり前だが、各ケースにはシナリオが準備されていて、通常はただそのシナリオに沿って議論が進むようだ。もちろん中には自分のオリジナルの解釈を加えてくれる素晴らしい教授もいるが。

もう一つ好きになれなかった理由が、準備にあまりに時間がかかりすぎる点である。選択科目の中で、授業のほとんどがケース、という授業も選択したが、準備時間はかなりかかる。その割には、あまりその授業をとって得たものというのがはっきり残らなかったような気がする。

ここまで個人的にケースの気に入らない点を挙げてみたが、ケーススタディがすべて駄目というわけではない。非常に有効に機能する授業もあった。それはIntensiveコースで、1コマが4時間とか5時間とかある授業だ。ここでは、たっぷり時間を使って、丁寧に分析を進め、そして、そこから得られる教訓、更にそれをコンセプトやフレームワークに煮詰めるところまで、授業の中でディスカッションできる。これはコンセプト的なところと、実際のケースとが融合できていて非常によかった。
なので、私の感想としては、ケースそのものを否定はしないが、ケースの使い方はよく考えて、たっぷり時間をかけてやるべきなのではないかというものである。
MBA留学は多くの人にとっては、人生の一大決心の1つだろう。仕事を中断し、大金を使い、新たな環境に飛び込む。それゆえに、本人も、周りも少し期待しすぎてしまう。まるで新たな人生が始まるかのように。
でも、よくよく考えると、30前後の大人が、たった2年、海外で生活したところで、性格とか、その人が本当にコアとしているところまでは大きく変わるはずもない。

もちろん様々な刺激は受ける。知識も視野も広がる。今までにない経験を経て価値観も変わるかもしれない。だから、その人の強みをどう伸ばして、弱みをどう補完するか、という観点で、きちんと得るものを得ていけば、その方向に加速させるのには大いに役立つと思う。

が、MBAですべてをリセットするとか、180度違う方向に向かっていくとか、というように思っていたとすると、なかなかそうはならないし、そこまでは期待できない、と考えておいた方がいいのではないだろうか。
生徒の間では、MBAは自己に対する投資、という論調が存在する。
私も最初そう思っていたが、あまりにも周りがみんな投資投資と言うものだから、はて本当にそうかな、と思うようになった。今の感覚としては、投資というよりも、自分の成長のための必要経費、または自己啓発のための教育という捉え方の方が近い。この2年間にかかったお金と、来なかったら得られたであろう収入ロスを、今後将来に渡って取り返せるか、と言えば、全然そうとは思えないからだ。
が、これはリターンを金銭的な価値として捉えた場合の定義であって、リターンを無形の価値も含めてもっと幅広く捉えるならば、まあ投資と言えば投資か。投資額に対するリターン率が分からないのが気持ち悪いが。。。

まあ言葉は置いておいたとして、問題は、投資と言いつつリターンの定義が何かがはっきりしていない場合だと思う。MBA留学には自分から求めれば実に色々な機会が与えられる。リターンとして何を受け取るか、というものがはっきりないと、得られるものはすべて得よう、あれだけ投資したんだから、と頑張りすぎてしまい、結局どれも中途半端になる。これはあまり戦略的ではない。大事なのは、卒業後どのような道を志すかを見越して、そのために必要なリターンを得られるようにフォーカスすることだと思う。例えば、現地で起業するという選択であれば、現地の人たちとのネットワークや、語学力のもつ力は計り知れない。日本に帰って、ドメスティックな仕事に従事する人に比べれば、これらのリターンを重視して、ネットワーク作りや語学力を磨くことに注力すべきであろう。

私の場合は、留学前に比べて、高い付加価値をクライアントに提供できること、というのが1つのリターンだと思っていた。例えば、クライアントと対峙したときに、MBA以前の自分だったら思いつかない考え方がさらりと出てきて、かつそれがクライアントに評価されるという状態であれば、MBAに行ったことが、アウトプットとして結びついていると思う。このためには、MBAでもらった大量のインプットを自分で消化し、知識やスキルの域に高めていかなければならない。MBAで習うことは、あくまで教育の一環なので、アカデミックな内容である。これを現場に持って行ってもそのままは使えない。なので、そこには一段自分なりの加工が必要で、そのためには、学校で習ったことを復習して自分の言葉に置き換えるという努力はとても大事だった。

リターンを明確にすべきいま一つの理由は、復職時の状況である。今は、MBAを持っていれば会社が優遇してくれるという時代でもない。収入は、会社に利益をもたらす人間かどうかで、決められるべきであり、知識とか経験とかでは決まらない。MBAを卒業したての人間なんて、むしろ2年間ものブランクがあるわけだから、アカデミックボケを抱えている分、むしろ入学前より収入が下がっても文句言えない立場だと思っている。そういう意味からも、自分はMBAで何を身につけてきたか、人に見える形のリターンを示す必要があるではないだろうか。

自分に投資をしている、という感覚を持つことは、忙しくておっくうになりがちな自分を奮い立たせるためには良い事だ。が、あくまで投資は求めるリターンを明確にしてこその投資だろうと思う。