外国人参政権について

近時,多くのかたが(永住)外国人に参政権を付与すべきと主張しています。

基本的に似非与党の公明党,野党の社民・共産党などが外国人に参政権を付与することを推し進めているのですが,自民党民主党 の中にも賛成を表明しているかたがいます。

自民党 には,亀井静香中曽根弘文 ,保坂三蔵など,民主党 には,小沢一郎 をはじめ,岡田克也,白眞勲,菅直人,鳩山由紀夫 ,海江田万里などの有力な議員が付与に賛成しています(民主党 も賛成している政党の一つでしたね)。

公明党 は支持母体というかその実体である創価王国の国民に多くの在日朝鮮人がおりますので,参政権を付与して票を取り込もうとしているようにおもいます。
民主党の一部の国会議員も,自民党 への対抗姿勢を強めるために,賛成に回っているものと考えられます(いわゆる「反対のための反対」ですね)。
共産党や社民党 は言うまでもありません。。

外国人の人権

・ 外国人は憲法 上の人権を享有することが出来るか

基本的人権 を保障する憲法 第三章は国民の権利及び義務との表題をもうけています。

この表題を素直に読めば,外国人には基本的人権 を保障するべきではないと考えることができます。

しかし,そもそも人権は前国家性を有していると考えられており,国の存在の前に人間であることに基づき享有しうる権利・利益であると捉えるのが通常です。

したがって,外国人であるといっても,同じ人間である以上,外国人に人権を一切保障しないのは妥当でないというべきでしょう。

・ 外国人はいかなる人権を享有することができるのか 

憲法 22条2項は国籍離脱の自由を定めます。


先に申し上げたように,人権というものは人間であることに基づき当然に有する権利であると考えられているので,上の「国籍離脱の自由」も保障すべきであるようにおもわれます。

しかし,外国人に「国籍離脱の自由」を保障するというのは理解しがたいことです。なぜなら,外国人とは日本国籍を有しない者をいうのであって,そのような者に国籍を離脱できる自由を認めるのは明らかに背理というべきです。

このことから,どうやら憲法 上の人権のすべてが外国人に保障されるというわけではなさそうだということが分かります。

そこで,いかなる人権を外国人が享有しうるのか,基準を設ける必要があります。
この基準については,以下の学説があります。


外国人の参政権を認めるべきか

外国人参政権については2つの争点があります。

1.国政(国会議員)参政権を外国人に保障すべきか?
2.地方(地方議会議員)参政権を外国人に保障すべきか?

関連条文は次の通り。

15条1項
「公務員を選定し、及びこれを罷免することは、国民固有の権利である。」

93条2項
「地方公共団体の長、その議会の議員及び法律の定めるその他の吏員は、その地方公共団体の住民が、直接これを選挙する。」



先に述べたように,国政参政権も「権利の性質上日本国民のみをその対象としていると解されるもの」でなければ,外国人にもその保障が及ぶことになります。

そもそも,外国人参政権論争は,最判H7.2.28が定住外国人について地方参政権を法律で付与することも許容したとも解されるような判決を下したことから火が付きました。

・ 外国人参政権に関する諸学説

A説(要請説
外国人への参政権保障はむしろ要請されているとする見解
* この見解は,外国人に参政権が保障されていないことが違憲であると説きます。

B説(許容説
外国人に法律をもって参政権を付与することを許容する見解
* たとえば,地方公共団体が条例をもって一定の要件を満たす外国人に対して参政権を付与することができることになります。

C説(禁止説
外国人へ参政権を保障することは禁止されているとする見解

D説
外国人に国政参政権を保障することは出来ないが,定住外国人については地方参政権について法律をもって付与することも許容できるとの見解
* 現在の通説です。また,判例もD説を採用しているのではないかと言われています。
一部のブログでC説が通説だと書かれているものがありましたが,C説は勢力を弱め,旧通説とか従来の通説などと呼ばれることがあります。

・ A説およびB説について

A説は明らかに採りえません。理由はみなさんもお分かりの通り,国民主権 に反します(前回のエントリ 参照)。
* 国民主権 は憲法の前文と1条後段に規定があります。

B説も国政参政権について法律をもって付与することも許容しうるとしていますが,国民主権 に反するというA説と同様の批判をくわえることが可能です。

・ D説について

C説より先に,現在の通説的見解でもあるD説を見ます。

D説は,国政レベルにおいて参政権を保障することは憲法 上禁止されるとするものの,地方レベルならば法律をもって保障することも許容されると解します。

D説の主要な論拠について簡潔に述べます。

1.憲法 15条1項では「国民」とするが,地方参政権を定める憲法 93条2項は「住民」としており,敢えて使い分けていることに着目すべきである。
2.地方自治 というものは,住民の意思に基づきなされるべきものであって(住民自治の要請),住民たる定住外国人にも参政権を付与すべき必要性がある。
3.国政と地方公共団体の政治とを比べると,国民主権 原理とのかかわりの程度に大きな差がある。
4.いわゆるグローバリゼーションから。

では,D説にはいかなる批判が妥当するでしょうか?

1.15条1項は「公務員を選定し,及びこれを罷免することは,国民固有の権利である」としており,公務員選定罷免権の保障は国政レベルのみならず,地方レベルにも及ぶものと解すべきである。
なぜなら,15条1項は単に「公務員」とするのみであるから,「公務員」には地方公共団体の公務員も含まれると解すのが素直だからである。

しかし,15条1項が「国民固有の権利」と規定し,日本国民に限って保障する以上,法律によって付与できる形式的理由がないことになる。
敢えて「固有の」とする文言にも注視すべきである(参政権についてだけは,特にその保障を禁ずる趣旨と解される)。

2.地方公共団体の政治といえども,高度な政治性を有する事務もあり,安易に差があるというべきでない

3.日本の事情を度外視してまでグローバリゼーションを理由に参政権を外国人に付与すべきとの主張は短絡的過ぎる。

また,EU 諸国は自国民以外に外国人に地方参政権を付与するものも多いが,EU 諸国民に限っているし,フィリピン中国 などのアジア諸国は地方参政権を認めていない。

グローバリゼーション=外国人への参政権保障というには拙速すぎると言わねばならない。

・ C説(禁止説)について
 
わたしは禁止説を支持します。では,その理由を述べていきたいとおもいます。

まず,先に述べた性質説から順番に外国人に参政権保障が及ぶかを考えて参ります。
性質説は「権利の性質上日本国民のみをその対象としていると解されるもの」であれば,外国人に人権保障を及ぼすべきでない事になります。

憲法 15条1項は国民主権 原理に密接な関連を有することや「国民固有の権利」の「国民」とは,日本国民をいうことは間違いなく,そうとすれば,公務員選定罷免権を保障した憲法 15 条1項の規定は「権利の性質上日本国民のみをその対象」としているものとなり,同規定による権利保障は外国人には及ばないものと解すべきこととなります。

したがって,国政参政権を外国人に保障することは禁止されます。

問題なのは地方参政権についてです。

はじめに15条1項も地方参政権に関する規定だと考えてしまえば,国政参政権とパラレルに考え,地方参政権も禁止すればよいのですが,地方参政権に関連する条文である93条2項を見ますと「国民」ではなく「住民」とされていることに気がつきます。

この「住民」の意義しだいでは,外国人を含めることになるかもしれません。

この点,わたしは国民主権 原理に基づく15条1項の趣旨から,憲法 93条2項「住民」とは,地方公共団体の区域内に住所を有する日本国民を意味するもの,ひいては「住民」は「国民」の部分概念であると解すべきだとおもいます。

したがって,憲法が93条2項により,外国人に「地方公共団体の長,その議会の議員」等の参政権を保障したわけではないということになります。

その国民主権原理からは法律をもって付与することも禁じられると考えられるべきでしょう。

さらに,参政権は,人権のように前国家性を有するものではなく,後国家的権利と捉えるべきであって,外国人も人間であるとして当然に有する権利ということはできません。

・ 参政権の認められない定住外国人,特に日本に多い朝鮮人の取扱いをどうすべきか

この問題についてはずっと思案して参りましたが,帰化制度の利用によれば日本国民として参政権が保障されるため,この制度の利用によるしかないとおもいます。

帰化により,地方参政権のみならず,国政への参加が可能になります。禁止説に立脚することを排他主義と批判されることがありますが,決してそうではないと言うことです。

* 国籍取得の要件を緩和すべきとまでは言いません(むしろ厳しくする必要もあるでしょう)。国籍取得の濫用を防止する必要があるからです。

わたしは帰化した後のことを考える必要があるとおもいます。

わたしの在日朝鮮人の友人は帰化をしませんでした。
やはり日本を赦せないからだそうです。また,帰化後すれば,在日コミュニティの風当たりが強くなるかもしれないと仰っていました。

「帰化=朝鮮社会の裏切り」となるのは憂慮すべき事態です。つまり,韓国の親日法みたいに,帰化した者は裏切り者として,徹底的に叩かれるおそれがあるのです。

ここから分かるのは在日朝鮮人を差別しているのは日本でなく,本国であるということです。何せ日本では在日特権まで有している優遇集団なのですから。

だからこそ,帰化した在日朝鮮人を裏切り者と主張する偽善的な朝鮮コミュニティに対して,わたしたちは批判を強めなければならないと思います。

* 朝鮮を批判するサイトはたくさんありますが,そういったサイトを単にネトウヨとして叩くことは簡単なことでしょう。でも,そういった活動が日本を愛し,帰化を考えてくださっている在日朝鮮人を護ることに繋がるような気もするのです。

そこまで考えて,定住外国人への参政権の保障を否定すべきとの結論が立てられるべきでしょう。


アサ 珍聞にこのような記事がありました。以下引用します。

(引用開始)
定住の地 遠い1票

4月。全国が選挙ムードに包まれ、府内でも首長や議員が有権者の一票で次々決まった。南区の「希望の家カトリック保育園」の園長の崔忠植(チェチュンシク)さん(69)は、深夜までテレビの開票速報にくぎ付けになった。
「選挙に行きたくて、行きたくて……」
在日韓国 人2世。高校まで「新山守吉」の名で通った。染織工場に勤める父とチマ・チョゴリ姿の母。家はニンニクのにおい。「朝鮮人」と言われるのが怖くて友達を呼べなかった。
「在日」という現実から目を背けようと、バスケットボールに打ち込んだ。女の子にラブレターをもらっても、本当の自分を明かせないことがつらかった。
■   ■   
教育大学を目指したが、「在日は教員になれないのが分かっているのか」と兄に言われた。府立大 で社会福祉を学んだ後、同志 社大で神学を修めて牧師になった。70~80年代にかけて大阪や京都で指紋押捺(おう・なつ)などの人権問題に直面。「社会に自分たちの意見を反映するた めには参政権がいる」と意識するようになる。
以来、在日本大韓民国民団民団 )の活動などを通して、地方参政権の必要性などを訴えている。
84年の国籍法改正で、両親どちらかが日本人の子は自動的に日本国籍を取得でき、22歳までに国籍を選ぶ仕組みに変わった。「日本国籍を取って、参政権を得ればいい」。世間ではこんな考えも根強い。
崔さんは、日本国籍を取るつもりはない。韓国 籍の自分の存在が、日本社会でほかの国籍を認めてもらうための一つのシンボルになると思うからだ。「参政権は地域社会の一員と認めること。それが共生社会を生み、差別や偏見を乗り越えていく力になるんです」(以下略)
(引用終わり:参照元
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「崔さんは、日本国籍を取るつもりはない。韓国 籍の自分の存在が、日本社会でほかの国籍を認めてもらうための一つのシンボルになると思う」から,地方参政権が欲しいと読めます。
あまりにもおかしな考え方です。

いつまでも被害者感情をずっと持たれるのは構いませんが,その行いは非建設的であると言うべきです。
地域社会の一員と認められたいのならば,積極的に地域コミュニティに参加したり,社会福祉に貢献すればよいのです。
日本人は喜んで地域社会の一員と認めることでしょう。

彼の考えは日本人が性悪なものだと考えてしまっているからこそ出てくるもののように感じられてなりません。

帰化しないで,地域社会の一員になるためには,地方参政権しかないという人は,ただのエゴイストではないでしょうか。

日本政府は在日朝鮮人に日本国民と共に対等に生きて行ける方法として帰化制度を用意しています。

帰化すれば日本国民と全く同じ権利義務を生じます。行政の取扱いも何一つ日本国民と異なるものではありません。

Jリーグ李忠成という選手がいます。

在日朝鮮人(4世)として生を受けましたが,今年帰化し,その4日後に念願のU-22の日本代表選手に選ばれた優秀なサッカー選手です。

わたしは李忠成選手を応援しています。

元在日朝鮮人ということになりますが,朝鮮系日本人,いや日本人であることに変わりはありませんし,彼は積極的に日本社会へとけ込もうと努力してくれる人だとおもうからです。

上の記事で言われている「差別や偏見を乗り越えていく力」とは何だろうか?って考えてみましたが,わたしたち日本国民は李忠成を偏見や差別の目で見たりしているのでしょうかね・・・

わたしは,今もこれからも地方参政権を外国人に付与すべきではないという考え方は変わらないだろうとおもいます。

地方参政権を外国人に付与することは創価学会 の思惑だとおもっていますし,単に自民党 との対立姿勢を国民にアピールしたいだけの政党の思うつぼです。

外国人に地方参政権を付与すれば,その町が外国人に乗っ取られる可能性も否定できない。
日本国籍なき者が日本の領土の上に自治都市を作り上げ,日本政府に対する発言力を強めていくことも十分考えられるのです。そんなものに地方交付金なんて・・・

それは内政干渉という言葉では説明できないほどの異常事態なのです。

地方に選挙を通して散々意見を言った後,その都市が不安定になれば責任逃れの手段として母国に帰るという選択肢も残されており,自律的な地方自治 を期することもできません。

残念ながら,外国人参政権を付与することに賛成する国民は多いものです。

外国人参政権を付与することは感情的には賛同できるかもしれませんが,付与したことによるデメリットや国民への不利益の程度が甚だしいことも考えていただく必要があります。

http://glue.iza.ne.jp/blog/entry/167237



(参考:外国人参政権に反対するサイトの一例)
http://f57.aaa.livedoor.jp/~nazonog/
http://www.geocities.jp/sanseiken_hantai/

 * もっと多くの見解があるのですが,有名な見解のみを紹介します。

A説(文言説
憲法 上「何人も」とされているものは外国人も享有でき,「国民は」とされているものは享有できないと解する見解

B説(性質説
権利の性質上日本国民のみをその対象としていると解されるものを除き憲法 上の人権が外国人に保障されるとする見解

現在の通説・判例はB説を支持します。A説は文言を基準とする明瞭な見解ではあるものの,先の22条2項の「国籍離脱の自由」の文言は「何人も、外国に移住し、又は国籍を離脱する自由を侵されない。」としており,やはり背理を生じることから,妥当を欠くとされています。

たとえば,信教の自由は,「権利の性質上日本国民のみをその対象としていると解されるもの」とはいえませんので,外国人にもその保障が及びます。

何人も、外国に移住し、又は国籍を離脱する自由を侵されない。