毎度ありがとうございます。

さてさて。

例の『未完成記事集』を

一斉再編集していたら

なつかしい

『私のシナリオ創作法』の

書きかけもたくさん

出てきまして……

「ハテ？これってどこまで書いたっけ？」

と、過去ログをたどってみたら

一応、書きはじめから

完成まではご紹介しているんですね。

過去16回。

現在はすべて

アメンバー限定記事になっていますので

ご覧になりたい方は

メッセージをひとこと添えて

アメンバー申請をお願いいたします。

で、残っているのは

追補の内容。

「それじゃあこれらも書いてしまって一気に完成させてしまおう」

と、『私のシナリオ創作法』の書きかけは

『未完成記事集』から外して

あらためてここに

書き直すことにしました。

追補したい内容は

大きく3つありまして

今回はその第一

『努力』

についてです。

僕が脚本を書きはじめたのは

20歳になるかならないかの頃。

当時はとても

筆が遅かった。

そして

それが当然だと

思っていました。

「井上ひさしだって三谷幸喜だって遅いんだからいいじゃん」

なんてもんですよ。

しかし……

とある劇場の制作さんには

「期限内に上げるのも技術のひとつですよ」

とやんわり注意されたこともあり

劇団のスタッフからは

「期限内に上げられないヤツは才能がないんだから辞めちまえ」

と凄まれたこともあります。

でもバカだった当時の僕は

「そんなのはただの脅しだ。オレはオレのペースで書く」

なんてうそぶいて

ちっとも期限を守らなかった。

期限を守らなければいけないときは

期限前数日間は

ほとんど寝ないで書いていました。

そして

〆切当日の朝に

どうにかこうにか完成させる感じ。

何日も徹夜をして

作品を完成させてから見る

朝日は実に気持ちよかった。

「あぁ……頑張ったなオレ」

って、何度思ったことか。

このスタイルに変化が出たのは

30歳をちょっと過ぎた頃でしょうか？

赤字続きの劇団を

「そろそろたたんで脚本一本で勝負してみるか？」

なんて考えていた頃でした。

とある脚本募集に応募するため

劇団活動と並行しながら

独自で脚本を書いていました。

劇団の活動をしながら

毎日バイトして

その合間に遊んで

さらにその合間に

劇団用とは別の脚本を書くわけですから

進むワケがない。

でも

書きたいネタがあったので

応募〆切前の2週間

毎日2時間睡眠で

〆切数時間前に

なんとか書き上げました。

ですが

誤字脱字だらけで

規定枚数の半分以下。

とりあえず

「出すことに意義がある」

と、自分に言い聞かせ

応募しました。

するとね……

そんなボロボロの脚本が

応募総数約230作品の中から

ラスト10数本の3次選考

（ここを勝ち抜けば最終選考）

まで勝ち残ったんですよ。

しかもこの10数本の中には

僕の作品が2本入っていたんですね。

（実は2本出していたんです）

「お？これはもしかしてイケるんじゃねぇか？」

当然、胸が高鳴りました。

だってこの脚本募集は

大賞の賞金が

脚本にしてはかなり高額で

競争倍率が非常に高かったんです。

そんな厳しい競争を

僕の2本が勝ち残っているんですから。

しかし……

結局はそこまで。

僕の作品は2本とも

最終選考に残りませんでした。

これはくやしかった！

「あんなボロボロじゃなかったら！」

と、ずっと落ち込んでいました。

毎日毎日

ため息をつきながら暮らしていたら

ふと、前述のふたりの言葉が

胸によみがえったのです。

「期限内に上げるのも技術のひとつですよ」

「期限内に上げられないヤツは才能がないんだから辞めちまえ」

……なるほど、そういうことか。

くやしい思いをした2本は

一応完成はしていたものの

納得できる出来とは

とても言えないものでした。

つまり

「期限内に上げる」

とは

「どうにか期限内に完成させる」

ではなく

「期限内に納得できる出来にまで仕上げる」

ということなんですね。

もしあの2本を

納得できる出来にまで仕上げていたら

ここまで悔しい思いは

しなかったのでしょう。

やはり

期限内に納得できる作品を仕上げられなかった僕は技術も才能もないのかも知れない。

だったら

本当に才能も技術もないのか

前述のふたりの言葉に従って

書いてやろうじゃないか。

それでダメなら

ふたりの言ったとおり

僕には才能がないのだから

筆を折ってしまおう……

と、32歳にして

はじめて試みたのが

このシリーズの初期に書いた

『スケジューリング』なんです。

このときは

3日くらい余裕ができるように

計画を立てたような記憶があります。

で、この計画を間違いなく

進行させるためには

どうすればいいのか？

考えました。

考えた結果

「何月何日までに第1稿」

「何月何日には第2稿」

みたいな感じで

こまかく進捗状況を

把握する必要が出てきました。

そのためには

どうすればいいのか？

毎日

進捗状況を確認して

今後どのくらいのペースで

進めていくかを決める……

つまり

「毎日書く」

という

至極当たり前の結論に

たどりついたのです。

「しょうがない。やってみるか」

とやってみたら

1年の間にふたつの賞を

もらいました。

「なんだ。カンタンじゃないか」

その後は

このやりかたで

賞の数を少しづつ増やしましたし

賞に届かなかったとしても

「候補作品一覧」

として

雑誌に名前が載るようなことが

たびたびありました。

ここまできて

やっと

「頑張るとはこういうことか」

と理解することができました。

「なんだ。カンタンじゃないか」

と、受賞時には思いましたが

振り返ってみると

この「毎日書く」というのは

結構大変でした。

僕はアルバイトをしながらの

執筆活動ですので

出勤の2～3時間前には

勤務先付近のカフェに入り

ひと通り書いてから出勤。

退勤後も

疲れた体でカフェに入り

1～2時間は書く。

勤務時間の都合で

勤務前後に書くことのできないときは

カフェで休憩しながら書きました。

これは

疲れていようが

眠かろうが

風邪気味だろうが

とにかく

毎日やりました。

どんなに

アイデアに行き詰まったときも

かならず

真っ白の原稿用紙の前で

1～2時間はウンウンうなりました。

ときにはひと文字しか進まないこともありましたし

ペラペラっとめくった資料を

読みふけってしまい

まったく進まないこともありました。

それでもとにかく

原稿用紙を毎日

眼の前に置く。

その結果の「賞」でした。

前述のように

「頑張るというのはこういうことか」

とハッキリ理解できましたし

と、同時に

それまで徹夜明けに

「頑張ったぜ」と感じていたのは

ただのマヤカシだったということに

やっと気づきました。

あれはただ

徹夜までして書いている自分に

酔っていただけなんですね。

そりゃ自己満足な作品しか

出来ないはずです。

だって

2週間徹夜よりも

365日毎日書くほうが

よっぽど大変だもの。

でも1年やったら

これが当たり前になっちゃいました。

「鶴さんってどう書いてるの？」

なんて聞かれたときは

当たり前のように

「毎日書きます」

と答えます。

「仕事のときは？」

と聞かれたら

「休憩時間に」

と答えます。

反応は２パターン。

とても驚かれるか

「だからこういう作品が書けるんだね」

と言われるか。

まぁ

どっちでもいいんですけどね。

だからといって

〆切前の徹夜の日々を

否定はしません。

でも

それで素晴らしい作品が書ける人は

よほどの天才だと思います。

僕のような凡人には

とても不可能です。

凡人は

毎日毎日

コツコツと。

これしかありません。

ですから僕は

「こういう脚本を書くには？」

と聞かれたときは必ず

「努力するだけです」

と答えますし

「じゃあ努力ってナニ？」

と聞かれたら

「毎日書くだけです」

としか答えません。

だって

こうとしか

答えられないもの。

でも

大抵は

「へ？」

と、肩すかしを食らったような

反応をされます。

「毎日書く」……

「なんだつまらねぇ」

って思うでしょう。

だったら

やってみなさい。

本当につまらないから。

要するに

この「つまらなさ」

に耐えられるかがどうか

なんですよ。

それが「努力」です。

夏休みの宿題1ヶ月分を

8月31日だけで終わらせるのは

努力とはいいませんよね？

……そういうことなんです。

追補その1は

以上でございます。

次回は

創作に携わる人が悩む

「パクリ」について

お話ししたいと思います。

してして。

ひさびさの復活で

長々と書いてしまったので

目の保養。

はい。

目の保養になるほどの

撮影テクニックはありません。

次回もよろしくお願いします。

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第2232回 私のシナリオ創作法『努力とは』

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