2012年2月24日の朝日新聞に、中国で生きたクマから胆汁を採取している記事が載っていました。
以下、朝日新聞からの引用箇所は""で囲みます。
"胆汁を原料とする漢方薬は心臓病や肝臓病に効くとされ、"
"福建省恵安県の牧場では、朝晩2回エサを与える間、あらかじめ腹に埋め込んであるチューブに金属製の管を差し込み、約70リットルの胆汁を採取している。"
"漢方薬業界団体の中国中薬協会は・・(中略)・・生きたクマからの胆汁採取については「人間の献血と同じ」としている。"
"アジア動物基金は、ここ10年間で牧場から保護した227頭のすべてが胆のう炎などを患い、4割近くが肝がんで死亡したと指摘、「残酷だ」と非難している。"
中国のクマ牧場では、身動きも取れないような狭いオリの中でクマを飼育し、クマの腹に器具をつけて、生きながらに胆汁を採取しています。少しだけですが、その様子は以下サイトから動画でみることができます。
地球生物会議ALIVEホームページ
http://www.alive-net.net/zoocheck/kumabokujou/kuma-video.html
日本でもクマの胆のう(クマノイ)や胆汁は、『熊胆(ユウタン)』といい、胃腸や二日酔いに効く漢方薬として売られています。高品質のものは、グラムあたり10000円以上という高額で取引されています。
すべてのクマ科は、ワシントン条約(絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約)の対象となっており、生体も器官も国際的な取引が規制されています。
本来ならば、ワシントン条約の国内法である種の保存法(絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律)において、国内での取引も規制するべきですが、クマは規制の対象外となっており、クマノイは国内で自由に取引されています。
日本で流通しているクマノイは、一部の国からの合法的な輸入の他、狩猟や有害駆除が主な供給源となっています(15年ほど前の調査では、クマ牧場も供給源となっていましたが、現在の状況は分かりません)。密輸も多く、毎年何件も税関で差し止めされています。
狩猟は個人の趣味ですが、有害駆除は動物による被害があった場合などに税金で行われます。有害駆除で捕殺したクマのクマノイは報酬としてハンターのものとなり、自家消費されたり市場に売られたりしています。税金で行う有害駆除により個人が利益を得ること、そのために必要以上の捕殺がされているのではないかということが問題として指摘されています。
一部の自治体では、春グマ駆除が行われています。これは、その年の秋にクマの被害が出るかもしれないから、その年の春のうちに計画的にクマを有害駆除しようというもので、まだ何も被害がでていないうちから、何もしていないクマを捕殺しています。そのようなことを行う理由の一つとして、冬眠明けのクマノイは大きく、市場価値が高いからということが指摘されています。
世界的に見ると、クマノイだけでなく、トラの骨やサイの角なども漢方薬として密輸されています。
現在、全世界でトラは3000~5000頭、サイは3万頭ほどしか生息していません。ともにワシントン条約の対象となっており、トラはすべての種が、サイは一部の種を除いて生体や器官の商業目的の取引は禁止されています。
最近の新聞や雑誌で見ましたが、角目当てのサイの密猟を防ぐため、サイの角に人間に有毒な薬品を注入したり(サイには無毒)、サイの角を事前に切り取ってしまうということが行われています。また、密猟せずにサイの角を手に入れるため、中国のクマ牧場と同じように、サイ牧場を作ってサイの角を採取している業者もいるそうです(サイの角は根本を残しておけば、2年後にまた元通りにのびる)。
現在、動物実験による何億匹もの動物の苦しみや命と引き換えに、数えきれないくらいの薬が作られています。胃腸や二日酔いに効く薬もたくさんあります。その他、様々な症状に効く薬がたくさんあります。それでも人間はまだ満足せず、生きながらクマの胆汁を採取したり、絶滅寸前の動物の命を奪っています。
私は、動物を一切犠牲にするなという考えは持っていません。
しかし、現在の世の中、無駄な動物の犠牲が多すぎると思っています。
肥満や病気になるほど動物性食品を食べる必要があるでしょうか。
似たような薬が次々に発売されていますが、そんなに多くの種類の薬が必要でしょうか。
ペットとして数多くの動物が飼われ、捨てられ、処分されています。
その地域にもともと存在しない動物が人間により持ち込まれ、繁殖し、駆除されています。
私たちの身の回りのいたるところに、人間が生きていくのに必要とする以上の動物の犠牲があります。
人間の欲望や経済のみを考えた犠牲があります。
もう少し、無駄な犠牲について考えること、無駄な犠牲をなくそうという謙虚な気持ちを持つことが大切なのではないでしょうか。