水木しげるを題材にしたドラマのおかげで彼の作品や考えに対する再評価の流れがでてきているように思う。

僕はこの流行を水木しげるの再評価であるのと同時に、彼が描きイメージを補完してきた「妖怪 」というものへの再評価でもあると勝手に捉えてる。妖怪 という概念は面白いと思うのだ。

人の容姿を美と酷のように二元的に隔ててしまう思考のそのはざまにあるのがこの「妖怪 」という形容であり、人間の容姿とまとわりつく雰囲気に対する最大の賛辞のことばとして妖怪という言葉は使われるべきだと思う。

たとえばぽっこりと申し訳なさそうに出たお腹を抱える油ぎった中年のサラリーマン を想像するとあまり良い印象は感じない。そこにあるのは醜であるが、ここに妖怪 という言葉を当てはめるとこの中年のサラリーマンがなんとも色々なものを背負いながらも生命感を持っているように感じる。

妖怪 ということばを当てはめて容姿のネガティブ な要素が反転し逆に人間らしくみえるということはあるのかもしれない。僕は最近妖怪のようになりたい。