天気予報では、台風が明日東北にも上陸とのことです。
明日のもしもの非常食用にと思って、夕方遅かったのですが甘酒を作ることを思い立ちました。麹がちょうど手元にあったので。
母からいただいた白米を大目に炊いたら甘酒用には少し多い感じになりました。 それで余分なご飯を器に取り分けていたら これをおにぎりにできたらな、と思いました。
いつもはそこで、この手で握れたらなあ、と思ってから、使えない右腕のことを思って、ため息をついたりして次の方法を試案するのですが、今夜はそんなためらいはちらっとだけ浮かんで消えました。
掌にご飯をのせてみていました。
母が何度も片手でもできるおにぎりの握り方を、熱を入れて教えてくれていたのが頭に浮かんだせいかもしれません。片方の掌にスプーンで少しづつ炊き上がったご飯を載せていたら、
なんだか握れそうなきがしてきました。
そのまま、
昔通りに 両手でご飯を包んでいきます。
あ、できるみたい!
ちょっと無理をしなければ両手に力を入れて ご飯を丸く握れることがわかりました。
そんなこと、初めてでした。いつもは 痛みで手首を併せてることができなかったのですが、工夫すれば、今度は併せられそうです!
それで続けておにぎりの形に固まるようにぎゅっぎゅって続けて握ってみました。
ああ、まだやれているっ! すごいなあ。
2年前に高熱で寝込んでから、右ひじに障害が残り、曲げることも ひねることもうまくできなくなってしまい、それからは しばらくの間は左手もうまく動かなかったのでご飯は左の指で食べていました。今では、左手でフォークやスプーンが使えるようになりましたが、右手は相変わらず添えの役目で、下ろしていることが多いでしたが。
ー おにぎりを握っているなあっ
いつの間に、握れるくらいによくなったんだろう
っていろいろ思っているうちに、涙が出てまいりました。
この年で、えっ、えっ、って声に出して泣きながらおにぎりを握るとは思いませんでしたが、子供のように、嬉しくて泣きながらたくさんにぎってしまいました。
かなり握ったみたい - 5、6個はにぎった!
小さくて見た目は美しくはないのですが、私には十分に美しい!
握ったおにぎりをお皿に盛ってキッチンの周りを片づけていましたら、
カチリッ
洗い物かごに乗せたティーカップが滑って下に落ちました。
カップのふちが固いガスレンジの隅にあたって、カチリという音と一緒に スローモーションのように欠けていくのが見えました。
あ
私のお気に入りが -
軽くて持ちやすくて、障害のある指にも優しく扱えたお気に入りのカップで、ずっと使っていたものです。長い間使っているうちにシミが取れなくなってしまって、人前ではちょっと恥ずかしくて出せないくらいでしたが私は大好きで、ずっと愛用していたものでした。
「長い間愛用してくれてありがとう!
新しいカップを購入してくださいね。」
そんなカップの声がした気が致しました。
そうね。ありがとうね。
今夜はなんだか特別な夜です。 おにぎりが握れることがわかったり、あんなに丈夫だった愛用の古いカップがかんたんに欠けてしまったり。
特別なサインを頂いたようなそんな夜です。
そんな変化に心はとても楽で、ほっとしています。