『世の中には知らない方が良い事がある。それを東洋の島国では知らぬが仏という言葉で形容があるらしい。』
目を覚ますと私は見知らぬベッドに横たわっていた。
体を起こすとそこは自室ではなく見た事も無いような部屋なのだ。
それに、家具一式が白で統一されており、見た目が洗練されている。しかし奇妙な事に
外部に通じる扉は無く、そのかわり申しわけ程度の覗き窓があるだけである。
私は、なぜこのような部屋に居るのか前の記憶を辿ろうとするも出来ない。
記憶といっても完全に欠落している訳ではなく、おそらくここにくるきっかけだけが欠落している
のだろう。
こう考えているが、実際のところ不思議と今に対する不安感や焦燥感を感じる事は無く、むしろ
私の住んでいる世界が、かりそめの世界で、この今の不思議で奇怪な部屋こそが私の真の世界なので
は無いかという懐疑が生まれるほどの安寧と親しみ。
私は、もといたベットに横たわり、また再び眠りの世界へと潜り込もうとした。
10分ほどゴロゴロしてようやくウトウトしはじめたころ、私の足下に気配を感じた。
しかしこれまた不思議なことで不信感を抱く事無くそのままで居れたのである。
(今になって考えれば、思考に容易い事であるが...)
そしてまた私はふたたび眠りに落ちた。
閃光に蝕まれし少女 #27 「空想と現実の狭間で」