ここで事前に誰が誰とペアになる(なりたい)というのを決めて裏工作をしておけば、お目当ての子が手を挙げたのに合わせて手を挙げる事で、好きな相手とペアになる事が可能(手を挙げる瞬間を見逃さない鋭い洞察力と、見極め後に相手と同時に手を挙げる俊敏な動きが必要。)ですが、今回は合コンの神様に運命を委ねる事にします。
ちなみに私は4番でした。
ペア決定後、じゃんけんで最初の鬼を決めます。
けんきち:『よし、始めようか!!じゃあ、みんな…手をつ、繋ごう…。』
JD4番:『よろしくお願いします。なんか緊張しますね。』
けんきち:『そ、そうかな!?まぁ、気楽にいこうよ。』
強がりつつも、こっそりズボンで手の汗を拭きます。
そして、手と手が触れ合おうとした瞬間、私の中で一つの疑問が…。
“手をどう繋ぐべき?”。
指を交互に絡ませる“ラブ繋ぎ”は流石いきなりやると相手が引きそう…“小指だけ”は逃げている時に手が離れる可能性大。こりゃ無難に“握手型”かな…と刹那に判断。
JDと握手型でハンド・イン・ハンド。
…いや、まだ…いける!
けんきち:『なんか、この繋ぎ方だと力入らないっていうか、激しく走ると手が離れそうだから、こう繋いだ方がよくない!?』
JD4番:『あぁ、そうですね!こっちにしましょう。』
巧みな話術で見事、握手型→ラブ繋ぎに。
この時、私は思いましたね『俺、天才。』そして『JDの手ってこんなに柔らかいんだ…。』と。
既に目的の半分以上を達成していますが、鬼ごっこスタートです。
戦場になった某大学のグラウンドですが、グラウンドと外周がフェンスで隔たれていて、グラウンド⇔外周間の移動はフェンスのない二箇所でのみ可能、鬼ごっこのエリアをグラウンド+外周にのみ設定します。
(いい雰囲気になったペアがエリア外にバックレて、あんな事やこんな事するのは想定内です。)

街灯などがあまりないので薄暗いし、グラウンドも殊の外広いので一度バラバラになると他のペアを見つけるのは意外と困難です。
遠くに二つの人影が見えてもフェンスの内側に居るのか、外側に居るのか分かりません。鬼ごっこより、かくれんぼの要素が強い気もします。
とりあえず周囲の気配に注意を払いながら、暗闇の外周をゆっくりと歩きます、手を繋いで…。
誰も居ない事を確認してグラウンドに入り、世間話をしながら歩きます、手を繋いで…。
グラウンドの隅の水飲み場の様な所に、肩を寄せ合って隠れます、手を繋いで…。
こりゃ、想像以上にたまらんな。ほぼデートですよ、デート。
そして、暗闇の中で鬼が何処に居るのか分からないのはかなりドキドキします。
近くで他のペアが声がすると、緊張感からお互いの手を握る力が自然と強くなります。
とここに、この鬼ごっこの“手を繋ぐ”以外のもう一つのキモがあります。
そう…世にいう“吊り橋効果”です。
ジェットコースターや観覧車など危険を共に体験すると、連帯感や恋愛感情が生まれるってあれですね。
まぁ緊張でドキドキしたのを恋のドキドキと勘違いするって事。
この心理を利用すればピチピチのJDを落とす事も容易い事です。
時には鬼から逃げて、時には息を潜めて暗闇に隠れて、たくさんの“危険を共に体験”します。
これだけドキドキしまくればそろそろ…ん…あれ!?何だろう…この気持ち…。
例えるなら、小学生の頃大好きだったあの子の縦笛をこっそり舐め回した時の様な…そんな甘酸っぱい気持ちです。
これは…恋??
い、いや違う…これは吊り橋効果であって、本当に好きな訳では…でもやっぱり…。
見事、思惑通りに吊り橋効果発動!…自分に。
最早、猛る気持ちを抑える自信がありません。今にも『好きだ!!』と抱き付いてしまいそうです。
けんきち:『あ、あのさ…』
ダッダッダッダッダッダ…
突然、後ろから激しい足音が。
振り返るとヘルメットかぶって女の子を引っ張りながら、こちらに近付いて来る怪し過ぎる人影が…。
けんきち:『やばっ…』
完全に油断をしていましたが、逃げ切れない距離ではありません。
JD4番の手を引いて猛ダッシュします!
ここで捕まると、もうあの二人きりの時間を過ごす事が出来なくなるかもしれない…。
嫌だ…絶対に。まだ気持ちも伝えてないのに…。
二人の愛の為に必死で走ります。
振り返って見ると、どうやらJD2番はあまり足が速くない様で、ペアのRザブロウくんが一生懸命手を引いて走っています。
こりゃ余裕だな。
しばらく走ってもう一度振り返って見ると、思った程差が開いていません。
な…に!?何故、差が開かない??
よく見るとRザブロウくんがJD2番を引っ張るというより、引き摺る…いや、引き摺り回しています。JD2番は最早、死にそうな顔して引き摺られてます。JD2番が倒れ込みそうになっても無理やり引き起こして、まさに鬼の形相でこちらに迫って来ます。
ちょっ、おっ、おま!そこまでして、俺のハニーと手が繋ぎたいか!?
Rザブロウくんの気迫…いや、鬼迫の走りで追い付かれそうになる寸前、限界を迎えたJD2番がその場に倒れ込みました。
その隙に私達はグラウンドを出て外周へ。
あ、危なかった…Rざぶろうくんからハニーを穢されずに済みました。
その後も一進一退の攻防が続きましたが、体力の限界を迎えたので終了する事に。
皆に電話で招集をかけます。
あれ!?副隊長のTタケくんが電話に出ない…。
もう一度…やっぱり出ない…。
JD4番:『私からJD1番に掛けましょうか!?』
けんきち:『そうだね、お願い!』
…出ない。女の子の方も連絡取れず。
これじゃ、どうしようもないじゃ…ん!?待てよ。
けんきち:『誰か鬼ごっこ始まってから、Tタケ達のペアと会った!?』
よく考えてみると、私はTタケくんペアを序盤に少し見掛けただけで、それ以降一度も見ていません。
皆の答えも予想通り『NO』。
ちっ、やっぱりエリア外か…。
これだけ誰も見てない&電話に出ないという事はまず間違いなく、Tタケくんはエリア外でチョメチョメしているのでしょう。
ほほう…そういう事ですか、Tタケくん。
君の快楽の為だけに、私達はこの無駄な時間を過ごしてる訳ですね…そっかそっか…うんうん。…殺す。
そんな事を考えていると、Tタケくんから着信が…。
Tタケ:『すみません、何でした!?』
…はぁ!?待たせるだけ待たせて“何でした!?”だとぉ??
やはり貴様だけは殺す!!
けんきち:『…もう(お前の人生)終わり。もうみんな集合してるから、急いで(殺されに)戻って。』
5分後、妙にスッキリとした顔のTタケくんペアが集合場所に到着。
Tタケ:『すいません、お待たせして!』
けんきち:『まじ待ったよ。てか、ずっと何処に居た?』
Tタケ:『その辺に隠れてましたよ。』
けんきち:『誰も会わなかったってよ?』
Tタケ:『まぁ、隠れるのが上手かったんですかね!?ははっ。』
へ~ふ~ん、そうですか。下手な言い訳を聞きつつ、私は最後に(殺す前に)一つだけTタケくんに言いたい事がありました。
ボタン掛け違ってるよ。
