なんともなしに心に風が吹くとき、大概が相手も同じ状況なのではないですかね。
故意ではなく、ほとんど偶然のような。
また、その小さな偶然が何度も重なって信頼のようなものに繋がっていく気がします。
『博士の愛した数式』のような感覚。
ふとしたときに訪れる甘美な匂い。
それは、マッチングのように、狙っていくのとはわけが違います。
質量をともなわない淡い空気のような感覚。
それでいて、どういうわけか居心地のよい……。
ま、ね。
なかなか、そうそう、そんな状況には陥らないものです。
そのぶん、気高く、尊いのではないですかね。
もう、ずいぶん前のこと。
高倉健さんが
『恋をしています』
と発言したときは、正直驚きました。
まだ、私が30手前あたりでしたかね。
高校生の頃、ジャズ喫茶スウィングのマスターと一緒に映画館で観た『夜叉』が最初。
私が映画館で観た最後の作品は『ホタル』でした。
高校生の頃からずっと憧れです。
高倉健さんは、アイドルでしたね。
あとは、くろすとしゆきさんと菊池武夫さん。
綿谷さんのイラストも大好きでした。
それから、ユングにサリンジャー。
それと、アメリカン・グラフィティとモダンジャズ……。
このあたりは、高校生の頃からずっと変わらないところです。
昨日の早朝、また小説の出だしを書きはじめました。
まだ、原稿用紙換算だと4枚ほどです……。
そんなことを思い浮かべては、ふとそんな懐かしいことを追想していました。



